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第4回寝室の光環境について

寝室における光環境については、直接目にあたらないように照明器具をつける、調光可能なものを使用するといったことがあげられる。明るさ(照度)の程度と睡眠の質について、実験室実験を行った。その条件は全く照明なし、0.3、5、30、50、120、300 lx(ルクス)の場合である。最も睡眠の質が高いのは、ほんのりと周囲が見られる程度の明るさの0.3 lx であり、やっと本が読める程度の30lxを境にそれより照度が高くなると睡眠の質が低下した。一方、全く照明なしの場合も50lxの場合より悪く、深い眠りを得るのがむずかしかった。これは全くの暗闇では今の時刻が何時なのかがわからない不安から、眠りの質がおちたことによる。

目覚めを良くする方法の一つとして、光の影響があげられる。目に光刺激を与えると、メラトニン(眠りを誘う働きがあるホルモン)の分泌が抑えられ、さわやかな朝が迎えられる。3000 lx以上になるとメラトニンの分泌がおさえられ、朝に起床しやすくなる。その点からも寝室に光が全く入らない部屋を使用するのはできるだけ避けた方がよい。ちなみに一般住宅の寝室での化粧や読書には机上で500から1000 lxの明るさが必要である。照明による高照度の光は家庭では得にくいので、さわやかに起床するためには太陽の恵みを受けることのできる窓のある部屋を寝室にすることも重要である。

照明をつけたままで眠ったが、起床時には消えていたといったことがままある。起床時に照明を消した覚えがなくても、眠りが浅くなった時に数秒でも覚醒し消灯した結果である。実験中には50 lx以上になると寝具で目を隠したり、体の向きをかえたり、腕や手で光を遮る行為がみられた。煌々と照明をつけたままで眠ると睡眠の質が落ち、翌日の活動に影響を及ぼすので注意が必要である。

大阪青山短期大学 教授 宮沢モリエ様