気楽なふとん屋さんの中国杭州・上海出張記

2月28日 (1日目)

今回の旅の目的は中国の真綿工場をチェックしに行くことである。
西川産業が現地で10年間かけて育成し最近やっと水準に達する商品ができはじめたとのことで他の小売店の仲間と共にこの目で工場を確認しに行くのである。
他の小売店と一緒に海外視察を行うのは初めてのことである。
早朝、5:20発のバスで四国中央市のKさんと関空に向かう。
バスは順調にすすみ予定より15分早く8:35関空に到着する。

(関空から出発)

今回の旅は関西地区から7名、九州地区から6名、西川産業から4名、添乗員1名の計18名。更に中国では現地スタッフが加わり大集団となる。

10:35の全日空で杭州にダイレクトではいる。 現在では関空―杭州の直行便があり非常に便利である。 九州地区は直行便がないので一旦上海に入りバスで杭州に入るという強行軍である。

(杭州空港)


(清河坊の門)

杭州には何度も来ているが観光するのは初めてである。 今回は単独での視察ではないのであれこれ観光が組み込まれているとのこと、良いのか悪いのか?

まずバスは清河坊に向かう。ここは昔の古い町並みが残る地域を観光地にしているようだ。


(古い街並みがおみやげ屋さん)

あいにくの雨の中、1軒の屋台風の店を見つける。羊の肉を焼く臭いが強烈でかえって興味を持つ。

よく見てみると蝉の幼虫やさそり、むかで等を串に刺して販売している。


(これは何を売っているんだ!)

Kさんは物好きにも蝉の幼虫とさそりに挑戦する。

後でお腹を壊さなければ良いのだが…。

次に美しさを多くの詩に詠まれた有名な西湖に行く。
遊覧船に乗るが雨でなく晴れていればどんなに良いだろうと残念である。

続いて銭塘江の畔にたつ六和塔に行く。
銭塘江は毎年旧暦の8月18日海から水が大逆流することで非常に有名な川である。
このような大規模な現象が見られるのはこことアマゾン川だけとのこと。

六和塔はこの銭塘江の氾濫を鎮めるために建設された塔である。
元々は西暦970年の建造、今の塔は1163年に再建されたものである。
外から見ると13階建てに見えるが実は7階建てで中国木造建築の傑作と言われている。


(六和塔)

(六和塔最上階からの望め)

最上階まで軽い気持ちで上り始めたが実際は急な階段が続き最後には足がわらってしまう。
日頃の運動不足もたたっているのか?

最後に龍井茶で有名な龍井村に向かう。
この村も非常に観光化されており、おみやげ物屋に軟禁され買わないと出れないような状態になる。
団体で旅行するとよくあることとはいえやはり気分は複雑である。
おつきあいで高いのはわかっていながらお茶を少し買い求める。
7時頃この日のホテル杭州五洲大酒店にチェックイン。
7:45頃九州地区の同業者とレストランで落ち合い食事を始める。
食事には現地の商社員や工場の経営者も参加しやはりいつもの乾杯(かんぺい)が始まる。
できるだけ目立たないように努めたがやはりお鉢は回ってきて紹興酒を7〜8杯乾杯する。
いい加減よったところでカラオケに行くとのことでついていく。
非常に豪華なつくりのカラオケで入店料が200元(約3,000円)最後に横で座っていた接待係の小姐に300元(約4,500円)支払う。
言葉もろくに通じないのに隣に座っているだけで4,500円も払うのはどうしても納得できない、その上他にもなんらかの経費がかかっておりこれは工場の社長が出してくれているとのこと。
1時くらいまで日本人の中国語の歌と台湾人の日本語の歌を聞きホテルに帰る。
少し仕事をしてから寝ることにする。
この旅はKさんとツインの部屋で宿泊、いびきでKさんに迷惑をかけなければ良いのだが…。

3月1日 (2日目)

6時モーニングコール、8時ホテルを出発今回の旅の目的、桐郷の義馬村に向かう。
バスに2時間ほど揺られて義馬村に到着する。
工場の近くまでは道が狭くバスが入れないのでバスを近くで留めて10分くらい徒歩で工場にむかう。

