イナバ 高機能オフィスチェア Xair(エクセア)

稲葉製作所という会社をご存知でしょうか。そうです、「100人乗っても大丈夫」でおなじみの、物置のイナバです。
実はこの会社、物置よりもオフィス家具メーカーとしての歴史のほうが長い会社なのです。オフィス家具の製造を始めたのも、「コクヨ」より先。正真正銘の老舗オフィス家具メーカーなのです。
コクヨやオカムラほどの知名度はありませんが、実に高品質なオフィスチェアを製造しています。その中でも、「Xair - エクセア」は、私がここ10年間いろいろなイスに座り比べてきた中で「最も日本人男性向けのイス」だと考えています。

普通のイス?

「とりあえず、座ってみますか。
……お、…なるほど。…うーん。…普通ですね。」
というのが、私の最初にXairと出会った時の正直な感想。高級なイスというのは、座るだけでビビッと強い印象を与えるものがほとんどです。それなのにこのXairは、各種調整機構の操作性はいいものの、すわり心地のインパクトはほとんどありません。
ただ、真価を発揮したのは長時間座ったあとのことでした。いつもなら、脚を組んだりおしりをずらしたりするんですけど、長くじっと座っていても疲れないんです。2〜3時間座ったままパソコン作業を続けていても、最初に座った瞬間の「何も感じない」という印象のままなんです。これには驚きました。
これこそが、「自然なポジショニングで座れている」という証拠。身体に違和感を感じさせないすわり心地を、キープできることがこのXairの一番の特徴なのです。

イナバらしくないデザイン

名前の由来にもなっているのが、この背面のデザイン。文字通り「X」の形をした太いフレーム。もともとイナバの製品って「角ばったデザイン」が多いのですが、これはなんだかイナバらしくありません。というのも、デザインをしたのは、世界的な工業デザイナーである奥山清行氏。フェラーリやポルシェなどのカーデザインのほか、インテリアやサングラスなどのデザインを手がけられています。 ガチガチの角ばったデザインではなく、丸みを帯びて柔らかさも感じますね。製造工程のことを考えると…、この立体カーブしているフレームは相当大変だったんじゃないかと思います。

全体的には少し固め

真横から見ると、このフレームがシート全体を柔らかく包み込んでいるのがわかります。これ、ハンモックと同じ原理なんですよね。身体を預けても強すぎない反発が、背中に当たっているのがわかります。座面もそうですけど、全体的には少し固めな印象です。
フレームのカラーは、ポリッシュ、スパークリングブラック、ウォームサテンシルバーの3色から選ぶことができます。いずれも、高級感を感じさせる品のある色ですね。メッシュの色も8色から選べるので、組み合わせは全部で24通り。私個人的なオススメは、フレームをスパークリングブラックにして、メッシュをバイオレットという組み合わせ。個性的ですが、品のあるいい色ですよ!

日本人向けのサイズ

実際に座ってみると、ゆったり座れますけど、大きすぎないサイズ感。海外製の高機能チェアですと、自分の場合はちょっとワイドすぎて、肘掛けが遠く感じるのですが、このエクセアについてはちょうどいいサイズ。完全に国産デザインで、日本人に合わせたサイズなんだと思います。
座面自体は少し固めに感じますが、長時間座っていても疲れず、うまく体圧が分散されているんだな、というのが実感できます。この体圧分散が不十分ですと、特定の場所に負担がかかり、足を組み替えたり座る体勢や座っている位置が変わってくるようになります。体が自然と体圧を分散させようとして、動こうとする結果ですね。

好みの調整がピタッと行える

操作レバーも特徴的です。昇降レバーは一般的なイスのように座面の下にはなく、その場所は座面の右側面。この操作レバーに出会うまで気にしたことはなかったのですが、この位置にレバーがあると、まっすぐにイスに座った体勢のまま、座面の上下が調整できるのです。そのため、「正しくちょうどいい高さ」にきちんと合わせられる、というわけです。(ただ、爪を長くしている女性は操作がしにくいようです。)
実はこのイス、高さ調節以外にもほとんどの調整機能が同様に、イスにまっすぐ座った体勢のまま行えるようになっています。こうすることで、自分の好みの調整がピタッと行えるのです。
初めてエクセアに座るときには、ぜひ肘掛けの高さの調整もやってみてください。この肘掛けは左右がひとつのフレームに繋がっていて、左右がそろったまま上にカチカチと動かすことができます。一番上まで上げれば、今度は一番下から調節が可能。真っ直ぐ座って肘を曲げた時に、肩が窮屈にならないように肘を置ける高さが適正の高さです。アームレスト部分は左右に角度を変えることもできるので、作業内容によって細かく変えてみてもいいですね。

ハンモックに座っているかのような心地よさ

このイスの特徴の一つが、ロッキング機構にあります。背もたれに体重をかけると、ぐっと背もたれが後ろに倒れていくのですが、この倒れる固さが角度に応じて3段階にだんだん固く変わってきます。ほかのイスにはなかなかない機能で、途中まで倒すと固さが変わる手応えを感じられるはずです。 これが個人的には「すごくいい」のです。背もたれがちょうどよく押し返してくれるような感覚で、押し返す力と体重とのバランスがとれると、ハンモックに座っているかのような心地よさが感じられます。 全体的なロッキングの強さ自体は座面下のレバーで調節ができ、座面の左側面にあるレバーで任意の角度でロッキングのロックも可能。ちなみに、ロッキングの解除はレバーを握るだけでは解除できず、レバーを握った後に背もたれを押して少し倒すと解除できます。

腰に当たる感覚を確認しながら調節ができる

最後に紹介するのが、Xairの名前のもうひとつの由来となる、ランバーサポートの空気(air)調整機能。Xairは、腰への当たり具合を空気圧で調節することができるのです。もちろんランバーサポートは上下にも調節ができます。大きい方のボタンが空気を入れるボタンで、何度か押すと徐々に空気が入って膨らんできます。座りながらやると、「おおー、膨らんできた!これくらいかな?」と、ランバーサポートが膨らんでくるのがわかります。自分の腰に当たる感覚を確認しながら調節ができるというわけです。細かな調節ができ、しかも身体に合わせやすいのが一番のウリです。

弁護士や税理士などにオススメ!

とにかく細かな調整がやりやすいというのが最大のポイント。「身体に合わせて調節ができるのがいいイスの条件」というのが私の持論。今までのイスにない「正しい姿勢で調節ができる」のがこのXairの特徴です。考えてみると、今までは「正しい姿勢」で調節ができるわけではなかったんですよね。そうすると、Xairの調節機構がいかに優れているかがよくわかります。
見た目でも人の目を引くインパクトがありますし、それでいて品のあるデザインです。
弁護士や税理士などデスクワークが長く、かつグレードの高いイスが求められる場合にはぴったりですね。