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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その46 八掛:無地とボカシ」 

着物の裾回しに付ける裏地に八掛というのがあります。

裏地の上の方に付いているのが胴裏・・・これは、今ではほとんどが白

それに対して、八掛は仕立て上がった時に表生地の裾と袖口からチョッと 覗くように仕立てられます。また、歩いて裾が翻ったときにチラッと見え るため、表の色目にコーディネイトできるよう様々な色目が用意されています。

また柄付けされた八掛もあります。


今回話題にするのが、無地とボカシ

本来、八掛は無地でした。色無地や絵羽物の共八掛は今でもそうです。
また、紬・泥大島の濃い地の着物には殆どが無地の八掛を付けます。

しかし、薄色の小紋・付け下げ・白大島の時は注意が必要です。

表地の地色が薄い場合は、無地の八掛を付けると、色物の八掛と胴裏の 継ぎ目の段が着用時に着物の表に響いてしまうことがあるからです。

そういった不具合を解決するために考案されたのが額縁状にボカシ染めのされた八掛です。

縦褄と裾・袖口・衿先に来る部分だけ色目が出るように引き染めされています。

因みに、無地の八掛けはドボンと釜に浸し込んで染めるのに対し、ボカシ の八掛は刷毛でぼかしながら染めるため手間が掛かります。

当然、価格はボカシ八掛の方が高くなってしまいます。

昔、丁稚修行時代に鮫小紋を買って頂いたお客様がいらっしゃいました。

「鮫小紋は縫い紋を付けて色無地代わりにもお召しいただけますヨ」
とオススメし、
「色無地代わりなら共八掛で無地にした方が格が上がります。」なんて 中途半端な知識で商談を進めていたら、側に居た先輩に途中で呼び出され

「鮫小紋の場合は細かな柄の部分が白に抜けている分、地色より見た目が  薄く見えるから、八掛はボカシを勧めなくてはいけない!」・・・と

大目玉を貰いました。確かに後で検証したら八掛と胴裏の縫い目の段が はっきり写っていました。

八掛は、表地に合わせ、お客様のムード・お好みに合わせて提案するのが王道です。

また、お客様にとっても、裾回しの色目選びはこしらえの楽しみでもあるんです。

ですから、手間が掛かっても、特に初めてのお客様の場合は着物を こしらえる楽しみをお伝えするよう心掛けてください。

鮫小紋にはボカシの八掛ですヨ

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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