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最新レポート VOL.4

2022年7月、
盛夏のヴェレゾンを迎えたガメイたち

チーム一同で、雨乞いをしています
2022年の夏は、太陽が燦々と照りつける毎日が続いています。 夏らしいのは良いのですが、雨が降った日は数えられるほどに少なかった印象です。 それはボジョレー地方に限らず、フランス全国のどの地方でも同様でしょう。 春先から初夏にかけての好天は喜ばしかったのですが、7月は植物にとって水不足の状態となってしまい、青いブドウ実がなかなか膨らんできません… 雨が降ってくれることを、チーム一同で心待ちにしているところです!

7月中旬より、ヴェレゾンが開始
ヴェレゾンが始まったのは、2週間前の7月半ばでした。 ヴェレゾンとは、ブドウの房が色合いを帯びてくる現象をいいます。 光合成によって、ブドウ実の中のフェノール分に化学変化が起こり、赤ワインの色調の決定要素となる色素が生成されるのです。 ですが、あまりの猛暑と水不足のせいで、この成長過程でブレーキがかかっており、果粒もなかなか大きくなりません。強い日射のせいで、 焦げそうになっている区画もいくつか見られます。今、私たちが願っていることは、とにかく収穫前に雨が降ってくれることです。そうすれば、 それなりの数のブドウ房は付いているので、豊作のヴィンテージとなるポテンシャルはあるでしょう。

畑作業は一息ついて、最後の仕上げ中
こうした猛暑の最中に、栽培家たちが気をつけていることは、とにかくブドウ樹にストレスを与えないようにすることです。 畑作業は控えめに、「ルレヴァージュ」といって伸びた蔓と葉をまっすぐ整える仕上げを行い、あとは土を少し耕したり、 伸びた雑草を刈り込んだりするだけです。スピード勝負だった6月と比較すると、ようやく一息つけるようになる時期です。 金属製の機材は、摩擦によって火花を発することがあるので、注意しながら行うこと、気温が低い朝の時間帯に重点的に作業すること、この2点を心がけています!

分析も開始、いよいよ収穫へ向けてカウントダウン
今週あたり、7月末から8月初旬の時期から、いよいよ収穫に向けた糖度の計測が始まります。 私たちのカーヴでは、ボジョレー全域の中から代表的な区画をいくつか選び、数年前から継続的な調査を行っています。 収穫まで3週間くらいのカウントダウン時期に入ると、予測アルコール度、酸度、ブドウ房の重量など、各項目についてより詳細な分析を始めます。 これらの結果を全体的に踏まえて、とくに週を追うごとに変化してくる数値を加味して、最適であろう収穫開始日を決定しています。 次回のレポートでは、これらの詳しい状況とともに、新しいニュースをお知らせできることでしょう。

AGAMYチーム

最新レポート VOL.3

2022年6月、
ストレスとスピード勝負の繁忙期

待望の雨が降りました、が…
初夏の猛暑がずっと続いており、待望の雨がようやく降ったのは6月末でした!
この雨は残念ながら、雹を含んだ夕立ちで、いくつかのセクターでは被害が出ました。 最も深刻な被害を受けたのは、リヨン西方の山間にあるトレラン(Trelins)地区で、6ヘクタールの畑が壊滅状態、 25ヘクタールの畑は50%以上の影響を受けました。この写真をご覧いただくと、雹があたった部分の傷み具合がお分かりいただけるかと思います。 ピンポン玉ほどの大きさの氷の粒は、時には自動車の窓ガラスも割れるくらいの強さで、局地的に降るのです。

雹の影響と、ブドウ樹が持つ自然治癒力
雹が強烈にあたったブドウ畑では、葉が破れ、実が裂けてしまいます。 葉が傷んでしまうと、ブドウが熟していくための光合成に支障が出て、さらにその後の冬に必要な糖分を蓄えることができなくなります。 直後に目に見える被害よりも、長い期間で考えたときに現れてくる影響のほうが大きいのです。幸いなことに、一部を除いた他のブドウ畑では、 雹の痕跡は見られますが、収穫への影響はさほど出ないであろうと思われます。これからブドウ実が育ち、果房が形作られていく間に、 ブドウ自身の治癒力で自然とバランスを取り戻してくれるでしょう。

間もなくヴェレゾン、日々の成長とのスピード競争!
ブドウ樹は今や、「実が締まってくる」段階に入りました。つまり、ギュッと中身が詰まって、 硬くコンパクトな青い実ができています。糖分を蓄えながら、「ヴェレゾン」と呼ばれる色付きの時期を待つことになります。 病害がまったく見受けられないのは、特筆すべき点でしょう。生産者たちは、「ロニャージュ」と呼ばれる摘心作業(上方や脇にはみ出た蔓を切り整える作業)と、 「ルレヴァージュ」といって蔓と葉をまっすぐ垂直に整える作業に追われています。
1週間で30センチも伸びることがあると言われるブドウの蔓、 畑作業も毎日スピードとの闘いです。「エフイヤージュ」という除葉作業も、房まわりの風通しを良くするために行います。

ご存知でしたか?
この除葉作業ですが、おもに朝日があたる側の葉を取り除きます。北側から東南側にかけてですね。 ブドウの房まわりの風通しが良くなり、やわらかな早朝の日光を存分に浴びられるようになります。 私たちの身体に例えるなら、焼けるような強い日射で肌が赤くなったりしないよう、こんがりと小麦色に、健康的な日焼けのために工夫するようなものでしょうね!

