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初めて富士山に登ることになったあなた。
いくら登山道が整備されているとはいえ、そこは標高3,776メートルの日本一を誇る山。
中途半端な知識と装備では登頂はおろか、身の危険だってあり得ます。
まずはしっかりと知識と装備を整えましょう!。本ページでは夏の富士登山を成功させるべくお話しします。
~敵を知ろう!~
なんにしてもまずは敵を知ることから始めましょう。
■富士山
静岡県と山梨県に跨る活火山で、1707年の大噴火以来、噴火活動は休止しています。
標高3,776mの日本最高峰(剣ヶ峰)であるとともに、日本三名山、日本百名山、日本の地質百選に選定されています。
現在の形が作られたのは約1万1千年前。火山としてはまだ若く新しい山なのです。
■気候
富士山頂の年間平均気温は-6.4℃。夏場といえど日中でも6℃前後までしか上がりません。
山頂は風が強く、平均風速は7月 8.5m/s、8月 7.3m/sであり、真夏でも体感気温は0℃以下となる場合があります。
気圧配置などによっては秒速20mを超える台風以上の強風が吹く場合もあります。
また、富士山にガスがかかることは多く、ガスが原因で道を誤り遭難したケースもあります。
当然ながらガスがかかっていると御来光も見られません。
■山小屋
山小屋の多くは7~8月の季節限定営業です。夏の最盛期にはほとんどの山小屋が満室になるほど賑わいます。
寝具は用意してくれますが、寝返りするのがやっとのスペースしかありませんので覚悟しておきましょう。
またトイレはすべて有料です。1回200円程度です。宿泊すると100円になったりもします。
■交通
五合目までは車(シャトルバス)で行けます。しかし、マイカー規制があるのでほとんどの場合はふもとの専用駐車場に止め、そこからシャトルバスで五合目まで向かいます。もちろん電車やバスでもアクセスできます。
マイカー規制や交通手段については各市町村役場のホームページで確認できます。
~計画~
さて敵の攻略法が見つかったら計画を立てましょう。まずは登山ルートの選択です。
富士山は4つのルートがあります。各ルートは下記の通り。
■吉田ルート
山梨県側の主な登山ルートで、ツアーでの利用が多く最も利用者が多い。
登山道のスタートは富士スバルライン五合目。吉田口五合目は下山ルートにあります。
本八合目で須走ルートと合流する。頂上には久須志神社がある。
・メリット
特に関東方面からアクセスしやすく、バスの本数も最も多い。
登山者が最も多いので、登りルートには山小屋も非常に多く、
休憩や天候の急変時の避難がしやすい。
御来光がどの地点でも拝める。9月になっても営業している山小屋が多い。
人が非常に多いので緊急時に救援を周囲に求めやすい。
・デメリット
最も登山者が多いために最も混雑する登山ルートでもある。
歩行距離が富士宮ルートや須走ルートより長く、登山道頂上から剣ヶ峰までの距離が最も長い。
下山道には山小屋が一軒しかなく、ルートも登山路に比べて遠回りとなる。
■富士宮ルート
静岡県富士宮市からの登山ルートで、最も高い地点まで車で行けるため、体力的に楽ですが、高山病になりやすいといった危険もある。
・メリット
各登山道の中で五合目の標高が最も高いので、歩行距離・時間が最も短い。
砂地が少なく岩場が多いため、滑りにくいので比較的歩きやすい。
登山道頂上から最高標高地点剣ヶ峰、浅間大社までの距離が最も短いので、行く場合は最も早く辿り着ける。
名古屋・関西方面からのアクセスが良い。
・デメリット
登りと下りが同じ道のため混雑しやすい。
平均勾配が約29%と最も大きく、岩場が多いため下りでは膝に負担がかかる。
登山道や山小屋からでは御来光が拝めない所が多いため、御来光を拝みたい時は日の出の時間に登頂が必要になる場合がある。
南側のため晴れている日は日差しが強い。
■須走ルート
静岡県小山町からの登山ルート。本八合目で吉田ルートと合流する。頂上には久須志神社がある。
