2021.1.14
ファッショナブルな抗菌生地をプラス
DIESEL（ディーゼル）
メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん
メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド～メンズファッションは温故知新」が発売
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは！？
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです！
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも！？
コロナに振り回された1年
この原稿を書いているのは、2021年1月7日。
今日、私が住んでいる東京都、そして埼玉、千葉、神奈川の三県に対して、第二回目となる緊急事態宣言が発出されました。
思い返してみると、“中国の武漢を中心に、未知の新型コロナウイルスによる感染症が拡大中”というニュースをテレビで初めて見たのは約1年前、2020年1月末のことでした。
その頃はまだ、僕を含む大半の人は「へえ、またSARSみたいなのが出てきたね」と軽く考えていて、まさかその類が身近にまで及ぶとは想像もしていなかったと思います。
「これは、いよいよヤバいかも」と実感したのは2月末になってからでした。
私の2020年2月26日の日記には、「コロナ禍いよいよ深刻に。政府が二週間のイベント等中止を要請」と書いてあります。
そして3月2日から小学校・中学校・高校が臨時休校となり、その後も勢いは衰えず4月7日に第一回目の緊急事態宣言が出されたわけです（2020年5月25日解除）。
今これを読んでいるすべての皆さんも同様だと思いますが、この1年は本当に特殊な期間でした。
まさかこんなことが本当に起こるとは、という事態に次々と巻き込まれました。
私自身の生活を振り返ってみても、大好きなライブハウスには一度も行けませんでした。カラオケも飲み会もずっと我慢しているし、大小もろもろの個人的イベントや仕事が取りやめや延期になりました。
介護施設に入っている年老いた両親とは面会NGで、1年間でほんの数分、施設の玄関先で顔を見ただけです。
兄弟や親戚にもほとんど会えず、仕事関係の人との会合や取材もリモート中心。同窓会などもままなりません。
これほどの辛抱を強いられると、1年前の今頃はつゆほども考えてもいませんでした。
そして恐ろしいことに、私たちの生活をこれほど変えたコロナの脅威は衰えるどころか勢いを増し、まだまだ収束の兆しが見えていないわけです。
bild:MIKI Yoshihito, flickr.com, CC BY 2.0抗菌生地を使ったコレクション
あらゆる商品の中で、この1年間もっともよく売れた（前年比）ものは、大方の予測通り「マスク」なのだそうです。そして、「各種抗菌グッズ」が続きます。
今回ご紹介するDIESELのUPFRESHINGコレクションも、注目が続く抗菌グッズの一つです。
UPFRESHINGコレクションのスウェットやパーカーはいずれも、抗菌および抗微生物効果を持つ、画期的な加工技術が施されています。
生地の表面は撥水性能があり、飛沫をバリアする効果もあるのだそうです。
1978年にイタリアで誕生したディーゼルは、現在の本社をイタリア北東部・モルベナに置き、80カ国以上に5000ヶ所の販売拠点、約270もの直営ストアを運営するワールドワイドなアパレルブランドです。
デニムブランドとしてスタートしましたが、現在はトップスやアウター、バッグ、シューズを含むさまざまなアイテムを発表しており、プレミアムカジュアルブランドとしてトータルで楽しめるコレクションを展開しています。
ディーゼルが設立当初から、ブランドのコンセプトのひとつとして掲げるのが、「Brave＝勇敢」というキーワード。
創業者のレンツォ・ロッソが代表を務め、今では数多くのブランドを傘下に収めるディーゼルの親会社は、その名も“オンリー・ザ・ブレイブ社”といいます。
ディーゼルは、勇敢な姿勢で不可能に見えることに挑戦し、人々をあっといわせるようなものを創りだすことをブランドの信条にしています。
bild:Dick Thomas Johnson, flickr.com, CC BY 2.0UPFRESHINGを使ったアイテムをチェック
しかし“抗ウイルス”ではない
