vol.14 パンプス脱ぎたて! 初心者さんのスニーカー選び

藤原 綾さんフリーエディター/ライター
藤原 綾さん

フリーエディター/ライター。
出版社での女性誌編集部を経て、2007年にフリーの編集者として独立。
以後、『sweet』や『SPRiNG』などの女性誌、コレクションブランドからストリートブランドのムック本や
カタログのビジュアル制作を手掛けるなど幅広いジャンルで活動中。手掛けた作品は数百冊に及ぶ。

パンプスからスニーカーへ!ヒールの呪縛からの解放

先日、ファッションにまったく興味のない印刷会社の人から、
「最近、みんなペタンコの靴ばかり履いてますよね? 会社の規定が緩くなってきたんですか?」
と聞かれました。
それもひとつの要因ではあると思いますが、あくまでも結果だと思います。その前に、ファッションとしてのスニーカーの流行があって、1回ヒールを脱いだらその楽ちん沼にハマり、「そもそもなんでヒールをはかなければならないんだ」という疑問が女性に湧いてきたのではないでしょうか。

スニーカーの流行はストリートブームの際も起こりましたが、あくまでも学生さんなど服装が自由な人たちの間で起こったブームで、大人の女性のスニーカーが定番化していったのは十数年前からだと思います。

マス向けの女性誌でも、最初はヒール付きやインソールのスニーカーの悪あがきから始まり、結局ブームに抗えず、スニーカー特集が組まれるようになりました。そして、世間のカジュアル化が進むにつれて、当たり前のようにヌケ感という言葉と共に数々のスニーカーが誌面を飾るようになります。

そこからはオタク的な要素もある男性のスニーカーブームとはちょっと違って、女性はスニーカーを履くということに意義があるというか、多くの人はコーディネートに合わせてデザインや履き心地で選んでいるように感じます。

ちなみに私は、ザ・日本人という足の形をしていて、幅が広くて甲が高いので、いわゆる定番だとアディダスのスーパースターがしっくりきます。一方で、ナイキは少しくびれがあって、やや細身のスタイリッシュなシルエット。今、スニーカーのトレンドはナイキがかっさらっていますが、残念ながら私の足には合わないので基本的には手を出せません。悲しみ。

“スニーカーを履いてもいいんだ!”という女性たちの気づきから始まり、すっかり定番化したスニーカーですが、それでもまだヒールの呪縛から解き放たれることができない人もいる様子。
なぜかヒールを履いたほうが歩きやすい、ヒールを履かないと脚が太く短く見える、どうコーディネートすればいいのかわからない、子どもっぽく見える……、まあまあそう言いなさんな。

今回は、普段ヒールばかり履いている人でも試しやすいスニーカー特集。自分の足の形に合っていて、歩きやすくて、そしてフェミニンなコーデにも合わせやすい、とっておきのスニーカーを紹介していきます!

スニーカーらしさを味わうならローテクを選ぶべし!

コンバースのオールスターやジャックパーセルに代表されるローテクスニカー。1990年代にテクノロジーを駆使したNIKEのエアマックスやReebokのポンプフューリーが誕生したとき、それまでにあった素朴な印象のクラシックなスニーカーをローテクと呼ぶようになりました。流行に流されず、ずっと履き続けられる定番であること、そしてものによってはそのまま洗濯機に入れられるくらい、とにかく頑丈。多くのスニーカーマニアも結局ここに戻ってきます。最近では、その一部がコート系(コートでプレイする際のスポーツシューズ)と呼ばれて、改めてその価値が見直されています。

アディダス オリジナルス スタンスミス
アディダス オリジナルス
スタンスミス
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1971年にテニスシューズとして誕生した、アディダスのスタン・スミス。シュータンを見て、「このおじさん、誰?」と一度は思ったことがあるのでは? この人こそ、テニス界の英雄、スタン・スミスさん。彼が着用したことで人気が高まり、アディダスのアイコン的存在になっていきました。90年代には「世界で一番売れたスニーカー」としてギネスブックにも認定されています。コーディネートを選ばないプレーンさと、誰が見ても間違いない定番っぷり

オニツカタイガー メキシコ66
オニツカタイガー
メキシコ66
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バンズのオールドスクール(通称ジャズ)、ニューバランスの996、プーマのスウェード……と、挙げたい靴は数あれど、パンプスからの切り替えを考えるなら、オニツカタイガーのメキシコ66を選ぼうじゃありませんか! トレーニングシューズがベースとなっているので、他と比べると生地も底も薄くて、シルエットの細身。レザーシューズのような顔をしているので、大人っぽくキレイめに仕上がります。スニーカーマニアからも一目置かれる一足です。

