プロローグ
今回の出張は青島でこたつ布団を製品化して輸入するための工場チェックと梱包状態の打ち合わせが目的である。
青島周辺は海岸部（輸出の積み出しが簡単）にも関わらず工賃は上海周辺と比べて安く以前から縫製や刺繍の工場が多い地域である。
上海周辺で物づくりする場合でも縫製等の一次的加工を青島周辺で行った後、持ち帰り二次加工するということも多いようである。
こたつ布団を中国から輸入の場合、一番多いのは運賃コストと人件費のバランスを考えて掛けを側生地で敷きを製品で輸入し、掛け布団の綿入れを行うというパターンである。
今回はこのこたつ布団を掛け敷き共に中国で製品化して当社が必要なタイミングで輸入するという試みである。
7月26日 (1日目)
前日大阪で仕事があったのでりんくうタウンのワシントンホテルに宿泊する。
飛行機が10:00出発なので8:06のシャトルバスで関空に向かう。
夏休みに入ったためだろうか関空も多くの人でごったがえしている。
今回乗るのはJALと中国東方航空の共同運航便。順調に２時間半の旅程を終了。
11:40機内を後にする。（時差は１時間）
空港までは生地メーカーＴのＯ氏と現地公司 ＹのＲ氏がむかえに来てくれる。
近くで軽く昼食をとってから工場へ向かう。（昼食は青島名物の海鮮料理、特にアサリがおいしかった）
飛行場から２０分くらいのところにある州という町の工場に行く。
工場では機械の様子、クリンリネスの度合い等をまずチェックしてから検針器と針の管理台帳をチェックする。中国の工場としてはましなほうか。
その後、商品サンプルの風合いチェックとたたみ方、ケースへの入れ枚数等を打ち合わせして検討する。段ボールの品質についてもチェックするが問題はない。
事前の打ち合わせでは値札を外箱に貼るということになっていたがこちらのアシスタントが入れ忘れて値札が商品分しかないようだ。
事務所でコピーして貼り付けてくれるとのこと本当に悪いことをする。
打ち合わせ後、車で約３０分かけてホテルに入るホテルは青島市内東部にある麗晶大酒店、英語名はグランドリージェンシーホテル、現地ではリージンホテルと呼ばれている５つ星ホテルである。
Ｏ氏は少し離れた４つ星ホテルの貴都飯店に泊まっているとのこと。今回の彼の滞在は約２週間、毎年この時期はこたつ布団等の製造進行状況をチェックするために長期滞在するとのこと。
一旦ホテルで別れ私は時間があるので近くにあるジャスコの寝具売場を見学に行く。
ホテルからは徒歩で約10分、途中でケンタッキーを見つける中国では古くからケンタッキーが好まれていることを思い出す。
ジャスコの中には牛丼の松屋、スターバックスコーヒー、マクドナルドなど日本でも見知った店が何軒か入っている。
（青島ジャスコ）
売場を見学したが基本的には中国製品を販売しているようである。価格はそんなに安くはない。また、輸入品としてはテンピュールの枕を販売しているが日本の定番価格より高い価格で販売しているため売れてないようで箱が少し傷んでいる。
参ったのは接客販売を原則としているのか次々と社員が話しかけてくるが判らないふりをして逃れる。
スターバックスでコーヒーを一杯だけ飲んで待ち合わせ時間に間に合うようにホテルに戻る。
晩ご飯はＯさんとＲさん、Ｒさんの奥さん（実は公司の社長は奥さんでＲさんは他にやりたいことがあるので手伝っているだけとのこと）の４人で韓国料理を食べる。
青島市は人口220万人、周辺人口を合わせると700万人（人によっては800万人と言っている）を数える大都市だが韓国との結びつきが強く10万人程度（但し、本当かどうかは不明）の韓国人が在住している。
確かに気をつけて街を見るとハングル文字の表記も目立つ。
美味しく韓国料理を食べた後はスナックに誘われる。
楽しく中国語の練習をしてから明後日の待ち合わせを9:00に決めて店を出る。
10:00位にホテルに帰り仕事を始める。
部屋では高速のインターネットが繋ぎ放題なのでいくらでも仕事ができてしまい１時くらいまで仕事がかかる。便利になるのも良し悪しである。
7月27日 (2日目)
朝食をとった後、ホテルの周りを散歩して待ち合わせ時間の9:00にロビーで待つ。
「高橋ふとん店」と書いた紙を持って待っているとのことだが見あたらない。
たまたまソファーに座っていると隣の携帯電話で話している人が高橋ふとん店と確かに言っている。
声をかけてみるとやはり迎えのＳのＵ氏であった。
この日も朝から激しい雨が降っており、高速道路の運転もやりづらそう。
青島市内から工場のある城陽まで約30分で到着する。空港から１５分くらいの非常に良い立地である。
工場に着いてからまず工場を見学して非常に驚く。
レベルが想像しているよりも遙かに高い。
