店長くり坊 TVボード作成記録

  1. OLD ASHIBA TVボードを自作してみました
  2. テレビボード用のOLD ASHIBAを集める
  3. テレビボードを塗装する
  4. テレビボードのディテールとDIYのすすめ
  5. くり坊型テレビボードのレシピ
  6. 奥行きを広くする板の組み方
  7. 横着者の棚組み立て法
  8. 完成度を高める ダボ埋め
  9. BRIWAX はスグレモノです

1:OLD ASHIBA テレビボードを自作してみました

OLD ASHIBA で、自宅用のテレビボードをDIYしてみました。

なんとも言えない存在感と高級感です。
誰よりも商品に厳しいうちの奥様にも「いい」という評価をもらいました。

「WOODPRO」でOLD ASHIBAフリー板を買って、電動ドライバーさえあれば、結構簡単に作れます。
塗装は、ブライワックスというもので、これも、車のワックス掛けよりも簡単です。

それでは、次回以降で、簡単に作り方を説明したいと思いますが、今日はこの辺で。

2:テレビボード用のOLD ASHIBAを集める

本当は工場に注文しようと思っていましたが、いろいろ悩んでいる間に「春のガーデニングシーズン」に突入してしまい、とても自宅用のテレビボードを依頼できる状況ではなくなってしまいました。
3月にエコポイント狙いで買った液晶テレビは、以前からあるテレビ台の上に載せていたのですが、いかにもバランスも見た目も悪い。
やむなく、自作することを決意し、工場の中から、フリーサイズ板に不適切ということではねられていた、ちょっと使いにくそうな材料を中心に集めてみました。
大きな欠けや割れなどがありますが、そういう面を後ろ側にすれば問題ありません。

写真の材料は、まさしく、仕上げ前の中古足場板の様子。
ささくれもあるし、欠けもある。
ペンキが付いていたり、錆の跡があったり、マジックでなにか書いてあったりもします。
建築現場で職人さんがこの上を歩いていたわけですから、当然です。

電動サンダーを持っている業者であればいいのですが、一般の方がこれを手サンダーで仕上げることは現実的ではありません。
実は、この状態からきれいにサンディングしたり、付いている釘を抜いたり、ペンキを落としたりといった作業が結構大変なのです。

そこで、これを、直接塗装できるくらいまでサンディングして仕上げたものが、「OLD ASHIBA フリー板」という商品です。

自分で作るテレビ台のように、前と後ろがはっきりしていたり、棚の奥の方はデッキを置けば見えなくなるとか、そういう事情がはっきりしていれば材料の選定の幅は広がるのですが、不特定多数のお客様に、用途が定かでないままに商品をお送りするとなると、古材とはいえ、大きな欠点や個性の強いものは使いにくくなります。
ペンキもできるだけ落としたり、大きな欠けは最初から切り落としたりして、一定の水準をクリアし、尚且つ、古材としての味わいが残ったものが「商品」となります。

3:テレビボードを塗装する

急いで組立てていたら、板を磨いたところの写真も、組み立て中の写真も撮るのを忘れてました。
ということで、突然完成品です。

ちょっとだけ、ディテールをご紹介。

テレビボードなどは、見える部分と見えない部分、見えにくい部分がはっきりしているので、材料を見ながら使う場所や向きを考えます。

さて、塗装開始です。

塗料はブライワックスのラスティックパイン。
伸びも良くて、とても塗りやすいです。
洗車用のスポンジで擦り込みながら伸ばしていきます。
あまりに高速な手の動きのため、見えにくいとは思いますが・・・。

4:テレビボードのディテールとDIYのすすめ

大きなえぐれと、ラフな合わせ目。
およそ通常の家具では考えられない仕上がり感です。

家具の世界では、右の引き出しを強く差し込むと、中の空気の力で左の引き出しが出てくるほどの緻密な技術もあります。

木材には「収縮」「異方性(木目の方向によって性質が異なること)」という問題点があり、それを克服することが「家具職人」の知恵と技の見せ所でもあります。
そのため、家具用の材料というのは、かなり厳選さらたものを使うことが一般的。
日本では、ナラ材、桜材、ケヤキ、ブナといった広葉樹が利用されます。
ヨーロッパでは、オークやマホガニーなどの広葉樹が使われますので、アンティーク家具で、針葉樹を使ったものあまりないと思います。

