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第1回大地を味方にした涼しい住まいと住宅の暑さ対策

世界の住まいには種々の形があり、その地域での気候条件を和らげる工夫がされている。スペイン、トルコや中華人民共和国などには大地を味方にした、土の中に横穴住居を造り住まっている人々が現在もある。薄い壁や屋根に比べ、大地を壁に、床に、また、天井にすることは、素晴らしい断熱効果を持つ。夏の外気が非常に暑い、また、冬非常に寒い時でも、室内側は外気の影響を受けにくく、夏は涼しく、冬は暖かく感じる。水道水が気温の影響を受け、夏は生ぬるいのに対し、夏の井戸水や岩清水が冷たく感じるのは、建物の断熱と一緒の考え方である。

マンションや戸建て住宅の最上階の部屋、西日の差し込む部屋などは太陽の影響を受けやすい。多少断熱材を使用していたとしても、夏の夕方に帰宅すると、他の部屋よりも室内は非常に暑く感じられる。昼間、外から太陽光があたって、天井や壁の中に熱がたまり、夕方になっても、その熱が抜けず、壁面に近づくだけでも熱(放射熱)が感じられる。そこに寝室を設けている場合、眠りやすい温度にするには時間がかかる。放射熱は、一般に市販されている棒状温度計では測定できない。

人々は放射熱が加わった形で暑さをとらえ、暑さを感じることになる。そこに湿気が加わると、耐えきれない蒸し暑さを感じる。

家に風の通り道がある風通しの良い家は、家の中の熱気を逃がすことができるが、最近の住宅の間取りでは、部屋を仕切りすぎて、なかなかむずかしい。日本では昔から風通しの良い夏向きの家を造ってきたが、昨今ではエアコンのききが悪くなるので断熱性・気密性の高い住宅が主流になってきた。夏の寝室環境を少しでも良くする工夫として以下のようなことを実践すると猛暑も多少凌ぎやすくなるであろう。

天井、壁の断熱性を高くする。緑を住宅周りに増やす。住んでいる地域の風向を考えて、風が入りやすい窓を設置する。また、風の通り道のある家を造る。ガラス窓からの熱の進入を防ぐために窓を2重窓にする、窓ガラスに断熱効果のあるシートを貼る、断熱効果のある溶剤をスプレーする。換気扇を活用し熱気を外へ逃がす。よしず、すだれ、ブラインド等を活用する。家の周囲に打ち水をする(水1gが蒸発すると約600calの熱が逃げる)。

大阪青山短期大学 教授 宮沢モリエ様