2003年開業、社員200人、日産１万枚（12ｈ）
特にクリンリネスのレベル、社員のモチベーションの高さは本当にすごい。
また、検品にかける執念のようなものを感じるほど検品に人手をかけている。
ある意味、経営者のオーナーシップが強く感じられる良い工場である。
工場を見学後、社長から創業当時ご苦労された話や工場建設の経緯、現在の状況をお聞きして大変勉強になる。
その後、近くで昼食を社長とＵ氏の３人でいただき本当に楽しい時間が過ごせた。（またまた海鮮）
社長の人柄も感じることができ本当にこの社長が好きになる。
食後、Ｕ氏に車で即墨にあるＯの工場に送ってもらう。車で約15分。
工場では当社の担当Ｓ氏と副総経理のＡ氏が待っていてくれる。
Ｓ氏はこのためにわざわざ青島まで来てくれたようで本当にありがたいことである。
しばらく話を聞いてからショールームに移動。
ショールームにある写真等で全体の説明を受け工場に向かう。
ここでもまた驚くことになる。
ここも非常にレベルが高い。
クリンリネスと整理整頓に関しては最高レベルに近いと感じる。
また、色々な意味での工夫も各所に施されている。
社員85人 ミシン50台 日産2,000〜2,500枚 現在の年商は200〜300万ドル
２つの工場を比較すると生産能力はＳが上回り敷きパット製造の設備もＯにはない。
社員のモチベーションも明らかにＳが高く感じる。
対してＯはクリンリネスと整理整頓への徹底的なこだわりや品質へのこだわりを外部にアピールする役割を担うという意味合いでは非常に価値は高い。
工場見学後、Ｏの青島事務所に寄る。
Ｏの青島事務所は前に福州路、後ろには2008年に控えるオリンピックのヨット会場を望む好立地である。
ここで総経理のＩ氏と会うのだが、少し話をしただけでも人間性の良さと頭の切れの良さが伝わってくる。
Ｉ氏から現地の情報等をしばらく聞いて非常に参考になる。
食べない方が良い物の情報も聞いて非常にびびってしまう。
淡水魚、貝類、カニ等は食べない方が良いとのこと。（もう遅い。美味しかったのでアサリをいっぱい食べちゃった。）
しかもカニを食べて原因不明の体が内部から溶け出す病気になった人がいるとの話を聞き、この旅では絶対カニを食べるまいと固く決意する。
しかし、こんな話の後なのに夕食はまたまたまた海鮮。Ｏの社長が青島に来たときには必ず寄る高級店のようだがやはり心配。
美味しそうなアワビが丸ごと入ったスープが出てくるが躊躇しているとアワビは水がきれいなところで養殖しているので問題ないと聞き一安心して食する。
不安を除けば本当に美味しい料理である。
食後は昨日に引き続き誘われて別の店で２時間ほど中国語の勉強をしてからホテルに帰る。（青島市内にはこの手の日本人向けの店が70軒ほどあるとのこと）
ホテルに着くとＯ氏からメッセージが入っており7:45に出発時間が変わっている。
この日も1:00位まで仕事をし疲れたので寝る。
7月28日 (3日目)
この日は朝食を中式でとる。飲茶スタイルでワゴンを押してきてそれぞれ皿の中身を見せて選ばせるというスタイル。
朝食は部屋代に含まれているはずだが点心を注文するたびに紙にハンコを押していくのがよくわからない。
一人で食べているのであまり種類も食べられないのだが最後までシステムがよくわからず。最後に無料かと聞くと無料だと答えるので疑問は氷解しないまま部屋に戻る。
準備をして待ち合わせ時間ちょうどにロビーに降りる。
まず事務所に寄る。Ｏの事務所の近所である。
少し打ち合わせをしてから8:30に事務所を出て工場に向かう。
１件目の工場は寿光市にありちょうど３時間後の11:30に到着する。
もう少し先の２件目に寄るプリント工場まで往復で５時間と聞いていたのでＩ氏が言っていた「中国人が２時間半言えばまず３時間から４時間くらいかかりますよ」という言葉を思い出す。
先に食事を済ますことにして昼食は中国式のしゃぶしゃぶに行く。
野菜が美味しいと思っていたら寿光は野菜の産地として有名とのこと。
食後12:30分から１時間ほどキルト工場を見学する。
中国資本の工場にしてはレベルが高い。
取引できそうな商品を打ちあわせし、13:30工場を後にする。
次のプリント工場までは近いとＲ氏がいうので10分くらいかと聞くとまだ１時間以上はかかるという。またＩ氏の言葉が頭をよぎる。
14:30やっと東営市にあるプリント工場に到着する。（距離は青島市内から約300�匐�）
ここはキバタの織りと染色の両方をやっているので非常に便利そうである。
工場の中を見学させてもらうが非常に暑い。
プリント工場は生地に熱（1,200℃）をかける工程があるので工場内の温度が４５℃ある。
ここの機械はロータリーで顔料プリントをする。