OLD ASHIBA は、杉の足場板の中古品ですから、素材は「杉」です。
杉という木は、成長も早く、まっすぐで長い材料を取りやすいことから、広く古来より植林されてきました。
ただし、欠点は、強度が弱いこと。
比重が0.38。
木材の中でも軽い方に属します。

強度が弱いため、柱や梁といった住宅の構造材よりも、鴨居、長押、建具、壁面材として利用されてきました。

強度が弱いということは、同じ強度を出すために、厚い材料を使わなければならないということです。
強い材料であれば20ミリでいいところを、30ミリの材料でないと強度がでない。
これは家具作りには極めて不利なことです。

外寸が決まっていれば、材料の厚みが厚いほど、内寸が狭くなってしまいます。
さらに、デザインを考えると、必要な強度を確保しつつ、スタイルもよく、となると当然「強い」材料の方が自由度が高く、使いやすくなります。

そういう事情もあって、杉材というのはあまり家具には使われませんでした。

杉という材料は、決して高級な材料ではありません。
極めて庶民的な材料です。
例えば、ナラの柾目で作った何十万もするようなテーブルが高級フランス料理だとすると、杉材はお好み焼きとか、ラーメンとかいったB級グルメです。

東京都内の家具店を回ると、足場板らしきものを使っておそろしく高い価格のテーブルなど目にすることがありますが、あれは、「フォアグラ入りお好み焼き、1万円」くらいの違和感を覚えます。
あくまでもデザインの一部と考えれば、それもまた良しかな、と思うのですが、おそらく長くは続かないでしょう。
なぜなら、素材の良さが本質的に生かされていないからです。

杉材の良さは何かというと、リーズナブルな価格と、やわらかい触感。
そのやわらかさが、短時間での磨耗を促し、足場板として数年経過するうちに「味わい」をかもし出します。

やわらかいから加工もしやすい。

フランス料理では、手軽に作れなくても、焼きそばなら、手軽に作れる、という感じにも似ています。
加工もしやすい上に、この味わいですから、多少の隙間や段差なんてぜんぜん気になりません。
初心者でも扱いやすい、極めてDIY向きの材料です。

電動ドライバー1本あれば、クリエイティブな、古材DIYを楽しめますよ~。

5:くり坊型テレビボードのレシピ

これから、更なる進化を遂げる予定ではありますが、とりあえず現在の我が家のテレビ周りの様子です。
両サイドの少し大きなスピーカーはダミーですので、音はでません。
現在は、小さなスピーカーの台となっています。

それでは、組み立て途中の写真は撮り忘れたので、テレビボードの作り方を雑な絵でご説明します。

部材はこんな感じです。
OLD ASHIBAのフリー板です。

必要部材は
(長さX幅 必要数量)

1500X200(210)  2枚
400X200(210) 4枚
400X115 4枚
400X90 4枚
450X200(210) 12枚

プラス塗装用に、ブライワックス ラスティックパイン 

電動ドライバーは、一家に1台あるととっても便利。
OLD ASHIBAのDIYには、板の厚みもあるので、インパクトドライバーがお勧めです。
20000円~30000円くらいとちょっと高めですが、DIYをするなら持っていて損はしませんし、とりあえず、ホームセンターでもレンタルすることもできます。

この存在感、この重厚感で、なかなかお手ごろな価格だと思いますが、どうでしょう?

6:奥行きを広くする板の組み方

さて、テレビボードの材料は分かったとして、ではいったいどうやって組立てるの?ということが問題ですね。
普通に考えれば、40センチの奥行きのボックスを作るには、20センチ幅の板が2枚あればいいのですが、前回の記事に書いたように、あえて、縦と横で材料の幅を変えているのには訳があります。

これは知っておくととっても役に立ち方法なので、図解で説明しましょう。

縦横とも同じ構成だと、前後で二つに分かれてしまうので、必ず桟木のようなもので前後を連結しなければなりません。
しかし、この方法であれば、桟木を使わずに奥行きの広い箱を作ることができます。

まずは、板をずらすことで奥行きを広くできるということは理解していただけたでしょうか?

