軽快なおもてなしの料理 十一月
おもてなしの料理の中には家族へのもてなしも入っているのです。
日常の中で、時にはいつもと違う発想でちょっとごちそうをと思うのは愛情であり、作る側にもいただく側にもたのしいことに違いありません。
いつもとは少し変えてその季節らしい器を出してみる、同じものでも切り方を変えてみる。いろいろとこまかな工夫があれば料理は生き生きとするのです。
この頃はおとりよせブームとかで主婦が何から何まで作らなくても美味しいものが入手可能です。少し手間をかけ、しっかり作ったものと市販のものの組み合わせで軽快におもてなしの方法を覚え、あまり負担にならないようにすれば時々やってみたくなるのではないでしょうか。
十一月はお茶の世界では茶人正月で、十月のわびた月からがらっと変わったものを用いる約束です。開炉の月でもあり、お祝い気分もあるのです。
日常のお客様にもこの季節の華やぎを伝える様なお膳組にして少しがんばってみます。
春とは違った輝きを意識しつつ食器もメニューも考えてみました。
先附はごまどうふ。京都姉小路の粲居のものです。中村恵子さんの唐津の皿が美しく合っています。緑彩の入角の猪口を合わせています。
小鯛のおすしは、十一月になると出て来る京都とりともの「鯛す」を使いました。お皿は袴腰型で金箔ちらし紋が入っているものです。この形は十二月に使われることが多いのですが、形が面白いのとお祝い気分で使っています。
秋鰆(下り鰆ともいうのだそうです)の幽庵焼は、今年漬けた生姜を拍子木に切って添え、六角片身替の織部(有松進 造)にのせてみました。
蟹とほうれん草の酢のものは、長森慶さんの伊羅保のすり鉢形の鉢に盛り、乾山写しの伏原博之さんのお皿で取り分けて召し上がるという趣向です。
朱の片口で少し御酒をすごしていただきます。
最後は今年採れたての丹波の大納言あずきのおはぎ。大阪菊寿堂製です。奥田志郎さんの塗の椿皿がことの外似合います。
折敷を角切の少し改まった気分のものにして、鯛の箸置などでアクセントをつけ、楽しみます。
金箔袴腰型銘々皿
金箔をアクセントにした袴腰型の銘々皿です。
尚古堂
33,000円
絵唐津五寸五分皿
草文と千鳥、松・・・。4種類となりました。汁物のお総菜の取り皿にもおすすめです。
中村恵子
3,960円
朱Y型スプーンNo.2
内側の下地から日本産の純度の高い漆が使われています。
奥田志郎
8,800円
尺2×尺1.5寸角切折敷
愛知県一宮市の真清田神社にある室町時代の「朱漆角切盤」が本歌ですが、こちらは使いやすくするため、長方形といたしました。
奥田志郎
77,000円
織部六角皿
有松進さんの薄くて薄くて、軽くて軽い器。掛け分けの愉しい風景をお愉しみ下さい。ふわっと軽快な小皿は、旬の恵みを懐深く受けとめてくれます。
有松進
6,160円
乾山写4.5寸絵替り土器皿
乾山の写しです。ざっくりとした土器皿に、素朴な文様が描かれています。五客一組となります。
伏原博之
46,200円
伊羅保すり鉢8寸
ざらざらっとした肌感の伊羅保焼です。すり鉢のような線刻がアクセントになっています。
長森慶
33,000円他
朱片口・小
いにしえから生活に伝わる片口の形を注意深く観察し写し取ることから生まれました。
奥田志郎
49,500円
白竹のし箸
竹そのものの美しさと、細工のかわいらしさが上品なお箸です。
市原平兵衛商店
1,430円