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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その74 居敷き当て」

「居敷き当て」・・・・コレって何かわかりますか?


着物を仕立てる際にお尻にあたる部分に縫い付ける当て布です。

毎日のように着物を着ていた昔、どうしても肩の部分や座ると擦れる お尻の部分は生地の痛みが激しくなります。

そのため、表地を補強する意味合いで付けられたのが肩当・居敷き当て というものなんです。

浴衣や普段着のウールの着物には今でも付けることがあります。
肩当は晒やモスの生地、居敷き当ては余り切れや足らない時は晒を付けます。
但し、最近の浴衣はファッショナブルになって生地の織り方も多様化してきました。
透ける素材の物や薄い地色の物も多くなってくると、どれにも居敷き当てってのは考え物になります。
当て布を縫い合わせた部分が表に響いてしまうからです。
ですから、薄地の浴衣や綿絽の浴衣などには敢えて居敷き当てを付けません。

同じ理由で、正絹やポリエステルでも絽の小紋・紗の着物にも居敷き当ては付けません。

もっとも、単衣や薄物の色無地・小紋・紬などは背伏といわれる細い テープ状の布を背縫いの補強の為に縫い付けますので構造上、居敷き当て を付けることが出来なくなっています。

ただ、同じ居敷き当てでも長襦袢を袖無双・裾引き換えしの胴抜きで 仕立てる際には、メーカーからの注意書きにも居敷き当てを付けて下さい と記されています。

これは、お尻の部分が胴抜き仕立ての場合は生地が単になっており、 正座などをすると、生地が引っ張られ縫い目が引けてしまうことを防ぐ為です。

この場合、基本的にはお尻の部分に縫い付ければいいのですが、先述と 同じ理由で、縫いつけた縫い目が表に響いたり、お尻の部分が多少 不細工になったりするものですから、広巾の生地を腰の縫いこみ部分 から、裾ギリギリまで大きく付けることが多くなりました。

耐久性と見た目の美しさ・・・・お互い相容れない永遠の課題です。

そのあたり、どんな着物にどういった対処をするのか?
よく勉強と経験をつんでいるから、あなたにお任せしますって 言われるように、なってくださいネ。


頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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