・メリット
人が少なく、本八合目での合流点までは落ち着いて登れる。
樹林帯があり木々を観察できる。下山道に砂走りがある。新六合目から上なら御来光が見られる。
・デメリット
新五合目の標高が少し低いので、富士宮ルートや吉田ルートより体力がいる。
砂走りは石が多く、御殿場口の大砂走りほどは軽快に下れず、非常に長く、砂が深い区間もあり、靴底を壊しやすい。混雑期に砂走りすると前を歩く人のホコリが舞い上がってひどい。
本八合目から上が吉田口と一本化するため、山頂御来光目的の場合は渋滞しやすい。
新五合目のすぐ上の樹木帯は夜間は真っ暗闇になり、登山路と下山路の分岐が多いため、夜間にここを通ると迷いやすい。
■御殿場ルート
静岡県側の御殿場市からの登山ルートで、最も距離が長い。
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・メリット
人が非常に少ないので落ち着いて登れる。
新五合目の標高が低いので高度に身体が順応しやすい。
大砂走りがあり快適に下山できるため、下山道として人気がある。御来光がどの地点でも拝める。
山小屋の宿泊者数が他のルートの小屋と比較して少ないため、快適に宿泊できる場合がある。
・デメリット
新五合目の標高が極めて低く、歩く距離、時間が長いため体力が必要。
滑りやすい砂礫の部分が多く登りづらい。景色が単調。山小屋が少なく休憩しにくく、トイレも少ない。
特に新五合目から七合目まで全く山小屋・トイレ・売店がないため、天候の急変時や体調の悪化時に山小屋に避難できない。特に夜間は道に迷いやすく、下りに靴底を壊しやすい。
■ルート選び
登山経験が浅い方なら、著者的におススメは富士宮ルートか吉田ルート。
富士宮ルートは体力的に、他のルートよりも楽に登頂が可能。
須走ルートは足場が砂礫(石と砂が多く砂浜の様に足を取られるので歩きにくい)な点と、距離を考慮すると、
初心者は距離が長くても吉田ルートがおススメ。
著者的には須走ルート序盤の樹林帯は涼しく、山登りしてる感があるので好き。
■タイムスケジュールを決めよう!
ルートが決まったら次は集合時間等のタイムスケジュール!準備段階ではコレが一番大切です!
まずベースになるのはご来光を拝むのかどうかと、山小屋での宿泊を利用するかどうか。
富士山登頂当日の、日の出時刻と山小屋到着時間を基準に逆算して五合目からのスタート時間を決めよう!
例)富士宮ルートで、八合目の池田館を18時到着で宿泊して山頂にてご来光を拝む。
まず大事なのは八合目到着時間。これは山小屋の予約を取る際に「?時までに(場合により時間は異なる)到着してください。」と言われます。五合目から八合目までは通常約3時間半程。途中での休憩やトラブル等も考慮するとプラス1時間は見ておきたい。逆算すると、五合目スタートは13時半頃。体を高度に順応させる時間を1時間半程取ると、五合目に12時までには着いておきたい。
無事に八合目に到着して仮眠を取ったらいよいよ登頂です。
八合目から山頂までは約2時間半程度。しかしこれは渋滞抜きでのはなし。
実際は夜明け前はどのルートでも山頂渋滞が発生します。
それでも1時間程余裕を持っておけば、よほどの大渋滞でなければ間に合います。
と、いうことは、夏場の日の出は5時前後。2時前後に八合目を出発すれば、天気次第で感動のご来光が拝めます。
ちなみに、2012年の8月10日に著者は須走ルートで登頂しました。その際のタイムスケジュールはこちら。↓
・須走口五合目を13時過ぎにスタート。⇒本八合目江戸屋に18:15着(18時到着予定でしたが15分オーバー)⇒2時に山小屋を出発。4時半前に山頂到着。
~装備を揃えよう~
計画が整ったら次は道具の準備。
高額なものから安価な物までたくさんありますが、まずは必須の物をリストアップ!
各装備の選び方については別のページで紹介していますので参考にしてみて下さい。
□登山靴
・岩場が多いので靴底が固めの物を選ぼう!また捻挫予防のためローカットは避けましょう。
□ザック
30~35リッターの物でok!
