ダイヤモンドには4Cと呼ばれる鑑定基準が有るのをご存知の方は多いと思います。今さら説明するほどのことでは無いかもしれませんが、
・Carat 重量
・Color
・Crarity 傷・内包物
・Cut カッティングの優劣

の4項目について測定し、そのダイヤモンドの価値を決めるものです。

サンゴの場合、ダイヤと違って透明度のあるものでは有りませんから、内包物は見えませんし、カッティングによって輝きが変わるものでもないので、価値基準としては

・大きさ・重量  
・Color Value 色の良し悪し
・Facing Value 表面上の傷や色ムラ

の3点で評価されています。

ただ、ダイヤモンドの判定基準は主にアメリカのGIAという民間団体が作成しており、その基準を元に各国の鑑定業者が鑑定書を発行していますが、珊瑚については現在どこかの団体が判定基準を発表しているわけでもありませんので、今回は『高知県商品計画機構』の出版する、『宝石珊瑚の魅力』内に収録されているグレードスケールを参照させていただき、『全日本珊瑚漁業協同組合』の鑑定によりショップ内で使用している珊瑚を鑑定させていただきました。

尚、サンゴに限らずダイヤモンド以外のジュエルストーンには、この手の鑑定基準は存在しておりませんので(鑑定書がダイヤモンドにしか存在していないのはこの理由によります)、珊瑚の鑑定をこの方法で行うことは宝石業界全体からしても非常に画期的なことではないでしょうか。

ぜひとも他の珊瑚業者の皆様にもご賛同いただき、共通の評価基準の下で一般のお客様でも安心してお取引が出来るようになることを切に願います。


赤珊瑚の場合、俗に血赤と呼ばれるものと、通常の赤と呼ばれるものの端境がまちまちで、一般の宝飾店では大体下のColor Chartで4クラスのものを血赤と呼んでいることが多いようです。

Color5クラスの血赤は、血液に近い黒ずんだ赤色で、高知県沖の限定した海域でしか採取されないことから採取量が絶対的に少なく、なおかつジュエリーとしては明るめの赤を好まれるお客様が多いので、一般店ではあまり扱わないようです。

弊社ではこのカラーチャートにのっとり、Calor Valueが5もしくは4のものを『血赤』、それ以外のものを『赤』と呼んでいます。

また、Color1クラスのものでより薄い色のものを『赤ボケ』と呼ぶことも有ります。

 
S
A
B
C
D
傷や色ムラなど光沢面の欠点が肉眼では確認できないもの
ごく僅かで目立たない色ムラや極めて細かな傷の欠点が光沢面にあるものの容易に肉眼では確認できないもの
光沢面に存在する傷や色ムラの欠点が肉眼で確認できるもの
光沢面に僅かに存在するクラックややや目立つ程度の傷や色ムラが肉眼で確認できるもの
光沢面にクラック、明らかな傷や色ムラなどの欠点が目立つもの
5
4
3
2
1

サルジニア(地中海珊瑚)の場合採取海域が地中海沿岸に限定されることや、原木そのものが小さいため色のばらつきが少なく、Color Chartも3種類だけになります。

斑(フ)についても赤珊瑚同様白斑(シラフ)が存在しますが、表面に点在していることが多く、赤や桃珊瑚と違って中にはまったく斑の無いものも有り、品質は比較的安定していると言えます。

ただ、温暖な気候と浅い水深で育つため成長が早く、珊瑚質の密度が粗いので磨いたときの光沢が赤や桃珊瑚に比べるとやや劣ります。また、硬さについても柔らかめで加工が容易です。


かなり細めの原木が多い

但し、色は赤珊瑚と非常に酷似しており、高品質なものは素人には区別がつきにくく、注意が必要です。

また、稀に海外からの粗悪な輸入品で、表面に着色ワックスを塗り、傷を隠したり色を濃くしたりするものも有りますので、合わせて注意が必要でしょう。

 
S
A
B
C
D
傷や色ムラなど光沢面の欠点が肉眼では確認できないもの
ごく僅かで目立たない色ムラや極めて細かな傷の欠点が光沢面にあるものの容易に肉眼では確認できないもの
光沢面に存在する傷や色ムラの欠点が肉眼で確認できるもの
光沢面に僅かに存在するクラックややや目立つ程度の傷や色ムラが肉眼で確認できるもの
光沢面にクラック、明らかな傷や色ムラなどの欠点が目立つもの
5
4
3
2
1

