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健康コラム

ウコン(クルクミン)の生理機能とその応用

玉川大学農学部講師 水産学博士 八並 一寿(食品機能学)



はじめに

 肝臓病に効果があるとして知られる、インド原産のウコン(英語名:ターメリック)は、熱帯アジアで広く栽培されるショウガ科の多年草である。根茎は太く,高さ30〜100cm、根茎を鬱金(うこん)と呼び、薬用の他,香辛料,黄色染料としてカレー粉製造,たくあん漬の着色にも使われる。食用のほか生薬としても利用され、その歴史は数千年にもおよぶ。

 日本では、医薬品として「日本薬局方外生薬規格(1989)」に収載され、芳香性健胃、利胆、止血、通径薬などに用いられる生薬で、平成13年3月の「医薬品の範囲に関する基準」の改正により、医薬品的効能効果を標榜しないかぎり、食品として扱うこととなった。インド伝統医学では黄疸の特効薬に、中国伝統医学では利胆や芳香性健胃に用いられるほか、肝臓炎にも処方されてきた。本稿では、これまで長い使用経験があるウコンの、機能性成分、代謝吸収、生理活性を概説するとともに、食品としての応用例を紹介した。


1.ウコンとは

ウコンには、春に開花する春ウコン(Curcuma aromatica)、秋に花開する秋ウコン(C. longa, C. domestica)、紫ウコンとして知られるガジュツ(C. zedoaria)、クスリウコン(C. xanthorrhiza)が知られる。秋ウコン(ターメリック)は、カレー粉の原料、インドやミャンマーで僧衣を染める染料にも使用される。

ウコンのクルクミノイド含有量

1-1成分

機能性成分には、クルクミノイドとセスキテルペン系の製油成分がある。クルクミノイドは、クルクミン類似の基本構造を有する化学物質の総称で、フェニルプロパノイド系物質のジアリルペプタイドに属する1)。ウコン中のクルクミノイドの約70%はクルクミンで、他にデメトキシクルクミン(10〜20%)、ビスデメトキシクルクミン(約10%)を含む2)。クルクミノイドは、秋ウコン(インドネシア系)が最も高く、次いで秋ウコン(種子島系統)、クスリウコン、春ウコンで、ガジュツは0.05mg以下であった3)(図1、文献3より作成)。クルクミンは、ウコンの粉末中に約2.5%含まれる黄色色素である4)

1-2代謝と吸収

トリチウム標識したクルクミンをラットに経口投与すると、72時間で放射活性の89%が糞中に、6%は尿中に排泄され、吸収率はあまり高くはないが、一部は体内に吸収される5) 6)。クルクミンを腹腔内投与すると、テトラヒドロクルクミンなどのグルクロン酸抱合体が存在する7)。経口投与されたクルクミンは、そのほとんどが血中でグルクロン酸抱合体およびグルクロン酸/硫酸抱合体として存在し、テトラヒドロクルクミンとの抱合体は検出されない8) 9)ので、クルクミノイドの示す様々な生理活性は、これら抱合体やその派生代謝物が関与する6)

2.生理作用がん

 クルクミンは、発がんのイニシエーション、プロモーションに関与するシグナル伝達系に影響し、動物実験あるいは第I相、第II相臨床試験でも化学予防剤としての効果が報告されている4)。がん細胞はサイトカインを産生することで、生体固有の細胞増殖機構を作動させたり、免疫システムをかく乱して、増殖、浸潤や転移に有利な環境をつくる10)。インターロイキン(IL)-8は腫瘍の血管新生や増殖、転移に深く関与するが、クルクミンの経口投与でIL-8の産生を抑制する10) 11)。クルクミンはN-Nitrosomethy I benzylamide誘発ラット食道がんを抑制し12) 13)、がん形質を持つ細胞のみに毒性を示す選択的がん細胞増殖抑制する14) 15)。クルクミンの抗がん機構は、培養ラット乳腺細胞で過剰に産生される一酸化窒素ラジカルの補足16)、血管新生の阻害17)、がん予防効果のある成分ゲラニルゲラノイン酸によるアポトーシス18)、カスパーゼ-3、カスパーゼ-8の活性化、転移抑制効果19) などが報告されている。


