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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その83 アイロン掛けは必須」

和裁の一つの技術としてアイロン掛けがあります。
これは仕上げの作業ですが、手縫いで縫製するわけですから、 仕立ての過程では当然皺になっていたりする訳です。

でも納品する時には、キチンとシャンとなっていなければなりません。

最近、扱い量も増えた仕立て上がりの所謂プレタの着物をお届けする際 にも、納品前のチェック時に畳み皺や変な癖が見つかることがあります。

こんな時も、アイロン掛けをして仕上げ直しをします。

手縫いの仕立上り後の仕上げは、仕立て屋さんの仕事になりますが、 納品前のチェック時に見つかった皺などは呉服屋の仕事になります。

ですから、アイロン掛けは呉服屋にとっても必須なんですね
ただ、この時 気を付けなければならないことがあります。

正絹の縮緬などの素材は湿気で縮む特性をもっています。
ですから、スチームは禁物です。

また、アイロンの温度設定・力の入れ方加減で生地の表面がテカって しまうことがあります。

そんにヘマを仕出かしてしまうと、シミ抜き屋さんのお世話になることに なり、お客様からは頂けない直し賃が経費として発生してしまうことに なりますから細心の注意を払わなくてはなりません。

ですから、アイロン掛けには当て布も必須です。

自分のシャツにもアイロンを掛けたことの無い男性の丁稚でも、 いつもクリーニング屋さんへ出しているというOLの方でも呉服屋の 若女将を目指すのなら、着物へのアイロン掛け位は出来なければ ならないと言うことです。

それから、私も修行時代よく叱られたこと・・・

折角、アイロンで綺麗に仕上げた着物 これをたとう紙に収める時も注意が必要です。
畳んだ時に上からは見えない側の袖が注意をしておかないと知らぬ間に 折れていることがあります。

目に見える側は綺麗になっていても反対側の袖が折れたままたとう紙に入れ 納品をすると・・・・

当然、お客様が着用しようとたとう紙から着物を出した時に折れ目が残って しまっていることに・・・
更に、長い間箪笥の引き出しに入れておいた状態が続いていた場合はプレス し続けていたことになり、シツカリ皺が残ってしまいます。

ですから、たとう紙に入れたときには下側の袖口・袖底・振りがキチンと 上側の袖に添うようになっているかどうかを確認しなければなりません。

それから、呉服屋としては仕立上りの着物を持つ時は、身丈の半分で畳まれた たとう紙に入れる大きさから、更に袖丈のところで折り曲げ、両袖山と 両袖底を左右の両手でしっかりと掴みたとう紙の上に置きます。

袖山をたとう紙の左端に合わせてから、袖丈のところで折り返したいた 身頃を開き、たとう紙の中に収めるという手順を体に覚えこませておくことが大切です。

シツカリ身体で覚えてくださいネ。


頑張ってください!・・・目指せ 大番頭&若女将!!


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