一つ一つ異なるブルーム
加工の過程で獣脂とロウをたっぷりと浸み込ませるブライドルレザーは、時間と共に浮き出る白いブルームが、一つ一つ異なった濃淡を生み出します。
使うほどにブルームは消えていき、ブライドルレザー本来の艶やかで鮮やかな表面が徐々に出てくる様は、使う者、そして使い方によって様々な顔を見せる‟自分だけのレザー”になっていく趣も感じさせます。
堅牢さと美しさ
Bridle Leather
堅牢さと美しさ
Bridle Leather
ブライドルレザー
イギリスにて1000年以上も前から歴史がある堅牢で信頼あるレザー。
牛皮に植物性オイルを使用したベジタブルタンニン鞣(なめ)しを施した後、さらに獣脂とロウを配合したブライドルグリースを丹念に擦りこむ事で完成する、手間と時間のかかるレザーです。
ブライドルレザーは元々、乗馬に用いる手綱やハーネスといった馬具のために生み出されたレザーで、強度と対候性に優れた特徴を持っています。 ブライドル(Bridle)とは馬の頭につける馬勒(ばろく)という、くつわのような馬具を意味します。
標準的なブライドルレザーは表面が白いブルームと呼ばれるロウで覆われ、エイジングと共にこのブルームが消え、レザー本来の深い色と艶が増す魅力的な一面があります。
"鞣し"とは動物から採取した"皮"を加工し、"革"へ仕上げていく加工のことです。これにより有機素材である動物の皮が腐敗することなく、素材として使用できるようになります。
ベジタブルタンニン鞣しは少なくとも約10の行程があり、ブライドルレザーはさらにそこからブライドルグリースを幾度となく擦りこむ作業が行われます。
物によっては半年から1年もの期間を経て完成するブライドルレザーも存在します。
丹念に造られたブライドルレザーだからこそ得られる強度と美しい艶が魅力です。
加工工程の一例
私たち人と同じく、世界に2つと同じものはないワン&オンリーな天然素材です。
加工の過程で獣脂とロウをたっぷりと浸み込ませるブライドルレザーは、時間と共に浮き出る白いブルームが、一つ一つ異なった濃淡を生み出します。
使うほどにブルームは消えていき、ブライドルレザー本来の艶やかで鮮やかな表面が徐々に出てくる様は、使う者、そして使い方によって様々な顔を見せる‟自分だけのレザー”になっていく趣も感じさせます。
レザーには裏と表が存在します。通常私たちが目にする表側は「銀面(ぎんめん)」と呼ばれ、種類によりシワの入り方、ツヤ、色などの質感が異なります。
また、生地の裏面は「床面(とこめん)」とよばれ、所謂レザーらしい、繊維をダイレクトに感じられます。
銀面にも床面にもそれぞれ仕上げ方法が多岐に渡り、タンナーにより技術の違いや色々な個性が存在します。
“生きた素材”であるレザーは人の肌と同じように定期的に掃除・お手入れを加えることにより美しくエイジングし、末長くお使いいただけます。 ブライドルレザーは元々、獣脂とロウを浸み込ませているため、頻繁なメンテナンスは必要ありませんが、表面のブルームが無くなった後は適宜クロスなどで汚れを落とした後、適したクリームやワックスなどで油分や水分を加えてメンテナンスしましょう。
ブライドルレザーの
魅力
レザー製品は総じて水気や湿気に弱い素材です。 ブライドルレザーは元々が屋外で使用される馬具用に生み出されたレザーであるため、浸み込んだ油分やロウが水気をはじき、通常の革と比べると水気・湿気に強いという魅力を持っています。
また、擦り込まれたロウはレザーの繊維同士を結び付け、レザー自体の強度も上がっている点も特筆すべき魅力です。
無機物な素材とは異なり、独自の暖かみや変化を感じられるのが‟革”です。
特にエイジングによる変化は特筆すべきレザーの魅力と言えるでしょう。
時には使う者の愛着やクセまでもが現れ、共に変化し親和性が増す素材です。
特にブライドルレザーは使い込むほどに表面の白いブルームが薄れ、艶やかで深いレザー本来の姿を現すエイジングもまた、ブライドルレザーの魅力と言えるでしょう。
レザーの優れた点を語る上で、染料による発色の良さが欠かせません。
元々が動物の皮であるレザーは、目に見えないほどの細かな繊維の集合体で、染料がその隙間に染み渡ることでしっかりと色が定着します。
染色した革に獣脂とロウを丹念に擦り込んだブライドルレザーは、最初は浮き出たブルームにより白い姿ですが、その下には濃く鮮やかな発色が眠っています。
他のレザーとはまた異なった、艶やかで奥深いカラーリングを是非その手に取って体感してください。
馬具のために1000年以上も前に生み出され、その耐久性から今でも愛されるブライドルレザー。
丈夫だから末永く、そして使用する者のみが味わうことの出来る変化を纏うブライドルレザーに、愛着と時間を塗り重ねていきましょう。