“絶対に飲んで大満足!!”の極上オセアニア・ワイン ガイド

第6回

ハーンドルフ・ヒル・グリューナー・ヴェルトリナーGRU 2016

Wine Tester

オーストラリアワインに魅せられたソムリエ
稲次さんが自信を持っておすすめする

“絶対に飲んで大満足!!”の極上オセアニア・ワイン ガイド

《オーストラリアワインって〇〇なんでしょ?!》
もしかすると、そんな先入観をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
その既成概念を覆すようなワインをお届けしたい。
社名でもある‘ Down Under’は、オーストラリア大陸そのものを指す言葉。
そして「 逆さま 」や「 既成概念を覆す 」という意味も併せ持ちます。

かつての私がそうであったように。
今迄の自分の中でだけ固めてしまっていたイメージを変えてくれる運命の1本が、きっとオーストラリアワインの中にもあるはずです。

≪稲次 夏美さんのプロフィール≫
調理師専門学校卒業後、様々な飲食店にてソムリエとして各国のワインをお客様にサーヴする。
その後、2009年に大阪・北新地に自身の店「G'day ワイン食堂」をopen。
自店のワインの品揃えは100%オーストラリアワインを提供。年に数度の渡豪を続ける中で新たなオーストラリアワインの可能性を強く感じ2016年9月、オーストラリアワイン専門の輸入会社・株式会社Down Underを設立。

≪来歴≫
・2009年9月
 大阪・北新地にて G'dayワイン食堂を開店
・2010年
 ワインオーストラリア主催 バイザグラスコンテストに於いて最優秀賞獲得
・2011年
 ワインオーストラリア主催 バイザグラスコンテストに於いて優秀賞獲得
・2012年
 A+AustralianWineSpecialist(Trade)に選定される(初年度より、現在まで)
・2016年9月
 株式会社Down Under設立
 代表取締役社長に就任 シニアソムリエ

Guide

オーストリアの固有品種グリューナー・ヴェルトリナーを
オーストリアで開花させたハーンドルフ・ヒル・ワイナリー

南オーストラリア・アデレード市内から車で30分ほど。
オーストラリア最古のドイツ人移民による入植地であるHahndorfhill村(ドイツ語で ハーンさんの村という意味)は、古くからアデレード市民の避暑地であるアデレード・ヒルズの中でも群を抜いて人気の地。
昔ながらのドイツの雰囲気をそのまま色濃く残した街並みは、タイムスリップしたような錯覚も覚えます。

そのハーンドルフ村からもほど近い場所に、ヴィンヤードとセラードアを持つハーンドルフ・ヒル・ワイナリーのオーナー兼ワインメーカーであるラリーは、かつて集中治療室の医師でしたが、ワイン造りに専念することを決めてキャリアチェンジしました。

南アフリカのステレンボッシュにあるワイナリーにて、第二の人生をスタートします。

ある日、旅先のオーストリアで飲むグリューナー・ヴェルトリナーに心の底から感動し、「いつかきっとこんな素晴らしいグリューナー・ヴェルトリナーを造りたい」と決心したラリーは、オーストリア品種を栽培するのに最も適した場所を探し続けました。
最終的には、アデレードヒルズの冷涼な気候に着目し1997年に移住。
ハーンドルフ・ヒル・ワイナリーが所有する6ヘクタールのブドウ畑を引き継ぎます。

ハーンドルフ・ヒルが所有する自社畑の土壌では主にサンディロームと赤粘土が中心ですがスレート、石英、鉄岩などのさまざまな鉱物成分やミネラル成分も豊富に含まれています。

ラリーはグリューナー・ヴェルトリナーやブラウフランキシュなどのオーストリアの固有品種に情熱を注ぎ、オーストラリアで初めて植樹したことでも知られています。
日本と同じく、周りを海に囲まれたオーストラリアには、動植物に固有品種が多数現存しており、その特異な生態系を守る為 世界でもトップクラスの厳しい検疫がある為に、ラリーがグリューナー・ヴェルトリナーの枝木を輸入する許可を取るだけでも数年を要したそうです。

さらにオーストリアで影響力のあるワイン専門誌「Falstaff」では、「2013年国際グリューナー・ヴェルトリナー・テイスィング」で「ハーンドルフ・ヒル・グリューナー・ヴェルトリナーGRU 2012」が、最も優れたグリューナー・ヴェルトリナーとしてオーストリア以外で評価されその名を世界に知らしめることになり、それをきっかけにグリューナー・ヴェルトリナーのパイオニアとも呼ばれるようになりました。

「私たちの研究によれば、アデレードヒルズは、ブドウが成熟する1月の平均気温が高く、1日の寒暖差が大きい(温度差が30.0℃以上の日もある)産地。
暖かい日中と寒い夜の寒暖差でゆっくりとブドウが成熟することは品質を左右する上で重要であり、グリューナー・ヴェルトリナーを育てるのに最高の条件が揃った気候と考えています。もし気温が不十分(昼間の温度が21℃未満)の涼しい地域で成熟すると、香りも弱く草っぽい風味になってしまいます」と話すラリー。

彼の「オーストラリアで最高のグリューナー・ヴェルトリナーを造りたい」という情熱と世界が注目した実績があったからこそ、現在、オーストラリア国内に於いてもこの品種に着目する生産者は増加の一途を辿り、ハーンドルフ・ヒル・ワイナリーが位置するアデレードヒルズ、そして同じく冷涼地であるタスマニア島でのワイン産業においては欠かすことの出来ない品種へと成長を遂げました。

Guide

ハーンドルフ・ヒル・グリューナー・ヴェルトリナーGRU 2016

テイスティング・コメント

瑞々しいグレープフルーツやライム、青りんごなど柑橘類と白胡椒の様なスパイスのアロマ。旨みを伴う豊かなミネラル感と透明感のある酸が印象的。
ラリー本人も「 このGRUは、食材の持つ魅力を存分に引き出してくれる最高のパートナー 」と評した通り、料理を引き立てるその味わいはシーンを選ばず楽しめる万能選手。

ブドウは成熟度合により4回に分けて手摘みで収穫されます。プレスされたジュースは野生酵母によってステンレスタンクで低温醗酵したものとフレンチバリックで少し高めの温度で樽醗酵したものとを最終的にブレンドします。

ウィーンの有名ワイン専門誌「Falstaff」が開催する「2013 インターナショナル・グリューナーヴェルトリナー・テイスティング」で、オーストリア以外の国で世界で最も優れたグリューナーに初めて選ばれました。