生木鉢・奥田志郎|和食器の愉しみ・工芸店ようび  
  豆腐一丁分の冷奴。  
 
  生木鉢・奥田志郎|和食器の愉しみ・工芸店ようび  
  氷たっぷり敷いて冷しゃぶに。  
 
  お重箱・六五重[丸文金箔付]・奥田志郎   漆器・生木鉢  
  烏賊と小芋とサヤインゲンのたきあわせ。たっぷりたっぷり盛りつけられます。   盛夏の「一汁一菜」です。  
 
 
  生木鉢・奥田志郎|和食器の愉しみ・工芸店ようび  
   
生木鉢

 どうしてこんな名前なの?とお思いになられると思います。これにははっきりと意味がございます。切り出してすぐの欅の木を製材してそのまま形に挽いてしまいます。水分を抜かないで形にしてしまったものは乾燥の過程で歪みます。大きく歪むものとあまり歪まないものがあり、木目の走り方や、木のくせによって一つずつ違った形になります。その面白さを生かしてみようと思われたのは故 奥田達朗氏だったのですが、実は電動轆轤のない頃はこの手法しかなかったのです。足挽きや手挽きのロクロでは、乾燥して堅くなった木材を挽くのは難しく、やわらかい生木のうちに成形までしてしまわなくてはいけなかったのです。歪みの強すぎるものや乾燥する間に割れてしまったものは使えませんので、大変に経済効率の悪いものでした。ある程度許せる限り製品にしたのでしょうが、古いものでそうしたものが残っているのを、ご覧になったこともあると思います。

 電動ロクロになり刃物もよくなって、よく乾燥した材料で挽きものをしても、木はまだ歪むこともあるのですが、その割合は大幅に少なくなりました。そして次第に真円に近いものをよしとする様になったのです。

 でもこの自然の営みともいえる木の習性を活かして、人間的なあたたかさのある形をつくってみたいと思われたのは奥田氏の慧眼でした。

 四十一年前、初めて奥田さんの仕事場に伺った時、土間にうず高くこの素地が積まれていました。「200ヶ位はあるでしょうけれどよいものを選んで塗ろうと思いますが、売れるんですかね」とつくってはみたものの不安そうでした。私はその美しい形に息をのむ想いでさっそく塗っていただくことをお願いし、二年後やっと出来上がってまいりました。その時のうれしさは言い表せぬ程で、思わず抱きしめたのを覚えています。

 その200ヶはこの40年の間に少しずつ塗っていただいてなくなりましたが、以後はこの手法で弟の志郎さんにお願いして作っていただいております。今度のは少し歪みは少ないように思いますが、塗ったものもまだまだ歪む可能性はあり、漆という塗料はその歪みのために割れたり亀裂が入ったりはしないものなのです。その柔軟性は驚くべきもので、漆というものの特長です。

 この美しさを解っていただきたいと祈りつつ、この御紹介をさせていただきました。お使いみちは無数にあり、四十年前のものは今もますます輝きを放って身近にあります。

店主 真木啓子
 
  生木鉢・奥田志郎|和食器の愉しみ・工芸店ようび  
  つるりん冷やし素麺の大鉢に。  
 
  染付扇面図皿・正木春蔵  
  二人用の煮しめ。取り皿は染付「染付扇面図皿・正木春蔵」で。