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まっすぐに、しみじみと、暮らしという言葉を紡ぐ物語
目利き・腕利き主人に学ぶ
器のある暮らし
大阪・曾根崎 工芸店ようび 主人 真木啓子
作家物の器一筋にこの道を歩いて30年になるとう真木啓子さん。さぞかし面白い作家談義が聞けるだろうと思っていたら「うちが売っているのは器であって、作家さんではないんです」とさらり。「確かに!」正しいことは時にショッキングである。もう少し言葉を補うと「その器を作っているのは、たまたま作家だった」という運びで器を見るのが正しい。
真木さんは続ける。「デザインを重んじるあまり、使いにくかったり、欠けやすかったりという器も少なからず横行しているわよね。それで作家物ですなんて言われると、ちょっと違うと思ってしまう」。デザインに惹かれて買ったものの、いまいち手が伸びない器が食器棚の場所塞ぎをするという悪循環。これを断ち切ると暮らしはきっと美しくなるはず。
「私はまずいと思う点は作家さんにはっきり言うの。使い手をおろそかにして、作り手の方ばかり向いているとこれができなくなってしまう。いくらデザインが素敵であっても、使うに耐えない器を褒めたてたら、その作家さんはそこで終わってしまうでしょう」。苦言は物の善し悪しについてであり、作家自身を否定するものではない、と主人は付け加えた。
料理を盛る、手に持つ、口に触れる、洗う、拭く、収める、器にはこんなにたくさんのシーンがある。しかも真木さんが目指しているのは、都会の生活者のための普段使いの器である。だから、備えるべき機能がきちっと押さえられていて、多用途に使え、長く使っても飽きがこないという要素は必須。それでいて、デザインやフォルムが美しいものは、使ううちにじんわりと品位や値打ちが出てくる。用の美は外見の装飾に優先する-店名『ようび』に込められた心得は、30年一日、営々として変わることがない。
「人を育てるのは普段の暮らしだと思う。これをどれだけ大切にするか、ここでどれだけいいものに触れるかって大事なことよね。その積み重ねの一つとして器の世界があると思うの」。
心の栄養になる器を誕生させる人の厳しさは、優しさに裏打ちされていることを知った。
黒端反椀(輪違い紋)・奥田志郎・山本哲
「私が考えた文様を奈良の山本哲さんに絵付けしてもらいました」。
雅造刷毛目蓮弁向付・福森雅武
「刺身のほかに、豚の角煮や里芋の炊いたんみたいに、あまりいじらない料理が似合います」。
黄彩菊華形猪口・正木春蔵
潤尺2×8.5寸角切脇取盆・奥田志郎
撮影/吉田秀司 文/新谷慶子
あまから手帖 2000/11(クリエテ関西)より
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こちらは、2000年に関西の食文化誌「あまから手帖」に取材していただいた時の記事です。随分時が経ちましたが、今年、たまたまですがこの時にご紹介したうつわが揃うことになりました。コーディネイトの参考になると思いますので、一読いただければ幸いです。
深まる秋の酒宴にいかがでしょうか。
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価格に消費税は含まれていません。(外税)
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「玉の湯型」に箔で縁起の良い輪違い紋を施しました。
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奥田志郎 |
230,000円(五客一組) |
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こちらは福森雅武さんご自身の連弁の小鉢です。 |
土楽・福森雅武 |
12,000円 |
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鮮やかな黄色は食卓の素敵なアクセントです。こちらは菊の花の形です。再制作はありません。 |
正木春蔵 |
3,780円 |
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木肌が美しい赤杉で作られた利休箸です。
10膳一組のお値段です。 |
松岡製箸所 |
1,800円 |
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深い潤色のお盆です。大切な日にどうぞ。
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奥田志郎 |
50,000円 |
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