里親の会の当日 まだまだこの世は捨てたもんではないなって思ったわ。
「一番醜くなってしまった子を幸せにしてあげたい」
「最後まで貰い手のつかない子を引き取りたい」といってくれた人が何人かいたの。

というわけで今ここに住んでいるの。ラリーという14歳のボスゴールデン。
おじいさんなのにぬいぐるみをくわえていつも歩いている。
すごい数のぬいぐるみの持ち主なの。ラリーは 私を初めて見た時 もどしたの。
失礼しちゃうわ 仕方ないじゃない、好きでこんな姿になったわけではないのだもの。
ラリーみたいな 超おぼっちゃま犬は 私が居た様なところに一週間でもいたらすぐに
皮膚がくさってしまって泣きべそかくわね。
わたしなんか涙もちょんぎれて出なかったのよ。 ピオは 人のいいゴールデン。ラリーの息子。
気が弱い。いつもボールを見ているの。

わたしがこの家に来てからピオは床の上で寝ているの。人のいいピオはベッドを私に譲ってくれたの。
ラリーもピオも大好き。 だってぬいぐるみ全部私にくれるって。
雑種のノアちゃんもおとなしくていい子なの。
猫のニャーは たまに猫パンチというのを 突然するからちょっと用心。
でも時々私が寝ていると懐に入ってくるかわいい子なの。

新しい人間のお母さんは長靴をはいたマスクとゴム手袋の人だった。
いつも忙しい人。ぱたぱたしている。せわしいったらありゃしない。
誰にも さほど甘い言葉はかけてくれないけれど 大好き。規則正しい生活をさせてくれる。
始めのうちは散歩なんか全くしたくなかったの。
この家を一歩でも離れるとやっと掴んだ幸せの場所にもう二度と戻れない気がして。
それに体力がなくなっていたのであまり歩けなかったの。

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