軽快なおもてなしの料理 十月
おもてなしの料理の中には家族へのもてなしも入っているのです。
日常の中で、時にはいつもと違う発想でちょっとごちそうをと思うのは愛情であり、作る側にもいただく側にもたのしいことに違いありません。
いつもとは少し変えてその季節らしい器を出してみる、同じものでも切り方を変えてみる。いろいろとこまかな工夫があれば料理は生き生きとするのです。
この頃はおとりよせブームとかで主婦が何から何まで作らなくても美味しいものが入手可能です。少し手間をかけ、しっかり作ったものと市販のものの組み合わせで軽快におもてなしの方法を覚え、あまり負担にならないようにすれば時々やってみたくなるのではないでしょうか。
十月は夏と秋が混在する献立で、少し地味に整えるのをお茶の世界では良しとし、十一月の茶人正月の華やかさを強調しますが、家庭では実りの秋をたのしみ豊富な食材でいろいろ作ってみたい季節です。
心地よい夜、友人を招いてちょっとしたごちそうをさし上げては如何でしょう。
菊形の七寸皿(水野克俊 作)には山うにどうふ(熊本五木屋本舗のお豆腐の味噌づけ)と獅子唐を焼いてしょうゆをからませ、彩りよく盛り合せて。
唐津の徳利と粉引の耳付の盃で一献。取皿は藤塚さんの斜めかけ分けの角皿をとり合せてみました。
次は伊羅保の片口向付(長森慶 作)に鮎の風干しとお野菜の酢のもの。
これは桂離宮の近くの隆兵そばさんが季節のご挨拶に送って下さったハガキの写真(器はようびで買っていただいた小林東五さんの向附)があまり美味しそうでしたので真似させていただいてしまいました。隆兵そばさんは有名な中村軒さんの次男で、お兄さんはお菓子屋さんを継がれ、弟さんはおそば屋さんをなさっています。大変洗練度の高い感性をお持ちの方で、一度行かれたお客様は二度三度と通うようになられると聞いています。
少し寒くなる時間に小さい黒鍋(土楽 作)でたっぷりのお汁(うずら丸と水菜入り)、あとは少々のごはんとおつけもの。
デザートは芋きんつば。
ある方に頂戴して大変美味しかったので毎年季節になると送っていただいています。伊藤順和堂製で、紅あずまと云うお芋を原料にして(九月〜二月まで)おつくりになっているそうです。
お皿は京焼の秋草紋皿(伏原博之 作)を使ってみました。きっぱりとした四角の白いきんつばの衣がこのお皿によく似合っているように思います。
いつものように宅急便をフルに利用させていただいて、馳走ならぬ馳送のよろこびを味わっています。
白磁菊花7寸皿
すっきりとした白のお皿には、彩りよく季節の恵みを盛り付けて下さいませ。
水野克俊
6,600円
ルリ釉掛け分け四方皿
素朴な、土と釉薬そして炎と人が作り出す世界をお愉しみくださいませ。
藤塚光男
4,400円
白竹のし箸
竹そのものの美しさと、細工のかわいらしさが上品なお箸です。
市原平兵衛商店
1,870円
黒鍋・土鍋
油をひいてステーキを焼いても大丈夫!なお鍋です。
土楽
13,200円から