←前へ  次へ→

浅野屋丁稚塾
番頭への道「その10 そろばんの話」

そろばん塾 通いませんでしたか?
私は2回も通いました。1回目は小学生の頃、当時のブームでそろばん塾 通いは地元の小学生の間では必須カリキュラムでした。

もっとも、塾より塾の近所の駄菓子屋がお目当てでしたが・・・

そして2回目は社会人になってから。
(社会人といっても修行先の呉服屋さんの住み込み丁稚です)
そこでは、ネクタイ締めて小学生と机を並べて「8を足すには10足して 2引けば・・・」なんてやっておりました。
一応、2回目も加減乗除をクリアーして無事卒業と相成りましたが、 実社会では、もとい、商売の現場でお買い上げ明細書を作成する時などは そろばん○級程度のレベルではかえって時間が掛かってしまいます。

そんなこんなで、やっぱり電卓となります。

話は少しそれますが、学校やそろばん塾で使うのは四つ珠のスマートな ソロバンです。呉服屋が使うのはゴッツイ五つ珠、家にもいくつかありま した。子供の頃はひっくり返して2つ並べ「ローラースケートだぁっ!」 と、本来の使い方はちっともせず、今から思うとソロバンが上達しなかっ たのは、罰が当たったようです。

というわけで、そろばんは前世紀の遺物のように勝手に思い込んでいた 私はある日カルチャーショックを受けることになります。

修行先から帰り、家業を手伝うようになり問屋に仕入れに行くようになっ たある日。仕入れ商品の値段交渉をしておりました。その日は他の呉服屋 さんも沢山お見えになっており盛況だったのですが、買い付けた商品の 価格提示が例によって五つ珠のソロバンであり、「○○円では高いヨ!」 と声に出して言ったところ、問屋さんの担当者に「シィッ!」と制された のでした。

「他所のお店には、もっと高い値段で買ってもらっている。浅野屋さんは 内緒で特別の値段を出している。他のお店に聞かれたら怒られてしまう」 と言うことだったのです。それ以来、仕入れの値段交渉は提示されたソロ バンの珠を弾き返してするようになりました。

最近では、「ソロバンは良くわからない」と5万8千円と提示されたソロ バンの珠を見て、この5の珠は千の位?百の位?とボケをかますことで、 問屋さんを牽制しながら値段交渉をしています。

と言うことで、「上手な仕入れは、ボケと突っ込みのひとり漫才です」

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


-戻る-