トドス キャンバススニーカー
トドス
キャンバススニーカー
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ローテクスニーカーはデザインも使い勝手もいいんだけど、残念ながら履き心地がいいかといわれると、正直微妙。わざわざヒールを脱ぐんだから、心地よくなきゃ嫌! という人には、todosのシンプルスニーカーはどうでしょう? インソールは高反発の弾力性の高い素材で、ふわふわとした感触。2.5cmヒールの程よい厚みは、フラットシューズが苦手な人でも安心です。それにしても今どき、こんなカラバリ出しますかね! そういうとこ、好き! ちなみにこちら、とんでもないリピーター数に加え、色違いで購入する人続出のお化けアイテムなので、まずは一度お試しあれ。

トドス キャンバススニーカー
トドス
キャンバススニーカー
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アディダス スタンスミス
アディダス
スタンスミス
オニツカタイガー メキシコ66
オニツカタイガー
メキシコ66

ドレスシューズ気分で、上品にカジュアルを楽しむ

普段、キレイめのスタイルが好みの人ほど、スニーカーが苦手な様子。確かにヒールは疲れる、でもスニーカーを合わせるとコーディネートがちぐはぐな気がする……と、ご心配のあなた! フォルムやディテールで、カジュアルになりすぎないスニーカーを選びましょう。なだらかなライン、ラメの光沢感、上質な素材など、ディテールで女性らしさと品を感じさせるのがコツ。

ドクターマーチン サンタニタ
ドクターマーチン
サンタニタ
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ワークブーツの雄らしからぬ、ドクターマーチンのサンタニタ。素材は綾織りの軽いキャンバス地でカジュアルに、見た目はシンプル&上品に。シュータンにストレッチをきかせることで、着脱がしやすいのもポイントです。サイドにはイエローステッチを添えて、マーチンらしさをアピール☆ 柔らかなカップインソールはとてもいいのですが、日本人足型の幅広さんはやや注意。

トドス レースアップ 軽量 スニーカー
トドス
レースアップ 軽量 スニーカー
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驚きの軽さを誇るtodosのレースアップスニーカーは、ラメ入りのシューレースやスタイルアップ対策がなされた、まさに“パンプス替わりの美脚スニーカー”。履き口の中央をくぼませることで、横から見たときに足が細長く見える視覚効果を狙いつつ、つま先に向かって細くなるフォルムがIラインを強調してくれます。ダイヤ型にくり抜かれた超軽量のEVAソールがとても歩きやすく、まるで履いていないかのような柔らかな感触です。

クラークス アン マウイ レース
クラークス
アン マウイ レース
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約200年の歴史を誇るクラークス。デザートブーツの印象が強いものの、他のラインナップも秀逸です。クラークスのスニーカー、アンマウイレースは、クラシックなコート系スニーカーを今どきにアップデートしたもの。アッパーとソールの一部に蛇柄のリッチなレザーを使用しているので、キレイめスタイルにもしっくりなじむはず。軽量のアウトソールに加え、様々な効果がある取り外し可能なフットベッド付きなど、機能性も◎。

ドクターマーチン サンタニタ
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トドス レースアップ 軽量 スニーカー
トドス
レースアップ 軽量 スニーカー
クラークス アン マウイ レース
クラークス
アン マウイ レース

誰でも持ってる黒パンプス、スリッポンに変えてみては?

シューレースや留め具がなく、slip-on=滑り込ませるように履くことから名づけられたスリッポン。イギリスではスリップ・インと呼ばれ、1900年前後に舞踏用として履かれたことが始まりで、着脱のしやすさも人気のひとつです。シンプルですっきり見えて足元が主張しないので、スニーカー初心者にも最適。黒パンプスの頻度が高い人は、まずは黒いスリッポンで普段のコーデになじませることを意識してみるといいと思います。

ナイキ コート レガシー SLP
ナイキ
コート レガシー SLP
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NIKEのコート レガシー スリッポンは、毎日履けるシンプルさ! 背面にスウッシュのライセンスプレートがさりげなくあしらわれているのが憎いポイントです。 耐久性に優れたキャンバス地で、伝統的な佇まいはそのままに、モダンなニュアンスが加わったNIKEらしい一足です。

