日本料理の大御所・「分とく山」野崎洋光さんに教わった


今日からはじめる本当においしいだしのとり方

さあ、みなさん、家庭でもおいしいだしをとりましょうね!




その一・簡単!かつおと昆布のだし

日本料理の基本、かつおと昆布のだし。おいしいだしは、すっとのどを通り、爽やかな味がします。こくのあるだしをとろうとして、煮立たせると素材のくせがでてしまいます。
かつおぶしを入れるとき、沸騰しているところではなく、90度ぐらいの温度にすると、いいだしがとれます。それは、おいしい煎茶を入れるのと同じ理屈。沸騰したお湯ではおいしいだしはとれません。


材料
●水1.5リットル(差し水100ccを含む)に対し、鰹節20〜25g、昆布10cm角

プロのちょっとしたテク
●「分とく山」では、鰹節削りで削りやすいように、鰹節をぬれふきんで包んで冷蔵庫で保管しています。
 こうすると、削る表面がやわらかくなり、簡単に薄く削ることができます。

お吸い物など、上品なだしをとる場合は、血合の部分は削り落とします。ただし、こくのある料理を作る場合は血合があるほうがこくがでます。
「家庭では、血合も一緒で問題ないですよ」
野崎さん自らの削りの実演。
削るときは、手前から押すように削ります。
「布巾で湿らせておいたから、楽ですよ」
これで、約25g。1.4リットルの水でだしをとると、みそ汁7〜8杯分のだしがとれます。
水から昆布を入れ、弱火に火をかける。しばらくすると昆布が浮いてきます。
沸騰してきたら、昆布をとりだします。煮すぎると海藻くさくなりますので、注意。もったいない!と思うかもしれませんが、残りの昆布は佃煮にするとおいしいですよ。廃棄ゼロ!
ここがポイント!100ccほどの差し水をいれて、温度を下げます。90度ぐらいにしておいて、かつおを入れる準備OK!
ここに削った鰹節を投入。そのまま2分ほど置きます。火にかけなくていいんです。そのほうがいいだしがとれるんです。
2分後にだしを漉します。かつおのだしがらも、干して油で揚げて佃煮風に。極上の飯の友になります。
これでだしが完成!昆布に火をかけながら、かつおを削れば、作業時間は約7〜8分。だしをとるのって、結構簡単なんですね。
だしのおいしさは、まず醤油だけで味わってみてください。試しに、粉末のだしの素でとっただしと醤油をたらすだけで飲み比べてみてください。その大きな違いにきっと驚きますよ。

野崎さんからひとこと
だしをとるのは、実は簡単な作業です。ぜひ、だしをとる習慣をつけてください。
また、ちょっと醤油をたらした状態で、このだしと、粉末のだしの素と味を比べてみてください。
シンプルな味つけだと味の違いがよくわかりますよ。
ぜひ、ご家族で「だしのテイスティング」をしてください。

だしがらの利用法
だしがらの昆布、かつおはどちらもぜひ、再利用してください。天然のだしは捨てるところがありませんよ。

昆布……佃煮に。昆布は酒・しょうゆ・みりんで佃煮に。肉厚の昆布なら、だしをとった後も旨みは十分にあります。

かつおぶし……干してから、油で揚げて、こちらも佃煮風に。油で揚げることで、コクがでます。ご飯の友に最高です。


●クック&ダイン註
 かつおぶしを濡れ布巾でくるんで保存する場合、頻繁に使用しないと鰹節がかびる場合がございます。ご注意くださいませ。

 

分とく山

いわずと知れた日本料理の名店。季節を愛でる日本料理の基本を大切にしながらも、自由な発想で、体と心にやさしい美味料理を探求。料理長の野崎洋光さんは『美味しい方程式』など著書多数。

電話番号 : 03-3400-2968  
住所 : 港区西麻布4-2-13(八幡ビル3F)
最寄り駅: 日比谷線 広尾駅 西麻布口徒歩5分
営業時間 : 17:00〜21:00
定休日 : 土、日、祝

序章・野崎さんのだしに対する考え方

2・煮干しのだしのとり方

3・煮干しの頭とはらわたを使った煮物


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