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第2回夏期の寝室の温湿度環境について

非常に暑くなると人は汗をかくが、汗をかいていないと思っていても、不感蒸泄といって、人体の皮膚表面から水分の蒸発は行われている。汗をかかなくても睡眠時にはコップ約1杯分の水分が蒸発している。寝苦しい寝室環境では、汗をかき、その汗が蒸発すれば1gあたり約600calの熱が体から逃げることになる。汗をかいてその水分が蒸発すると、睡眠中に寒さを感じることもある。

眠っていると、寝具をかけるといった行動をとるのが遅れ、夏風邪をひいた経験もたいてい一度や二度はあろう。夜間、一度も起きなかったと思っていても、脳波測定を行うと、数秒間程度の覚醒がみられることがあり、寝具をはがすなどといった、起床時には覚えていないことを実際にはしている。

寝室が25℃程度でも寝具をはがす行為による体温調節を行い、はがしたままだと寒さを感じ、再度寝具をかけるといった行為が実験中にも観察された。その対応は昼間起きている時より遅れ、人によっては腹や腰の冷え、肩こりがでることもある。神経痛・リュウマチ等の持病のある人や過去骨折をした人などは自分の体の弱い箇所に痛みを生じることも多い。しかし、クーラーが苦手だといっても、猛暑になるとつけざるを得ないこともある。それぞれ、自分の体調にあった工夫をされていると思うが、以下のようなことに気をつけて使用されるとよいであろう。

実態調査の結果、クーラーをつけなくても28,29℃程度ではどうにか凌げる睡眠環境評価がでている。しかし、実際に室内の気温が35℃にもなると、壁面や天井などからの放射熱が加わり、耐えきれない睡眠環境となりクーラーをつけざるをえない。その時には、クーラーの風の方向は身体に直接あてず、壁面や天井に反射した冷気を利用する注意が大切である。また、扇風機も同様に直接体にあてず、壁面等に反射させるようにし、入床時に室内温度条件が快適と感じていても、睡眠中にはお腹に掛けたタオルケット等をはがすことも多いことを知っておく必要がある。クーラーのドライ設定をしている人は、温度に関して言えば、かなり低い温度になる時があることを知っておく必要があり、できれば一定温度に設定する方が夜間の睡眠中は寝具等の調節がしやすいといえる。実験室実験の結果では、湿度が50%以下になると口、のど、鼻などの乾燥や痛みの訴えが多くなり、寝室の湿度が下がりすぎるのも問題である。また、寝具の敷き布団側は冬より厚みを薄くするようにすると、下方向への放熱が促され暑さが凌ぎやすくなる。

大阪青山短期大学 教授 宮沢モリエ様