ブラジルの生産状況
現在ブラジルで収穫中の2011/12年度はアラビカコーヒーの生産を特徴付ける2年生産周期(収穫量が多い年の翌年は樹木が休養する為の減産年となる)の裏年にあたっている。2010/11年度に膨大な生産量を記録した翌年にあたる2011/12年度は通常では、2012/13年度の生産にむけ回復力を蓄えるため大幅な減産になるはずである。
しかし、ブラジル政府筋の公式発表では2011/12年度の生産量は2010/11年度比9.5%の減産予想となっている。もしこの予想が事実となれば、この減産率は裏年の減産率としては過去最低ということになる。これはブラジルにおける2 年生産周期生産変動の緩和化を意味するものである。
その他の輸出国の生産
その他の輸出国の2011/12年度の生産量については詳細な数字はないが全体的には増減産予想がミックスしている。アフリカ地域の生産量は2010/11年度の17.5百万袋に対し14.4百万袋水準が予想されており、17.8%の減産となろう。南米地域においてはブラジルの減産は2 年凶作が続いたコロンビアの生産が回復することである程度補われる。ペルーの生産量は2%の減産予想であり、エクアドルは増産となろう。結果として地域全体では約4.5%の減産となる。メキシコおよび中米地域では生産量は2010/11年度の17.6百万袋に比べ4%強増え18.3百万袋レベルになるであろう。
これは主にメキシコ、グァテマラおよびニカラグアの増産によるところが大きい。アジア・オセアニア地域の生産量は2010/11年度の35.2百万袋に対し37.1百万袋に届く予想だが、これは5.6%の増産になっている。
4グループのコーヒーの中ではブラジルナチュラルのみが減産予想となっている(15%の減産)。コロンビアマイルドグループの増産幅が最も大きい。ブラジルの生産予想および現時点で入手可能なその他の輸出国の情報をもとにした第一回の2011/12年度生産量予想は概ね130百万袋である。
2011年5月の輸出量は2010年5月の7.9百万袋に対し9.2百万袋となった。2010/11年度の最初の8ヵ月(2010年10月―2011年5月)の全輸出量は前年同期の61.6百万袋に比べ16.8%増の71.9百万袋となった。この期間、4グループ全ての輸出が増えたが、これはコーヒー価格が堅調であった為、全ての輸出国が積極的に輸出したことを物語っている。
世界の消費量については2009暦年の131.3百万袋に対し、2010暦年は134百万袋と2.1%増加している。世界の消費量の30%強を占める生産国の国内消費の伸びがコーヒー価格堅調の重要な要因となっている。輸出国における生産量に占める国内消費の比率が一定であれば、増産が需給バランスに与える影響は限られている。表7は生産量と消費量の比率を示している。
結果として、下方向への調整があったとはいうもののコーヒー価格は2010年の水準に比べ相対的に堅調を維持しており、生産国の輸出を促していること。更には、輸出国における生産量に占める国内消費の比率が高くなってきていることが、今後の世界の需給バランスにおいて重要な要因となってくるであろうことに注意する必要がある。
ICO 月次コーヒーマーケットレポート(2011年6月度)より抜粋