【一汁一菜】お味噌汁中心の食事 新ごぼう、皮鯨
奈良国立博物館前に「下下味亭」というごはん屋さんがあったのを覚えていらっしゃる方もあると思います。そのお店の一汁一菜は絶品で、何とか記録に残すために本にしたいと思っているうちにごはん屋さんは止めてしまわれました。
さまざま思い起こしながら少し私の想いも入れつつ、お味噌汁を中心とした食事の基本、一汁一菜を始めてみたく思います。
十月半ばをすぎて急に秋らしくなりました。お芋類がさかんに出始めます。お芋は意外に早く水分が抜けてしまいますので、買い置きはあまりしないで出来るだけ早くいただいてしまうようにしています。ごぼうも香りがよく美味しい季節です。
小芋と地鶏といんげんの煮合せ
小芋は湯掻かないで、味のついたたっぷりの出汁でいきなり煮始めます。浮いてくるアクをしっかり取りますとぬめりもなく白く仕上がります。ゆでこぼさない方が美味しいのです。
いんげんは色よく塩ゆでしておきます。
地鶏はもものところを使って酒、味醂と薄口しょうゆで少ししっかりと味をつけやわらかく煮ます。盛り付ける前にいんげんを入れて一、二分煮て、三種を盛り、黄色に色づいた柚子の皮(出来るだけ薄く剥いて細く切る)を上にのせます。
器は有光武元さんの菊形向付を使ってみました。この器は見込みが広く大変盛り心地よく出来ています。白化粧の具合もよく豊かな感じがいたします。
新ごぼうと皮鯨の味噌汁
皮鯨(コロ)は少しレモン汁を落とした熱湯でさっと茹で上げておきます。
ささがきごぼうをよくアク抜きして出汁の中で少々煮、皮鯨を入れお味噌を溶き入れます。今回は少し辛い目の仙台味噌と白味噌を少しまぜて薄めに仕上げました。仕上げに黒胡椒を少し多めに(出来れば胡椒挽きで入れ、ごぼうと胡椒の相性を楽しんで下さい。
椀は朱4.2寸汁椀です。
漬物は秋なす(小なす)の糠漬とみょうがの酢漬、器は川淵直樹さんの焼〆です。