□雨具
・防寒着としても使用できるため上下別れている物が理想。
□防寒着
・スタッフバッグのついた物だとパッキングの際に便利。ちなみに著者はダウンジャケットとフリースを持っていきます。
□ヘッドライト
・夜間の登頂には必需品です。安価な物でもかなり明るいものがあります。
□帽子
・日中の日差しは標高が高い分強烈です。紫外線も強いので、著者的にはハットタイプがおすすめ。
□手袋
・山頂付近はかなり寒いです。冷えは手先からきますので最悪、滑り止め付きの軍手程度は用意したい。
□飲料水
・著者は2リッター以上は持って行きます。ハイドレーションシステムでの水分補給はおすすめです。
・水とは別に、塩分補給の為にスポーツドリンクを別に用意しておくと安心。
□ザックカバー
・ザック用のレインカバーです。最近は付属されているものが多いのでザック購入時にチェックしましょう。
□救急用品
・絆創膏は必須。著者はテーピングと包帯、はさみは必ず持って行きます。よく靴擦れしちゃうので。
□携行食
・著者はミニスニッカーズを必ず持って行きます。あとはナッツ類とドライフルーツを少々。
□着替え・タオル
・濡れてしまった時用に靴下と下着は1セットあると安心。
続いては、必須ではないがあると安心、便利な装備。
□スパッツ
・雨天時の泥はねが気になる方や、砂走りなどでシューズに小石が入るのを防ぎます。
□トレッキングポール
・1本よりも2本の方が断然楽ちんです。特に下りでは足への負担が軽減する他、転倒防止にも役立ちますので重宝します。
□サングラス
・目も日焼けしますので日中や日の出時にはあった方がよいでしょう。
□ゴミ袋
・コンビニのちょっと大き目の物で十分です。富士山にゴミ箱なんてもちろんありませんし、山小屋で受け取ってくれる事もありません。必ずゴミは持ち帰って下さい。また、濡れ物用に数枚あると便利ですね。あと、喫煙者は携帯灰皿を忘れずに!
□ネックウォーマー
・夜間の登山はかなり寒いです。長めのネックウォーマーならマスク代わりにもなりますし、一石二鳥。
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↑ちなみに、こちらは著者の装備。場合によって追加したり抜いたりしますが、基本的にはこんな感じで背負ってます。
コーヒーが好きなので、その分のインスタントコーヒーや水を追加します。
~さぁ、出発!~
計画を立て、準備も済んだらあとは出発です。でも、出発の前にする事もあります。
トレッキングシューズを新調したのなら慣らし履きしましょう。ぶっつけ本番は疲労や靴擦れの原因となります。
次にライト用の電池の用意や装備品の点検。これも前日までに行っておきましょう。いざ使うタイミングで使えなければ、余計な荷物になりますし、ものによっては致命的になる場合も。
そして前日までに必ずやっておかなければならない最重要事項は。体調管理です。
初心者でも安心して登れるよう、山小屋や登山道がどれだけ整備されていても、そこは日本最高峰の山。
いつ、何が起こるか登らないとわかりません。
また、体調が優れないままだと高山病の誘発を招き、怪我などの危険ばかりか、仲間や周囲の人へ迷惑をかけてしまいます。
道具や食料は買ったり借りたりできますが、体の管理は完全に自己責任です。数日前からしっかり体調管理をしておきましょう。
~夏富士登山の注意~
道具の使用方法やウェアの着こなし等については別で説明しているので、ここでは夏富士登山における注意点とその対策についてお話します。
■高山病
何度か出てきている単語ですね。普段生活していると中々耳にしませんので、しっかりと覚えておきましよう。
症状は、頭痛・吐き気・めまい・だるさなど。
高山病の主な原因は血中酸素濃度不足。標高が上がるにつれ、空気中の酸素濃度が低下するので、体に十分な酸素が行き渡らなくなるのです。
また、睡眠不足や体調不良は高山病を誘発する場合もあります。
一説によると遺伝子レベルでの先天的な要因もあり、高山病になりやすい体質、なりにくい体質があるともされています。
しかし、実際のところ、行かなければわからない部分もあります。
対策としては・・・
・五合目でしっかりと高度に体を順応させる。目安は、1時間以上五合目に留まる。
