きつね物語 第1話プロローグ|【木のおもちゃ銀河工房】オリジナル物語

きつね物語 第1話
作 小林 寛恵
構成 小林 茂
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プロローグ

 夜明けにしては明るすぎる。一匹のきつねが薮の中からむっくと顔をむけると、空の上にはまだ月が輝いているというのに南の方からは目をさす程のひかりが注がれていています。きつねのコンチは目を押さえました。

 そのころ山向こうの天神町では白い毛皮を寄せあうように丸まって、きつねたちが天を見上げ、星降る景色を見つめているところでした。
「お母さん、あれ、何?」
子供のきつねが母さんきつねのしっぽのなかから大きな瞳をのぞかせました。
「あれは、空飛ぶ石よ。地上に降りるまでめいいっぱい光るの」
そのとき山ではひゅんひゅん、流れ星が光のすじ糸を残して降っている中を、きつねのコンチはもっと良く見ようと谷の上まで出てきました。すると輝く星のひとつが速度をおとしてこちらに向かってくるではありませんか。
「まぶしい」
コンチは目をおおい、その場に、気を失いました。
町の白きつねはひときは大きな光が空を降りるのを見ておそろしさにいっそうみを寄せあいました。薄緑色の光のカーテンに山の稜線がくっっきりと浮かび上がり山の向こうがわがになにか落ちた様です。
じりじり、じりり。
かすかに聞こえる、空気を震わす、山響く音。