気楽なふとん屋さんの中国・上海・安徽省出張記

5月8日 (1日目)

今回で中国主張は何度目の事であろうか?
初めて中国を訪れたのが平成元年の事だから早くも14年になる。
この間、何度も中国を訪れているが特に上海の急変にはただ驚くばかりである。

今回は良質な羽毛の原料とその加工場を確保するためにメーカーのT氏と一緒に上海・安徽省を訪れることになった。
中華航空で3時過ぎに上海虹橋空港に到着すると光隆のJ氏が出迎えてくれた。

光隆事務所は虹橋にあり車ですぐの距離である。
光隆の上海事務所で今回の安徽省への出張について打ち合わせ後、近くの鉄板焼き屋で夕食である。この鉄板焼き屋は台湾人が経営とのこと。メニューを見てびっくりなのがこの鉄板焼き屋の値段は日本と同じ位でまともに食事すれば一人あたり8,000円前後はするのではないだろうか?
こんなに高級な店がホテルのインショップ以外でも成り立つようになったのかと感心しながら料理に舌鼓を打つ。確かに味も良い。

ここで光隆の本部長C氏と商社のK氏と合流する。
安徽省へのフライトは一日2便。早い便には乗れないので後の便に乗ると9時過ぎのフライトになる。プロペラ機かと思えば小型ながらジェット機だ。14年前は指定席になっているにもかかわらず中国人たちは走って席の確保に向かったものだが現在はその名残もない。
一時間ほど飛行機に乗り合肥のホリデーインについたのは11時を少しまわっていた。ホリデーインはガイドブックやネットでの予約案内には4つ星で掲載されているものの現実は5つ星に昇格している。中国のローカルのホテルにしてはなかなかまともで、部屋に置いてあるインフォメーションは日本語表記もある。

5月9日 (2日目)

朝一でホテルを出てR市周辺のK村に2時間以上かけて到着。途中からは想像を絶する悪路で車酔いしそうになる。

安徽省は中国でも最も貧しい省の一つだと聞いているがそれも体感して心の底からうなずける。道ばたでは水牛が繋いであったり、鵞鳥や家鴨、羊、山羊が散歩したりしている。

←この中で羽毛の手選別をやっている。

「羽毛の手選別」とは機械の選別では不可能な高品質なダウン比率にするために機械で粗選別した後に手でダウンとフェザーを選り分け、場合によっては更にダウンの大きさと質を揃えるために手でセレクションしていく行程をいう。


まず粗製毛を機械でする


竹箒で更に選別

常識的にいって現在の製毛技術ではコンスタントにネットダウン比率95%にしようと思えば手選別を行うのが普通で非常に困難を極める。

一つ一つのダウンを手で選り分ける。正に人海戦術!!


←細かいダウンや
ゴミは更に下に落ちる工夫

見学後は体中、羽毛まみれ→

安徽省の一般的な月収は約200元、私の知人で上海のOLは月収3,000元もらっているので彼女と比べても10分の1以下の月収である。

羽毛の手選別はより分けで一日500g/人(12時間労働)
セレクションは一日10g/人(12時間労働)

時間効率を見てもとてもじゃないが人件費の安い地域でないとできないのがわかる。


この日さらに、翌日の訪問予定であった、農場見学に予定を早めて向かう。

この農場では平均2万羽の鵞鳥を飼育している。

逃げ出した(?)雛や鵞鳥が畑でうろうろ
孵化から原毛の採取を一貫してここで行っている。写真のような巣箱で孵卵しているのは中国でも希だということである。

孵卵室ではたくさんの母鳥が巣箱で卵を暖めている。

この時期だけは雌鵞鳥がおとなしいとのこと

成鳥もおでこにたんこぶがあるのが特徴で、一時期大手メーカーが「ライオンヘッドグース」という名で売り出していたのがこの品種である。

体も大きくて非常に良い原毛が採れそうだ。卵も非常に大きく雛も可愛い。


育雛場ではこの時期多くの雛が育てられている。


生後30日


右が40日

額に瘤があるのが特徴、体も非常に大きい。

5月10日 (3日目)

昨日スケジュールを詰めてこの日の午前中が空いたので、合肥の市内を観光する。

合肥市内の風景、このところ毎日天気がぐずついている。

↑市内の中心地


←公衆有料トイレ

まず、お寺に参拝し(名前は忘れた)次に包公という人物の墓所に見学に行く。

包公は中国の「遠山の金さん」である。日本で知る人はいないが中国人はみんな知っているという有名人だ。(宋の時代の人)

包公の像→

有名な人の首を切るギロチン。高貴な人は龍。それに次ぐ身分は虎。庶民は犬によって切られたという。

絵巻物風に包公の一生を壁画で描いている。

1時のフライトで2時過ぎに上海にもどる。
この後すぐ上海市内松山に行き「検品工場」の見学。

検品場といってもすごく広い敷地と100名の従業員を抱える大工場。
この検品工場は日本の奈良県の企業が進出したもので、日本の買い手側からは非常に信頼のある検品工場である。


検針器


検針後ギフトの箱詰めも行う

寝装関係100%で現在、月間50万ピースの検品を行い、多くの一流メーカーもここで検品やギフト箱入れ値付け等を行っている。

大勢の従業員で検品・ハンガー付け・値付け等を行う

5月11日 (4日目)

朝から西川産業の上海事務所所長のU氏にホテルでピックアップしてもらい、上海近郊の羽毛布団の側加工工場に行く。
ここは特に熱圧着行程による側加工が特徴の工場である。
日本の独資工場で清潔、設備も最新である。


マチテープの製


仮止め


白衣の人間は品質管理者


熱圧着機


検品


空気の吹き入れテスト

工場訪問後、2年ほど前、上海にできた北欧出身の大型家具店イケヤを見学する。
イケヤはアメリカ、ドイツ、フランス、ポーランド、シンガポール、台湾、香港での見学に続き初めて中国本土での見学だが、各国を比較すると非常に国情もわかり勉強になる。

5月12日 (5日目)

午前の便で虹橋空港から帰国