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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その59 九寸と八寸の違い」

1寸法師が9人で9寸 一人欠けたら8寸という訳ではありません。

業界で言う名古屋帯の分類上の名称です。
チャンとした呼称は九寸名古屋帯・八寸名古屋帯といいます。
八寸名古屋帯の場合は袋名古屋帯とも呼ばれます。

大正時代末期に名古屋で考案されたので、この名が付いたようです。

同じ読みの「なごやおび」でも、名護屋帯とは別物です。

その名古屋帯、織機で織られるわけなのですが、織り上がりの生地巾 によって八寸と九寸に分かれます。

帯の反物を比べるチャンスがあれば是非自分の目で確かめてください。

でも、単に生地巾が違うだけではないんです。

概して、九寸名古屋帯の場合は染めの着物に合わせる略礼装用 八寸の場合は紬などの先染めの着物に合わせるカジュアル用とその 用途が大別され、仕立て方も異なってきます。

九寸の場合は芯を入れて仕立て上がり八寸の巾に仕立て上げます。
八寸は端かがりをするだけになります。

結局は八寸巾に仕立て上げるのは同じなのですが、九寸の場合 帯巾を加減することも出来ます。

大きな体の方の場合、お太鼓が貧弱にならないように9寸3分、 逆に小柄な方の場合は7寸8分といったように・・・

縫込み分をどれだけにするかで巾がある程度調節できます。
八寸名古屋帯の場合はかがるだけですから、生地巾一杯しか出来ません。

西陣のキラキラした名古屋帯は殆どが九寸名古屋帯です。
ですから、小紋・色無地などに合わせることが多くなります。

付け下げ・訪問着以上の礼装には袋帯です。

逆に博多の献上柄の帯は八寸名古屋帯ですから、カジュアル系の お洒落小紋・紬・大島・木綿の縞や絣の着物に合わせていただく帯になります。

ここで、皆さんは普通の小紋とお洒落小紋は同じ小紋なのに 合わせる帯が変わってくるのか?・・・という疑問に突き当たる かもしれません。

また、綴れは格が上の帯と聞くがどうなの?・・・と思う方も いらっしゃるかもしれません。

そしたら塩瀬の九寸の名古屋帯は?

更に突き詰めると、礼装用の帯のはずの袋帯に「洒落袋帯」とかいう 訳のわからないものも出て来る始末。

一体ドナイなってんの?

無理もありません!修行時代の私も訳がわからなかった頃がありました。

あくまで、袋帯・九寸名古屋帯・八寸名古屋帯というのは商品の形状 規格サイズ上の分類と考えた方がいいかも知れません。

フォーマル系統に合わせる帯はキラキラさらさら
カジュアルの場合はザックリがさがさ・・・・・そんな感じで 理解した方が良いでしょう。

後は、経験と場数とセンスを磨くことです。

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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