防弾ベストや防弾ヘルメット、マスクなどには、それぞれ防弾性能というものが定められています。
よく『ⅢA』などのようにローマ数字などで表記されているものですが、この数字について簡単にまとめましたので、ご購入時の参考にしてください。
製品の防弾性能の基準は一体どういうものかというと、日本には基準が無く、米国司法省の国家司法研究所の規格が基準とされ、英語で『National Institure og Justice』といい、頭文字をとって『NIJ』と称されます。米軍の軍、及び警察が採用している基準です。
この基準に基づいて、各国にある試験場などで試験をし、製品ごとに防弾性能が定められます。
下記がNIJ基準の表です。
NIJには銃の規定は無く、銃弾や銃身長、弾速(初速)などで判断されます。
防弾レベル | テスト弾丸 | 弾丸 重量 ※1 | 銃身長 | 弾速 (初速) /秒速 ※2 | 距離 | 射撃数 | 貫通 | 銃種類 |
I | .22 LRHV Lead | 2.6g 40gr | 15to16.5cm 6to6.5in | 320±12m/s 1050±40ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル |
.38 Special RN Lead | 10.2g 158gr | 15to16.5cm 6to6.5in | 259±15m/s 850±50ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル | |
II -A | .357 Magnum JSP | 10.2g 158gr | 10to12cm 4to4.75in | 381±15m/s 1250±50ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル |
9mm FMJ | 8.0g 124gr | 10to12cm 4to4.75in | 332±12m/s 1090±40ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル | |
II | .357 Magnum JSP | 10.2g 158gr | 15to16.5cm 6to6.5in | 425±15m/s 1395±50ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル |
9mm FMJ | 8.0g 124gr | 10to12cm 4to4.75in | 358±12m/s 1175±40ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル | |
III-A | .44 Magnum Lead SWC Gas checked | 15.55g 240gr | 14to16cm 5.5to6.25in | 426±15m/s 1400±50ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル |
9mm FMJ | 8.0g 124gr | 24to26cm 9.5to10.25in | 426±15m/s 1400±50ft/s | 5m | 5 | 0 | ピストル | |
III | 7.62mm (308 Winchester) FMJ | 9.7g 150gr | 56cm 22in | 838±15m/s 2750±50ft/s | 15m | 5 | 0 | ライフル |
IV | 30-06 AP | 10.8g 166gr | 56cm 22in | 868±15m/s 2850±50ft/s | 15m | 1 | 0 | ライフル 徹甲弾 |
下記の表はNIJの基準に基づいて対応できるであろう代表的な拳銃を表記したものです。拳銃の一般的な性能データを基にしているので絶対的なものではありません。一つの参考としてご覧ください。
防弾レベル | NIJ基準にて防護できる代表的な拳銃 | 弾丸の重量 | 弾丸初速度 |
Ⅰ | 38スペシャル(38口径) 私服警察、民間警察用に開発された銃。 | 10.2g | 初速259m/s |
Ⅱ-A | ベレッタM92F 米軍の正式拳銃。 | 8.0g | 初速340m/s |
Ⅱ | 357マグナム(38口径) 米軍警察の代表的な拳銃。 | 10.2g | 初速425m/s |
Ⅲ-A | 44マグナム 本来は猟中の護身用のスペア銃。 ダーティーハリーで有名。 | 15.6g | 初速426m/s |
Ⅲ-Aプラス | トカレフ拳銃(または、中国製黒星) 旧ソ連軍用拳銃。 | 5.6g | 初速493m/s |
Ⅲ | 308ウインチェスター 大口径ライフル | 9.7g | 初速838/s |
Ⅳ | M1ライフル 米軍用M1ライフル | 10.8g | 初速868/s |
上記の表で分かるとおり、防弾性能『Ⅲ-A』の弾速は426±15m/sで、防弾性能『Ⅲ』の弾速は838±15m/sで約400m/s近くの差があります。
多くの拳銃は防弾性能『Ⅲ-A』で対応できますが、アジア各国で普及している『トカレフ拳銃』の7.62mm×25弾を使用すれば、初速493m/sと初速500m/s近くにもなり、防弾性能Ⅲ-Aの規定外となってしまいます。NIJ規格とは別に貫通力の高いトカレフ用に防弾性能のテストを行ったものを便宜上『Ⅲ-A+(スリーエープラス)』とさせていただいております。