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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その68 袖だけ長い」

男性は女性に比べ体格も大きいですから、当然裄も長く作らなければ ならないことが多くなります。

その為、男物にはキングサイズと呼ばれる巾広の反物の規格で織られる モノが多いのですが、ここで、もう一つ問題が生まれます。

手が長い割に体が細い場合です。

袖巾だけ長く仕立てが出来るよう、身巾は並寸で充分 そんな商品は無いものか?

実は昔ありました。

ウールの男物のアンサンブルの反物です。

着物と羽織の袖の部分だけ同じ色目・同じ織り方で幅広に作ってありました。

身頃の部分は並巾で、幅広の生地が芯に巻いてあり、その上から並巾の 生地が巻き付けてありました。

でも、売れませんでした。ずっと、当店の陳列台に置いてありましたが 埃を被るぐらいまで、残っていました。

最終、バーゲンで破格値にして実店舗のお客様にお買上いただきました。

仕入れ先の専務も京都のメーカーに修行していた時に同じような商品の 開発をしたそうです。

やっぱり、売れなかったそうです。

呉服屋の業界としてはこれは画期的 絶対に消費者の方に喜んでもらえる 筈と意気込んでリリースしたのに・・・

なんてのが、正直なところです。

売れなければ、もう作れません・・ってのが、メーカーの言い分

着物好きの男性がもっと多くなり、需要と供給のバランスが取れるように なると、再登場 何てこともあるかもしれません。

呉服屋の立場では、そういった反物が必要な方に別注でもいいから 提供できるといいと思うのですが・・・

着易く、着姿も素敵で、活動的な男の着物をご提案出来る日を願って

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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