桃珊瑚の場合は評価が2つありますので、色が濃ければよいとは限りません。

ご存知『エンジェルスキン(本ボケ)』はColor 1〜2になり、Color3のクラスは『マガイ』と呼ばれています。本ボケのまがい物の意味と思われますが、実際本ボケに並んでマガイも非常に採取量が少なく、一般的な取引ではColor4や5クラスの桃珊瑚よりも高値で取引されているのが現状です。

稀にColor5クラスの色の濃い桃の中でも、更に色濃くまるで赤珊瑚のような色をした桃珊瑚を『血桃』と呼び、これもまた非常に高価に取引されています。

赤珊瑚や桃珊瑚の原木には、必ずといっていいほど中心付近に『白斑(シラフ)』と呼ばれる白い箇所が有ります。特に桃珊瑚の場合この白斑(シラフ)が大きく、製品に加工する場合まず間違いなく表面に露出します。

もちろん白斑の少なく色ムラの無いもののほうが良いのですが、この白斑は天然の証のようなものですので、逆に少ないと偽者や、着色処理やワックス詰めなどの処理をした疑いも有りますので注意が必要です。

尚、ガーネット珊瑚やミス珊瑚(姫珊瑚)もこの桃珊瑚のChart表を使用します。

 
S
A
B
C
D
傷や色ムラなど光沢面の欠点が肉眼では確認できないもの
ごく僅かで目立たない色ムラや極めて細かな傷の欠点が光沢面にあるものの容易に肉眼では確認できないもの
光沢面に存在する傷や色ムラの欠点が肉眼で確認できるもの
光沢面に僅かに存在するクラックややや目立つ程度の傷や色ムラが肉眼で確認できるもの
光沢面にクラック、明らかな傷や色ムラなどの欠点が目立つもの
5
4
3
2
1


白珊瑚もサルジニア同様色のばらつきが少ないためCalor Chartは3種類になります。

主産地としてミッドウェイ島近海、南シナ海、五島列島など広域にわたりますが、南シナ海産のものが白さが際立ち品質が良いといわれています。ただミッドウェイ近海などでも品質の高いものが採取されていますのでそう一概には言えないでしょう。

斑(フ)は赤や桃珊瑚とは逆にピンク色のものが存在するものもありますが、逆にピンクが均質に点在するものは『サクラ』等とも呼ばれ却って人気が高くなります。

珊瑚は他のジュエルストーンと違い、基本的にエンハンスメント処理をしないのが普通ですが、この白珊瑚にだけは真珠同様過酸化水素水に浸して脱色をすることが認められています。

とはいえ、ルビーやサファイアなどのように熱処理をしたり油漬けをして色を濃くしたり傷を隠したりすることは国内の業者では一切有りません。
 
S
A
B
C
D
傷や色ムラなど光沢面の欠点が肉眼では確認できないもの
ごく僅かで目立たない色ムラや極めて細かな傷の欠点が光沢面にあるものの容易に肉眼では確認できないもの
光沢面に存在する傷や色ムラの欠点が肉眼で確認できるもの
光沢面に僅かに存在するクラックややや目立つ程度の傷や色ムラが肉眼で確認できるもの
光沢面にクラック、明らかな傷や色ムラなどの欠点が目立つもの
5
4
3
2
1

深海珊瑚は水深1500メートル前後という深海から引き上げてくるため、水圧の変化から必ずといってよいほど中に『ヒ』と呼ばれるひびが入ります。このためFacing ValueにはSクラスは存在せず、A〜Dの4段階になります。

Colorについては色濃いものが良いには違い有りませんが、いくら色が濃くても独特のマーブル模様の出ていないものはグレードが下がり、色は薄めでもマーブル模様がはっきりと出ているものはグレードが上がります。


原木は大きめですので大きな珠が取れますが 、その分『ヒ』も大きくなり目立つようになりますので注意が必要です。

ネックレスなどはまず間違いなく『ヒ』が入っていますので、ご了承ください。


原木断面に見られる独特の縞模様

 
S
A
B
C
D
傷や色ムラなど光沢面の欠点が肉眼では確認できないもの
ごく僅かで目立たない色ムラや極めて細かな傷の欠点が光沢面にあるものの容易に肉眼では確認できないもの
光沢面に存在する傷や色ムラの欠点が肉眼で確認できるもの
光沢面に僅かに存在するクラックややや目立つ程度の傷や色ムラが肉眼で確認できるもの
光沢面にクラック、明らかな傷や色ムラなどの欠点が目立つもの
5
4
3
2
1

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