革にシワがあることが気になって・・・
両足の色むら加減が違うのですが・・・
革って馴染むのですか?
生傷があるのですが・・・
革製品について
気になること、あるけど・・聞きづらい。
そんなお客様へ「革についての基礎知識」を
皮(革)って、自然です
- 皆様、ご自身の手をご覧ください
これも皮(革)です
シミもあるし、シワもあります
では、お腹をご覧ください
ここも皮(革)です・・・
例えば、牛革は牛の皮です
牛の皮にもいろんな部分があります
おなか、背中、脚、おしり
どの部分もシワの入り方は均一ではありませんよね
しかも一頭、一頭
同じ牛はいませんから、同じ状態というのは考えられないですよね
だから自然なのです。人工的ではないのです。
違うことが自然なことなのです。
皮には傷が必ずあります
- 傷やシミのある革って良くない革なんじゃない?と思いがちですが、
本当にそうなのでしょうか?
革は天然の素材であるが故に、傷やシミが付き物です
それを隠す製法がある、ということなのです
革の銀面を薄く削り、傷を消します
その上からたっぷりの染料を塗り、型押しなどをすれば傷はほとんど分からなくなるのです
それは、皮(革)本来の味を消す加工をする、ということです
皮に傷があっても、それは自然なことなので
革職人たちは製品にしたときに問題はない程度であれば
あえて神経質に除外しないことのほうが多いです
革の歴史が古い欧米では、
こういった傷なども好意的に受け止められていますし
日本ではこういった革が人気があるのも事実です
その革製品が、自然を生かした製法であるならば
傷、シミもちろんシワも、あって然るべきなのです。
色ムラは革製品につきもの
- 革に色を入れるとき、当然色ムラになります
色ムラが目立たない(分からない)のは、濃いブラックの場合だけです
革は紙ほど色が浸透しない素材ですし、厚みも均等ではないので
色ムラに仕上がることが自然なことなのです
ただこれも、色ムラにならないよう革の味を消す方法もあります
それには厚い塗装が必要になります
あえて、合成皮革のように仕上げます
このような自然の皮がお好きなお客様は十分な理解をお持ちです
新品時に気になっていたお客様が「使うことで気にならなくなりました」という声はよく伺います。
革製品は使うものです。
使うからこそ革は「味が出る」と表現される所以だと思います。
ヴィンテージ加工やアンティーク調などの加工が
流行から定番になっていることも革の理解につながっていることだと思います
革を鞣す
- 皮が革になるためには 鞣し という作業があります
様々な薬品を使って科学的に皮を処理することで、腐敗や硬くなるのを防ぐため
鞣し剤を使いますが、その鞣し剤によって革の特性が違ってきます
鞣しには大きく分けて二つありますし、その二つを併用する方法もあります
クローム鞣し
- 今流通している革製品の多くがこの方法になっています
金属鞣しの一つで、鞣し剤に「塩基性硫酸クローム塩」を使用します
柔軟性があり伸びが大きく、弾力もありますし、軽い仕上げとなります
コストパフォーマンスも良く、大量生産に向く鞣し方法です
この製法だと色ムラは分かりにくくなります
タンニン鞣し
- 植物から抽出したタンニンによって鞣す製法です
手間と時間が必要ですので、熟練職人の技が必要となるため大量生産には向きませんが
時間の経過とともに、革が育つ味わいを感じる自然の素材を生かした製法となります
革は必ず馴染みます
- 皮は、繊維で出来ています
繊維は使うことによってほぐれ、必ず馴染みます
革靴もそうなのです
特にタンニン鞣しの革はよく育つ革なので
履けば履くほど、自分の足の形に添うよう、変化を遂げていきます
靴の足の甲に入る 横一直線のシワ
これが入ってくると靴の履き心地はグンと良くなっているはずです
ほぐれるのだということが理解できると
革製品との付き合い方が上手になってきます
履き心地はその靴でなく
自分の足が作る
革を知る、ということは
自然を知る、ということ。
革が生きている実感を自分で感じながら
経年変化を遂げる素材を楽しむ
これからこの靴がどう育つかは
自分の足で、知っていく。