ザ ノースフェイス ベースキャンプ モック
ザ ノースフェイス
ベースキャンプ モック
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THE NORTH FACEのモックは、一度はいたら何度もリピート&モデル違いで欲しくなるヤミツキ度高めのアイテム。ヌプシは私の旅行のときの定番です。こちらは『ベースキャンプ』のモックタイプで、サンダルに近い感覚。軽くてクッション性があって、グリップ力もあり。アウトドアでもタウンユースでも活躍します。

トドス ニット 軽量 スニーカー
トドス
ニット 軽量 スニーカー
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夕方になってむくむのは、ヒールで足に負担をかけているからでは? 自覚がある人は、足に優しく歩きやすいtodosの超軽量ニットスニーカーはいかがでしょ? 甲周りの編み方を変えてホールドしつつ、履き口はしっかり伸縮。前面まで切れ目を入れた弾力性のあるアウトソールで、返りのよさも抜群です♪ カップインソールで、しかも肉厚クッションつきも嬉しい限り。

トドス ニット 軽量 スニーカー
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ナイキ コート レガシー SLP
ナイキ
コート レガシー SLP
ザ ノースフェイス ベースキャンプ モック
ザ ノースフェイス
ベースキャンプ モック

ダッド熱は落ち着いてもボリューム底は主流に?

ダッドスニーカーブームが巻き起こったと思ったら、今度はコート系スニーカーブームが訪れ、何かと話題の欠かないスニーカー界隈。今年は、チャンキーやプラットフォームなどの適度なボリュームソールに、シンプルなアッパーを組み合わせたスタイルが人気です。すっかりヒールを履かなくなって以降、私も様々な靴を履いてきましたが、自分の足が楽に感じることや普段のコーディネートだけを考えると、この形が一番しっくりくるかもしれません。

トドス シークレット インヒール スニーカー
トドス
シークレット インヒール スニーカー
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ストレッチサテンを部分使いしたアッパー×結び目のない伸縮性のあるシューレースで、大人っぽい雰囲気漂うtodosのシークレットインヒールスニーカー。ここに、厚みのあるシャークソールを組み合わせることで、ぐっと今年らしい表情に。足元の清潔を守るカップインソールは、クッション性があって、2cmのインヒール。アウトソールと合わせると5.5cmあるので、背が小さい人にもおすすめです。しかも、ボリュームはあるのにLサイズでも約200gという軽さ! いいぞいいぞー!

プーマ キャリーナ リフト
プーマ
キャリーナ リフト
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80年代のカリフォルニアを感じさせる、プーマのキャリーナ リフト。コート系の厚底が存在感を放ちつつ、イメージはあくまでもスタンダード。今回はあえて、ピンクをきかせた配色をセレクトしました。何にでも合わせたい! という人は、ホワイト×ブラックを選んで、デイリー仕様に。衝撃を吸収してくれる機能を搭載しているので、もちもちっとした柔らかな感触が快適なだけでなく、長時間歩いても疲れにくいメリットも。

ナイキ エアマックス 2X
ナイキ
エアマックス 2X
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最後はこちら、NIKEの立役者、エアマックスで締めるとしましょう。1987年に生まれて以降、様々な配色やデザインで今でも親しまれている言わずもがなの名品。エアマックス95が発売されると、エアマックス狩りのニュースも相まって、ハイテクスニーカーの認知度が一気に高まりました。NIKEのデザイナー、ティンカーハットフィールドは建築家でもあったことから、靴の内部をあえて見せるという斬新な発想が生まれ、シンボルのエアウインドウの誕生に繋がりました。

トドス シークレット インヒール スニーカー
トドス
シークレット インヒール スニーカー
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プーマ キャリーナ リフト
プーマ
キャリーナ リフト
ナイキ エアマックス 2X
ナイキ
エアマックス 2X

それにしても、最近とても追いきれないほど、ハイブランドとスポーツブランドのコラボが生まれまくってますね。こうなってくると、なんかつまらないなーと思ったりもします。希少価値がどんどん失われていっているような……?
とにもかくにも、“着飾る”ことはとても楽しいことなので、ヒールはハレの日や特別な日のために大切にしながら、過ごせるものなら普段はスニーカーで過ごしたいものです。ヒールを履くことで美しさを保てる人は、超ストイックな体幹の化け物なので、我々凡人はおしゃれを楽しみながらスニーカーで歩きまくりましょう。

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