春先は、数ある花粉の中でも特にスギ花粉が大量に飛散し、アレルギー性鼻炎を発症して「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」といった症状を訴える人が増える時期です。
一方、鼻の病にはアレルギー性鼻炎に見られる鼻の掻痒感(そうようかん)やくしゃみを伴わず、鼻水や鼻づまりを慢性的に訴える「慢性副鼻腔炎」もあります。
★ 慢性副鼻腔炎とは ★
「頬、目と目の間、眉間の辺り、おでこの奥」には左右に4つずつ、合計8つの副鼻腔と呼ばれる空洞があり、この空洞は鼻から取り込まれる空気の通り道である鼻腔とつながった構造をしています。
副鼻腔炎は、何らかの原因でこの副鼻腔に炎症が起きたもので、急性と慢性の2つの病態があります。
炎症が1カ月未満である場合は急性副鼻腔炎、3カ月以上続く場合は「慢性副鼻腔炎」と診断されます。
★ 【慢性副鼻腔炎のタイプ】 ★
慢性副鼻腔炎は、主に次の3つのタイプに分かれます。
●<タイプ1>慢性化膿性副鼻腔炎
細菌やウィルスの感染が原因で副鼻腔に膿が溜まる「蓄膿症」として知られる慢性副鼻腔炎。副鼻腔の粘膜が腫れるとこで、鼻腔とつながる孔(コウ)が塞がってしまう結果、
副鼻腔の換気や、細菌・ウィルスの鼻腔への排出がうまく行われなくなり、副鼻腔に炎症が起きる。
〇場所:頬骨辺りにある上顎洞(じょうがくどう)(息を吸ったときに最も空気が通りやすく、感染する可能性が高くなるため)に起こりやすい。
〇症状:緑色や黄色のドロドロした膿様の鼻水・頬骨辺りの痛み・後鼻漏(鼻水が喉に垂れてくる)
●<タイプ2>好酸球性副鼻腔炎
好酸球(アレルギーを起こした時に体内で増える免疫細胞)が増加し、働きが過剰になることで起こる慢性副鼻腔炎。喘息を合併することがある。
〇場所:目と目の間にある篩骨洞(しこつどう)に起こりやすい。
〇症状:糊様の粘り気がある鼻水・目の奥の痛み(目の間の副鼻腔は、血流の多い場所であるため、血流にのって好酸球が集まりやすいと考えられる)
嗅覚障害(目の間は、嗅覚細胞が集まる場所と隣接するため)・鼻ポリープ(鼻茸)が出来やすい。
●<タイプ3>副鼻腔真菌症
副鼻腔で真菌が増殖し、炎症が起こる慢性副鼻腔炎。
多くは真菌が副鼻腔にとどまる非浸潤性副鼻腔真菌症だが、副鼻腔の周囲組織まで拡がってしまう浸潤性副鼻腔真菌症もある。
〇場所:片側の副鼻腔に起こりやすい。
〇症状:悪臭を伴う鼻水、鼻血・浸潤性の場合は高熱、激しい頭痛、視力障害が起こり得る。
★ 慢性副鼻腔炎の一般的治療法 ★
これら3つのタイプの慢性副鼻腔炎に対し、医療機関では、主に次のような治療法がとられています。
治療の柱は、
①局所療法(鼻腔や副鼻腔内の洗浄、霧状にした抗菌薬を鼻から吸入するネブライザー治療)
②薬物療法
③手術の方法
の3つです。
<タイプ1>慢性化膿性副鼻腔炎
まず局所療法と薬物療法が同時に行われ、3カ月継続して効果がない場合は手術も検討されます。
〇薬物療法:主にマクロライド系抗菌薬が使用される。
<タイプ2>好酸球性副鼻腔炎
篩骨洞(しこつどう)はハチの巣状になっていて局所療法を行いにくい為、手術で副鼻腔の壁を取り除いてから、局所療法と薬物療法がなされます。
〇薬物療法:好酸球の働きを抑制する目的でステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬が使用される。タイプ1で使用される抗菌薬は効果がない。
<タイプ3>副鼻腔真菌症
副鼻腔中に出来た真菌の塊を取り除く手術が基本です。
〇薬物療法:浸潤性の場合は、手術で真菌を完全に取り除くのが難しいことから、手術後に抗真菌薬が使用されます。
また、市場の一般医薬品では、慢性副鼻腔炎の治療に漢方薬の辛夷清肺湯製品がCMで取り上げられています。
辛夷清肺湯は、以下の薬味で構成されています。
●辛夷:鼻づまりを和らげる
●石膏・オウゴン・山梔子(サンシシ)・知母(チモ)・升麻(ショウマ)・百合(ビャクゴウ)・麦門冬(バクモンドウ):熱感や炎症を鎮める
●枇杷葉(ビワヨウ):咳や痰を鎮める
この内容を見ると、鼻に作用する薬味は主に辛夷のみであり、また身体を冷やす冷薬に位置付けられる石膏を含んでいることから、虚弱者には負担をかける可能性も考えられる。
辛夷清肺湯は、体力中程度以上の人を対象とする鼻に熱感を伴う副鼻腔炎や鼻づまりに使用される処方であることを考えると、決して慢性副鼻腔炎の一番手とは言いにくいものです。
★ 慢性副鼻腔炎のホノミ漢方対策 ★
ホノミ漢方には、急性副鼻腔炎及び蓄膿症をはじめとする慢性副鼻腔炎の効能を持った、天然生薬10種からなるホノビスキンがあります。
ホノビスキンはこちら
●桔梗(キキョウ)・枳実(キジツ)・芍薬(シャクヤク):鼻腔・副鼻腔内に溜まった膿汁を排泄するように働きます。
●荊芥(ケイガイ)・辛夷(シンイ)・白し(ビャクシ):鼻に生じる不快な症状を改善します。
●連翹(レンギョウ)・重薬(ジュウヤク)・蒼耳(ソウジ):蓄膿症や鼻炎の改善を早めるように働きます。
●川きゅう(センキュウ):蓄膿症や鼻炎の回復を手助けするように働きます。
ホノミビスキンは、先の辛夷清肺湯とは全く異なる鼻病改善に特化した薬味で構成されており、虚弱者にも安心して使用できる内容になっています。
現代人が患う慢性副鼻腔炎にお勧めです。
昭和41年生まれ。有限会社多賀城ファーマシー代表取締役兼薬剤師(薬剤師歴30年)。
東北薬科大を卒業後、先代から52年続く薬局『くすりのポニー』多賀城市本店、仙台市内の陸上自衛隊店、楽天市場店などのネットショップを展開。
医薬品を販売するだけではなく、お客様の健康に繋がる解決方法のアドバイスを心がけている。