工場での行程を順に見学していくと最大の驚きは清掃が非常に行き届いていること。
普通、手引き真綿の布団を作っていれば少しくらい綿埃やゴミが落ちていても仕方ないことだが全くと言って良いほど見あたらない。
日本の多くの工場よりよっぽど掃除が行き届いている。
100人近くの村人が働いているがみんな一生懸命働いている。

繭を真綿にする行程で働いているおばあちゃんの手がつるつるなのが特に印象に残る。

(カイコの飼育房)

(この時期はカイコがいないのでダミーでみせてくれる)

(まず繭をやわらかくするためゆでる)

(たくさんの女性が1つ1つ真綿づくりをしている)


(帽子真綿作り)


(袋真綿作り)

(検針しながら真綿をチェック)

(計量)

(袋真綿は2人で、帽子真綿は4人で手引きする)

(異物が無いかチェックしながら仕上げをする)

上海に向かう途中、食事をする前に現地で真綿の勉強会をする。

勉強会は熱が入り結局時間を延長し1時半近くまで勉強しその後やっと食事にありつく。

食後更にバスで3時間ほど揺られ5時半頃に上海に到着、この日は中福世福大酒店にチェックイン。


(豫園の夜景)

この日の食事は豫園にある緑波廊
この日も中華料理である。これだけ中華が続けばいくら美味しい料理でもだんだん食べられなくなる。

9時頃食事を終え少し街をぶらついてからホテルに帰って仕事をしてから寝る。

3月2日 (3日目)

6時半モーニングコール8時出発
この日は他の仲間とは別行動でNの昆山新工場に向かう。
Nは台湾系のメーカーで真面目な物作りに定評があり現在では西川産業との取組も非常に大きくなりつつある。
このNがこの度昆山に建設中の工場を見学に行くのが目的である。

上海から1時間ほどで工場に到着。
お茶をいただきながら工場建築の経過を聞き、その後工場を見学する。

まだ建築中の部分が多く一部の縫製ラインで工員の講習が行われているのみである。

しかし、建築中の羽毛工場を見学するのは初めてで据え付け途中のものや普段みれない機械の内部も見学できる点が非常に有益である。

この工場で高額品主体の場合、羽毛布団で日産600〜800枚、欧米向けの商品なら約倍の生産が可能とのこと。
この工場ができればなお一層良い商品が中国で大量に生産できそうである。


(縫製練習中)


(ダウン比率の検査)


(1Fは独身寮(10人部屋)
2F3Fは個室)

昼食会場で他の仲間と合流する。(また中華料理)

この後、周荘というここ10年ほどで有名になった観光地を見学してホテルに帰る。

初日の清河坊とこの周荘を見学して思ったのが中国の急激な発展が国内旅行の需要を刺激しその結果としてこのような新しい観光地が生まれたのだということである。

大きな経済成長は観光地まで生み出してしまうとは驚きである。

5:00頃ホテルに帰り6時から伊藤家という居酒屋風の店で夕食。やっと日本食(但し、韓国人が経営)
7時から他の全員は上海雑伎団を見に行くので私は一人でホテルに帰り仕事をする。
初日のホテルもこのホテルもブロードバンドが無料で使い放題というのが非常にありがたく仕事もはかどる。

3月3日 (4日目)

6:30モーニングコール、8時出発。

途中でリニアモーターカーに観光を兼ねてわざわざ乗り換える。

九州組とは空港で別れる。今回、初めてお会いする方ばかりだったがみんないい人で是非再会したい人ばかりである。
九州組に合わせて空港に来たので2時間くらい時間が余り食事をしたりしながら時間を潰す。

この旅では体重を量っていないので帰ってから体重を量るのが非常に不安。
3:30関空に到着。
4:10のバスに乗るため挨拶もそこそこにバスに乗る。
関西組の方々も本当に気持ちの良い方ばかりでお会いできて本当に良かった。
私はわがままな方なので大抵の添乗員にはなにかしら不満があるのだが今回の旅でお世話になった双日トラベルの坂口さんは本当に細部まで目が行き届き素晴らしい方でした。
また、このような有意義なツアーを計画して頂いた西川産業さんにも心から感謝申し上げたい。