UPFRESHINGコレクションの生地に施された技術は、アレルギー反応や染みといった様々な問題の原因となる細菌（バクテリア）や菌類、ダニ等を寄せ付けないものであると謳われています。
それら有害微生物から洋服を守ることができるため洗濯の回数も削減でき、洋服へのダメージを軽減させるサステナブルな商品でもあるのだそうです。
しかし、ここで注意しなければならないことがあります。
コロナ感染症は細菌ではなく、ウイルスによって引き起こされる病気。
そして細菌とウイルスは別物だということを、私たちは知っておかなければならないのです。
UPFRESHINGコレクションは、抗菌効果や飛沫バリア効果は認められるものの、ウイルスに対して効果があるものではないので、これさえ着ていれば万全のコロナ対策になるというものではありません。
そもそも細菌とウイルスとは、何が違うのでしょうか。
どちらも肉眼では見えない極小の生物である点は同じですが、両者ははっきり区別しなければならないそうです。
私自身もその違いを認識していなかったのでカンニングした結果、ざっくり言って以下のような差異があることがわかりました。
細菌は一つだけの細胞でできた単細胞生物で、栄養源さえあれば自分と同じ細菌をどんどん複製して増えていくことができます。
人の体に侵入して病気を起こす有害な細菌がいる一方で、人の生活に有用な細菌も存在します。もともと人の体には多くの種類の細菌がいて、皮膚の表面や腸の中の環境を保っています。
人に病気を起こす細菌は大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌などが知られています。
一方のウイルスとは、細菌の50分の1程度ととても小さく、自分の細胞を持っていません。そのため、人などの生物の体に入り込み、その細胞に自分のコピーを作らせ増殖していきます。細胞を持たず、単独では増殖できないので、ウイルスは非生物であるという見方もあります。
人に病気を起こすことがあるウイルスとして、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、そしてコロナウイルスなどが知られています。
このように、菌とウイルスでは構造も大きさも、増殖の仕方も異なり、抗生物質のようないわゆる抗菌薬はウイルスに対して効果を発揮しません。
抗ウイルス薬はまだ少数しか開発されておらず、人類はエタノールや塩素材などの、活性化を抑制する物質を使ってウイルスに対抗するしかないのです。
bild:sergio santos, flickr.com, CC BY 2.0“何もしないよりまし”は大事
抗菌効果があるとされるUPFRESHINGコレクションも、ウイルスに対しては効果がありません。
では、コロナに対してまったくの無力であるかと言えば、そうではないと思います。
つまり、“何もしないよりずっとまし”なのです。
私たちはコロナに翻弄されたこの1年間でとても多くのことを学び、実践してきました。
外出する際、人と会う際には必ずマスクを着用し、３密を避け、1日に何回も手を消毒し、検温をし、手洗いやうがいもしっかりとやっている人がほとんどだと思います。
私たちがこんなに頑張ってもなかなか打ち勝てないのがコロナウイルスの恐ろしさですが、逆に考えてみると、「どうせ効果はたかが知れているから」と諦めて、私たちが何も対策を取らなかったら、一体どんなことになっていたでしょうか。
もしかしたら、世界はとっくに機能不全に陥るほどの大ダメージを受けていたのかもしれません。
なんとかギリギリで持ち堪えているのは、その効果が絶対的ではないと知りながら、私たちが予防策を真摯におこなってきた結果だと思います。
“着ているだけで100％コロナウイルスを予防できる服”など、現状の世界では望むべくもありません。
でもせめて、“今できることをやる”という信念でDIESELが世に送り出したUPFRESHINGコレクションのような服を選ぶことは、私たちができる善後策の一つなのかもしれません。
そしてUPFRESHINGコレクションの良いところは、そうした強い志をもった服であるとともに、見た目がとてもかっこいいということです。
感染予防だけを考えれば、毎日、医療用の防護服でも着ていれば良いのかもしれません。でも我々には、コロナ禍にありながらもしっかりとおしゃれをして、日々を楽しく過ごす権利があります。
もしかしたら、そうした明るく前向きな気持ちを持つこと自体が、コロナという災厄に対抗する手段なのかもしれません。
ぜひこの機会にUPFRESHINGコレクションに、またそうした強い意思を持つDIESELというブランドに注目していただければと思います。