・ゆっくりと登る。早く登ると運動量が多いために酸素消費が激しく、酸素供給量を上回るので、高山病にかかりやすくなる。酸素摂取能力が極めて高い人であれば、早く登っても酸素供給が追いつくが、酸素摂取能力が標準的な人がハイペースで登ると、たとえ体力・脚力が十分にあっても高山病となる。酸素の消費量より供給量が上回れば殆ど回避できます。
・水分をまめに補給する。水分不足になると、血液の粘度が上がり、血液内での酸素の運搬が円滑に行われなくなるため、スポーツドリンクなどで水分補給を行う。
もし、少しでも症状が出始めたら、まずはその場に留まり、ゆっくり深呼吸を行いましょう。比較的軽い症状なら30分程度で収まる場合があります。
それでも改善しなかったり、症状が悪化してしまったら高度の低い所へ移動しましょう。もし、症状の改善が見られない場合は無理をせず下山しましょう。
場合によっては携行酸素缶などの使用が効果的な場合がありますが、根本的な改善にはならないのでやはり、無理だと判断したら下山です。
著者は何人も登山道や山小屋でダウンしてるを毎年見ます。
2500m級以上の高所登山においては高山病を回避することが登頂成功に必須となります。
■熱中症
五合目はほぼ森林限界となり、夏の強い日差しを遮るものが全くなくなります。直射日光から頭や目を守るためにも、帽子は必ず被りましょう。
行動中は水分を積極的に取りましょう。水筒でもよいのですが、効率の良い水分補給にはハイドレーションシステムが効果的です。
■低体温症
富士山頂の平均気温は夏でも平均6℃前後と都会の真冬と変わらない寒さです。
防寒装備が不十分だと体温を奪われ、運動能力や判断力の低下、衰弱など、危険な状態に陥ります。
雨風対策に有効な上下別れたタイプのレインウェアが必須なのはもちろん、防寒のためのウェアや手袋も準備しましょう。
■転滑落
不安定な「浮き石」に踏み込んでの転倒や、長い下りでの膝への負担によるトラブルに注意が必要です。
足首までしっかりと覆い、支えてくれる登山靴を履き、ポールを使用して足腰への負担を軽減させましょう。
■落雷・突風
富士山の気象は急変します。
天気予報を必ず確認し、登山計画を立てましょう。悪天候時は落雷や大変な強さの突風に見舞われることも。
その場合は最寄りの山小屋へ速やかに非難しましょう。
■富士山のトイレ
夏の限られた時期に多くの人が登る富士山では、登山者の排泄物処理が大きな問題となっています。
標高の高い山岳地帯では排泄物は自然分解されにくく、これまでは過剰に垂れ流された排泄物が山の植生を破壊したり、生態系に悪影響を及ぼしてきました。
この問題を解決すべく、富士山のほぼ全ての山小屋には、環境保全のためのバイオトイレが整備されています。トイレの種類によって使い方が異なるため、トイレに明記されているルールを守って正しく使いましょう。トイレなどでティッシュを使用する際は、水解性原紙を使用した、水にほぐれやすいものがオススメです。
また、富士山のトイレは全て有料のため、すぐに取り出せるポケットなどに小銭を用意しておくのをお忘れなく。
富士山は登る山でなく見る山だ。という方がいます。
確かに、緑も少なく、生物も殆ど見ません。どこを歩いても同じような登山道をひたすら頂上を目指し登ります。
登山道を歩く中、しんどい思いをしてなぜ登るんだ。もう帰りたい。と思う事もあります。
そうは思いながらも足は一歩一歩頂上を目指し進んでいくのです。それは初めて登った富士山の頂上で見た太陽がまた見たいからです。
苦労して登り、日本で一番高いところで見た日の出はとても綺麗で、あの喜びや達成感、感動は今でも覚えています。
怪我をした事も、天候に恵まれなかった事もありました。しかし、それも富士山の表情なのです。
長々と最後までお付き合い頂きありがとうございます。
もし、あなたが初めて富士山に登る為に、ここで書いたことが役に立つならとてもありがたいことです。
しかし、ここで書いて事が全てではありません。山は登る度にその表情を変えますから、想定外の事も起きます。
入念に準備をして最高の表情を見れる事を願っています。
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