顔料プリントは染料プリントが糸に染みこんでいるイメージだとすると生地の上に糊で貼り付いているイメージである。短所としては染色堅牢度が低く結果として染料プリントに比べて色落ちが多い。長所としては色が鮮やかにでて単価も安くすむということである。
キバタの生産工場も続いて見学に行く
非常に多くの機械が稼働したくさんの生地を織り上げている。
しかし、この規模でもあまり大きな規模ではないとのこと。
見学後トイレに寄って帰ろうとするが絶望的に汚い。
これなら野原でした方がずっとましである。
たくさんの蠅が群がってきてじっとしていられない。
来たときと同じ道を青島まで引き返す。時速140�劼任个鵑个鵑箸个靴討癸鎧�間以上かかる。これでも何故かＲ氏が往復５時間というのがよくわからない。
この日も夕食はまたまたまた海鮮料理。
アサリや魚が出てくるがＯでやばい話を聞いているのであまり美味しく感じられない。
鳩も出てくるが原型を保っているのでどうしても食べられない。
出てくる野菜が美味しいのがせめての救いで野菜をたくさん食べる。
この日も食後は中国語の練習をして帰り、いつものように１時くらいまで仕事をしてから寝る。
7月29日 (4日目)
本来ならこの日に帰るのが一番都合が良いのだが、ＪＡＬ・中国東方航空共にこの日飛んでいないので必然的に明日帰ることになる。
青島にある西川産業の店に行く予定にしていたが、一ヶ月前に頼んであったにも関わらず、担当者からの連絡は来ていない。とりあえず担当者の携帯にメールを送り観光地に行くことにする。
少し遅めにホテルを出てまず「天主経堂」をタクシーで目指す。
続いて「基督経堂」まで歩く。
青島の道（特に旧市街）は坂が多く曲がりくねって真っ直ぐな道が少ない。知らないうちに進んでいる方向が変わっている。
青島人は東西南北の考え方が非常に苦手ということもこの道を見たらよくわかる。
基督経堂は1910年に建てられた市内最古の基督教会とのこと。（入場料７元）
基督経堂を後にとりあえず海沿いまで徒歩で出ることにする。
海沿いの観光施設はどこも人であふれでる。
港に係留してある潜水艦の中に乗ることもできる。（別途１０元）
海軍博物館を出てタクシーを探すが全く空車は来ない。
しかたなく徒歩で東を目指す。
歩くのも限界が来てタクシーも来ないのでバスに乗ることにする。
バス系統が多くどこに行くのか判らないので地元の中国人に聞いてバスにのる。
あまりにも疲れたので先日廬氏に聞いておいたマッサージ店に行く。
このマッサージ店は「良子」という名前で青島では有名な高級店とのこと。
Ｏの社長も三幸の社長も青島に来れば必ず行くとのことである。
一時間半で200元。
マッサージ後、徒歩で香港中路まで出て８番ラーメンで日式ラーメンを食べる。（１６元）
一旦ホテルに戻りメールを確認する。
西川産業本社から下記のメールが来ている。
住所 青島市?江路31號
担当者の名前と電話番号も書いてあるがどうせ日本語はわからないだろうと思い電話しない。
一文字伏せ字で来ているのは嫌がらせか私をクイズで楽しませてくれているのかよくわからないが、連絡が間際までなかった件も合わせて西川産業の私に対する位置づけがよくわかる。
地図と格闘し何とかそれらしい場所を特定しタクシーで行くが見つからない。
しょうがないので夕食でもとるかと歩いていると偶然見つかる。
中に入って話をすると担当者は休みとのこと。
当然中国語しか通じない。とりあえず見せてもらうように頼み見学だけして帰る。
いかにも売れていない店で店員も２人いるがこの土曜日に本当に暇そう。
ＯのＩ氏が一月でカバー１枚しか売れなかったと噂していたのが本当の事に思える。
見学後、ジャスコまで歩き中の松屋で牛丼を食べる。（スープ付き８元、但し水は出ない）
この日は一人なので中国語の勉強には行かない。
帰って仕事をし早めに寝る。
7月30日 (5日目)
朝食後、出発までの時間を４日間のまとめにあてる。
青島の物価をまとめると以下
牛丼 ８元 ８番ラーメン １６元 スターバックコーヒーのキャラメルマキアート 39元
タクシーの初乗り ７元＋１元/人 市内バス２元
9:30にＲ氏とＯ氏がむかえに来てくれる。
勝手にリムジンで帰ると言ったのだが本当に申し訳ない。
空港のコーヒーショップでカレーを食べる。３０元と安いなあと思ったが相当まずいカレーがでてくる。水を頼むと変な味がして危険を感じたのでエビアン水を頼む。
これがカレーと同じ３０元なのでまた驚く。
帰りは中国東方航空機体で帰ることにしたがＪＡＬとの格差にまた驚く。
本当に今日は驚き多き旅であった。
（まずいカレー）
（激辛ラーメンにまだキムチを入れて食べる韓国人）
（トイレでもコマーシャル）
（日本の国内便より小さな国際便）