イネス・ベルトラン
栽培・醸造担当技術者

最新レポート VOL.2

2022年5月、
うららかな春に誘われて開花!

すでにブドウの花が咲き、100日後には
冬の終わりから春にかけて、太陽がさんさんと照りつけ、春にしては少し暑い気候が続いたおかげで、ブドウ樹の成長が促されました。 5月下旬の時点で、前年の2021年には開花の気配さえなかったのが、この2022年はとても早く、シャルドネ種もピノ・ノワール種もほとんど終盤に差し掛かっています。 農業に従事する人たちの昔からの言い習わしで、開花から数えておよそ100日後に収穫が始まるというものがあります。
この時点で、今年は早い時期の収穫になることが予想されました。

棚仕立ての作業がスタート
すでに初夏のような陽気のおかげで、ブドウの蔓はぐんぐん伸びてきました。棚仕立ての「ルレヴァージュ」という作業をしています。 蔓が垂直にまっすぐ伸びるよう、ワイヤーを引き上げながら挟み、実になる部分や葉が重ならないようにバランスを整えます。 5月の現時点では、天気が良く湿度が低いため、ベト病などの病害が発生していないのは何よりです。
成長のスピードに遅れを取らないよう、この時期からは学生アルバイトなどの季節労働者も雇い入れ、ブドウの丘は一段と賑やかになります。夏至の日に向けて、だいぶ日が長くなってきました。

雑草は土壌の栄養分に
秋の収穫後に蒔いた種が、雑草となって生い茂る季節ですが、土中の水分とミネラル分を奪うようになる前に、刈り込んで土に返します。
こうすることで、植物ベースのよりナチュラルな栄養分となって、ブドウの成長を増進してくれる役割があります。 春から初夏へ向かうこの数週間が、順調に良いコンディションで推移していくことを祈りましょう!

ご存知でしたか?
ブドウの花は、雌雄同体(しゆうどうたい)です。ひとまとまりの花房の中で自動的に受精が行われ、将来の果実となる部分が作られます。 繁殖のために花粉が交配される必要がないため、蜜も生成しないのがブドウの花なのです。

イネス・ベルトラン
栽培・醸造担当技術者

最新レポート VOL.1

2022年4月、
急激な気温上昇から始まった春

雨の多い冬は、ブドウ樹にとっての生命線
あらゆる植物が本格的に芽吹いてくる4月は、ブドウ生産者たちにとっても、新しいヴィンテージのスタートです。2022年の始まりは、しっかりと厳しい寒さに見舞われた冬らしい冬で、リヨン近郊での計測では、前年秋からの降雨量がなんと300ミリ以上となりました!
この冬期の降雨は、地下水となって土壌を潤してくれます。これから収穫までの長いシーズン中を通して、ブドウ樹が地下水を水源としながら生き延びていくための生命線となります。私たちの目に見えている薄い表土の下に、ブドウの根は地中深くまで張っており、7~8メートルから、時には15メートルの深さにまで達していると言われます。フランスの冬、毎日どんよりと暗い空模様は憂鬱になりますが、ヴィンテージの行方を決める貴重な雨なのです。

早すぎた春の訪れと、自然からの仕打ち
3月上旬の早い時期から気温がぐんぐん上がり始め、冬眠していたブドウ樹も、つぼみが目覚め始めました。不運なことに、4月に入って最初の週末には積雪があり、マイナス2°Cの凍りつくような月曜の朝がやって来ました。
ブドウ樹の被害状況が明らかになるのは、もうしばらく後になるでしょう。それでも、前年の2021年ほどの大惨事ではないと予想されています。前年よりも芽吹きのスピードがやや遅く、マイナス気温とはいっても、少しだけ冷え込みが緩かったためです。 昨今は、ほとんど毎年のように春霜の被害が心配されますが、そもそも地球温暖化の影響で、植物全体の芽吹きが早まっているのが原因と言えます。

サント・グラスとは、氷の聖人の日
もしブドウ樹が芽吹いておらず、つぼみが硬く縮こまった状態であれば、4月の寒さにも耐えることができます。
しかし、膨らみ始めた若芽というのはかなり繊細で、零下の気温には負けてしまいます。フランスの暦では、「サント・グラス」と呼ばれる日があり、農業従事者がとくに重視している季節の節目があります。 いわゆる「氷の聖人」がつかさどる、5月11日を無事に過ぎると、あとは遅霜の心配をしなくても大丈夫という格言があるのです!
日本で言うところの「三寒四温」に少し似たようなイメージでしょうか。

4月、AGAMYのブドウ畑では
冬の間は少しゆっくりペースだった枝の剪定を仕上げ、芽吹いてくる前に誘引を終えるため、作業は急ピッチで進められます。 誘引というのは、ギュイヨ法の剪定において、長く残した枝(長梢)を水平方向に曲げ、針金に結びつけて固定する作業です。 土壌の耕作や、また新しく植樹する畑があれば植え付けも行います。ブドウ樹が冬眠から目覚めてくる時期、生産者たちも準備を整える時期です!
冬の閑寂な田園風景に代わって、春のブドウの丘に作業のトラックが多く見られるようになると、今年のヴィンテージのスタートに心が躍ります。

イネス・ベルトラン
栽培・醸造担当技術者

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