その名称は、板と棒を組み、指し合わせることからきたもの、あるいは「物差し」を用いて丈夫な家具を作り、器物を細工するからともいわれています。
梅雨の6月。漆で真っ黒に変わったハケで、成型した木のパターンに塗り、重箱はあっと言う間に姿を表す。
パタっ、トンっ…
熟練の連携により丁寧に仕上げられていく重箱。
単純な作業にも見えて、その仕事は数年の修行を経なければなせない技の一つだという。
同じ作業、単純な作業…そんなふうにも思う人もいるかもしれない。
でも、確かにその仕事の一つ一つに
“食べつなぐためだけではない、志や仕事への思い…”、“こだわり”を感じる瞬間がある。
「たとえ、100個完成品があったとしても、それが自分の納得のいくものでなければ絶対に納品したくない…」
そう、この長い時間をかけて伝えられてきたプライドこそが、彼らが平安堂が誇る随一の“塗部集団”である所以なのではないだろうか。
|