日本料理の大御所・「分とく山」野崎洋光さんに教わった


今日からはじめる本当においしいだしのとり方





序章・だしに対する野崎さんの考え方

みなさんは、本当においしいだしをとっていますか?
だしは料理の基本でありながらも、ついつい面倒になり、粉末のだしで誤魔化したりしがちです。
ですが、やはり日本料理はしっかりだしをとらないとおいしい料理はできません。
また、だしさえしっかりとってしまえば、後は料理人のように難しいテクニックを使わなくともおいしい料理ができるのです。

日本料理界の重鎮であり、栄養士の資格をもつ理論家、西麻布「分とく山」の野崎洋光さんに本当においしいだしのとり方を聞いてみました。
実践編の前に、野崎さんの「だし」に対する考え方をお読みください。



濃すぎるとまずい

  だしというのは、料理の素材の旨みをサポートする役割ですので、濃いからといっておいしいわけではありません。濃すぎると味のバランスを崩しおいしくありません。
 素材に十分な旨みがあれば、だしは必要ないのです。
 また、かつおや煮干しなどの自然の素材でとっただしを「薄い」と感じるのは、粉末のだしの素に味が慣れてしまっているからです。

飲み比べましょう

 粉末のだしの素でとっただしと自然のだしの違いは、最初は料理の中に入れてもあまり違いがわからないかもしれません。

 そこでぜひ試していただきたいのが、「だしのまま飲み比べる」ことです。

 飲み比べてみると、粉末のだしの素の場合は、最初に強烈な旨みが出てきてインパクトがあるのですが、不自然な後味が残ります。
 一方、自然のだしを飲むと、最初は「あれっ、薄いかな」と感じるかもしれませんが、だしがすーっとのどから胃に通り、後味が爽やかです。

 ぜひ一度、家族で試してみてください。小さなお子様は自然のだしを物足りなく感じるかもしれませんが、味覚というのは、発達していくものです。ある程度の年齢にならないと自然のだしをおいしく感じないかもしれません。ですが、小さいころから、幼稚な味ばかり食べていると、大人になってもひどい偏食が続く傾向がありますので、小さいときにしっかりとした味覚を身に付けることは大切ではないでしょうか。

だしは決して高くありません

 天然のだしは高いというイメージがあるかもしれませんが、だしは決して高いものではありません。
 鰹節を削ってできる作ったみそ汁。だしにかかる値段は1杯30〜40円です。
 もちろん、粉末のだしの素に比べたら、高いかもしれませんが、缶コーヒー1杯120円を考えたら安いと思いませんか?これでおいしい料理ができるのですから、安いものです。
 また、だしをとっただしがらは、かつお、昆布、煮干し、鶏肉などどの素材でもおいしく再利用できるので、けっして無駄にはなりません。


だしをとる習慣をつけましょう

 時間がかかるわけでもなく、決して値段が高いわけでもありません。では、なぜだしをとらないかというとだしとる習慣がついていないだけなのです。世の中は日に日に便利になり、料理をはじめ家事はどんどん楽になっています。だしをとることすらも面倒に感じるような時代です。
 ですが、おいしく、体にやさしい食生活を送るためにも、ぜひだしをとる習慣をつけてください。

分とく山

いわずと知れた日本料理の名店。季節を愛でる日本料理の基本を大切にしながらも、自由な発想で、体と心にやさしい美味料理を探求。料理長の野崎洋光さんは『美味しい方程式』など著書多数。

電話番号 : 03-3400-2968  
住所 : 港区西麻布4-2-13(八幡ビル3F)
最寄り駅: 日比谷線 広尾駅 西麻布口徒歩5分
営業時間 : 17:00〜21:00
定休日 : 土、日、祝

「天然のだし」コーナーはこちらです

1・かつおと昆布のだしのとり方


2・煮干しのだしのとり方

3・煮干しの頭とはらわたを使った煮物

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