3.抗酸化作用

 クルクミンは、腸の吸収で強力な抗酸化性物質テトラヒドロクルクミン20)に変化する。テトラヒドロクルクミンは、ラジカルを補足しながら分解され、再び強力な抗酸化性物質であるジヒドロフェルラ酸に変わり、2重の抗酸化的防御機構が期待できる21)。テトラヒドロクルクミンは、マウスの生体内酸化を抑制し22)、糖新生も抑制23)するので抗糖尿病効果がある24)。クルクミンは、鉄依存性の脂質過酸化を抑制する25)。アルツハイマー痴呆症の脳では、酸化ストレスによるアミロイドβペプチド沈着がおこるが26)、クルクミンは、アルツハイマー痴呆症の原因物質アミロイド障害を保護し、痴呆症予防効果27)、中大脳動脈閉塞誘発した局所脳虚血ラットでの神経保護作用がある28)

4.肝臓・心臓保護

 抗脂肪肝作用による肝炎予防29)、ガラクトサミン誘発肝障害ラットで防御効果がある30) 31)。アルコール摂取で増加するAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)の増加抑制、肝臓、腎臓、脳のプロスタグランジンE1,E2,F2α,D2の増加抑制32)よりアルコールの毒性を軽減。イソプロテレノール誘発心筋梗塞の保護作用がある33)。高脂肪ラットの脂肪蓄積を抑制34)する。


5.抗炎症作用

 ウコンは、抗炎症作用を示し35)、クルクミンの経口投与は、炎症性腸疾患の治療薬となる可能性がある36)。ウコン入り歯磨剤は、歯肉炎、軽度の歯周炎の改善効果がある37)

6.抗アレルギー

 ウコンはI、IV型アレルギーに有効38)、鼻アレルギーモデルで抑制し、作用機序は、ヒスタミン遊離抑制とラジカル消去活性である39)

7.副作用と安全性

 ヒト健常成人では、クルクミンカプセル8,000mg/日、3ヶ月の経口投与で副作用は見られない40)。またヒトの大腸がん患者では、クルクミンカプセル36〜180mg/日、4ヶ月の経口投与で副作用は見られない41)。ヒトがん手術後の患者ではクルクミンカプセル500〜8,000mg/日、4ヶ月の経口投与で副作用は見られない42)。しかし一部では肝障害の発生も報告される43) 44) 45) 46))、粗悪品のウコン摂取の疑いもあるが、慢性肝障害者の服用は注意を要する43)。クルクミンは、ヒト肝ミクロソーム代謝酵素(CYP)阻害の関与は低い47)。AIDS患者にクルクミンを2,000mg/日、127日投与でも副作用はみられない4)。肝臓薬物代謝酵素チトクロームP450活性低下には影響しない48)。なおウコンと医薬品との相互作用を調べた報告では、高血圧薬ニフェジピンとの併用でラットと健常成人に影響はない49)

8.クルクミンの応用

  
写真1 高濃度のクルクミンを配合した製品の例
(山田健康堂)
 クルクミンは、通常摂取されるカレーライスにも含まれる成分であるが、1皿当り5mgと見積もられる6)。1日分約2kg相当のウコンに相当する高濃度クルクミン(100〜2,000mg/日)含有ウコン摂取は、インターロイキン-12産生能を1〜4週間で増加、免疫抑制産生タンパク質量を減少させる50)ので健康増進には効果的である。クルクミンを高濃度かつ吸収率を高めた製品としてクルクマキュア®を原料とする濃縮ウコン粒がある(写真1)。この製品は1錠当たり80mgのクルクミンを含む ので、1日分を6錠とすれば480mgのクルクミンの摂取が可能である。これをカレーライスで摂取しようとすると、約100杯にも相当し非現実的な量となる。日常で摂取される頻度の比較的高いカレーライスであるが、食品機能性を期待できる量のクルクミンを摂取するのであれば、こうした独自製法のサプリメントを利用する以外方法はない。このうようにウコンは、極めてエビデンスが多く、市場評価の高い素材である。今後のより安全な製品開発、さらなる流通を期待したい。

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