次に棚の取り付け方。
棚は、縦方向の板を貫通して、横方向の板の切り口側にビスを打って固定します。
そのため、棚位置をずらせば取り付けは簡単です。
ただし、今回のテレビボードのように、同じ高さに棚板を取り付ける場合には、一方の棚の取り付けが難しくなります。
そこで、棚板の下側から斜めにビスを打って、やや強引に固定してしまいます。
斜めに打つということで、角度がきつすぎると棚板の表面からビスが飛び出す危険性もあるので要注意です。

7:横着者の棚組み立て法

さて、材料を準備して、実際に組立てようとすると、意外に難しいのです。
なにが難しいかといえば、ずれないように組立てること。
特に、縦と横で板の組み合わせを変えて奥行きを深くする場合、複数枚の板を棚として問題のない程度に平らに組立てる必要があります。
板をならべて、棚の位置に鉛筆で線を引き、その線からずれないように板を取り付けるというだけの作業ですが、やってみるとなかなかできません。

腕に自信のない人ですと、この段階でDIYを放棄したくなるくらいです。

そこで、簡単な棚の組立て方を伝授いたしましょう。

組み立てにくい最大の原因は、縦横の合わせ目がずれてしまうことです。
ずれにくくするには、組み立て時に力のかかる方向に材料が動かないようにすること。
ビスを打つには、上から下に向かって打つのが一番力も入りやすく簡単なのですが、棚板を組立てる場合は、棚を垂直に立てて、その上に側面の板を載せてからでないと固定できないので、位置あわせも難しく、不安定になります。
そこで、現実的なのは、側面からビス固定する方法です。
ただ、なにもない場所で組立てると、電動ドライバーでビスを押したときに材料まで動いてしまいます。
そこで、壁面や箪笥の側面などの垂直面を利用して、そこに材料を押し当てるようにして力をかけるのがポイントです。
言葉で説明するのは難しいので、図に描いてみました。

一番下の棚の片側を固定したら、ひっくり返して、もう一方を固定。
これで一段目の固定が完了。
あとは、順に上に向かって、必要な間隔は雑誌やハードカバーの本や、箱などを利用して高さを決めて組立てていきます。
鉛筆で引いた線を頼りに組立てるのが基本ではありますが、鉛筆で印をつける方法は、板の厚みを計算に入れるのを忘れていたり、左右で線の位置が揃っていなかったりといったミスをしてしまいがちです。
鉛筆の線は一応目安につけた上で、図解の方法を併用すればあまり失敗もないでしょう。

8:完成度を高める ダボ埋め

とってもラフな感じで作っても、完成度を飛躍的に向上させ、「手が込んでるな」と思わせる技があります。
それが「ダボ埋め」。
普通にビスで組立てると、当然ビスの頭が表面に出てきます。
これがいかにもDIYな感じではありますが、ここはひとつ、もうひと手間掛けて「完成度」を上げてみましょう。
ビスには「フレキ」付きのコースレットを使います。
「フレキ」というのは、ビスの頭の裏側に突起のことで、ビスをもみ込んだ時に頭の裏側で材料を削り、ビス頭をきれいに納めるために付いています。
このフレキがドリルの刃の役目を果たすので、インパクトドライバーで強く締めると、杉材は比較的やわらかいので、ビスの頭が表面で止らずにぐいぐいと奥まで入っていって、穴になります。

1・ビスを奥までもみ込んで穴を作る。
2・ダボを叩いて入れる。
接着剤を入れれば安心ですが、入れなくてもぴったりです。
3・のこぎりでカット。
普通ののこぎりで切ると、刃の跡が残ったり、ダボが出っ張ったりします。
4・サンディングして補修。

以上です。
これだけで、なんとなくプロの仕上がりっぽくなって、ちょっと嬉しい。

9:BRIWAX はスグレモノです

車のワックス掛けの要領で擦り込むようにしながら塗っていくだけ。
このテレビボードで30分もかからないくらいです。

OLD ASHIBAの良さは、やはりその使い込まれた風合い。
ただ、表面にウレタン塗装などのしっかりとした塗装を掛けてしまうと、きれいに使える代わりに、風合いが損なわれるというデメリットもあります。
その点ワックスの場合は、塗装後にもさらに使い込まれた風合いが増してくるというのも特徴。
メンテナンスも簡単。
370mlのワックスですが、このテレビボードを塗装しても、減ったのは三分の一くらい。
一家にひとつあれば、楽しいDIYライフ間違いなしです。

※ワックスはウレタン塗料のように、表面にしっかりとした塗膜を作るわけではありません。テーブルなどに使うと、コップの丸いあとが残ったり、布巾で拭くと色が付いたりする場合があります。
また、滑りやすくなるので、床に使うときは注意が必要です。

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