ちがった。 何と着いたところはもうれつに臭い所だった。臭くて鼻がまがりそう 今度はここ?
日本ってなんなの?私たちを苦しめる国?

犬達はみんなこうしているのかと思ったわ。 檻は歩き回れる大きさで同じ犬種ごとにくぎられていたの。
「えーここに住むの? 床 うんこまみれだよ。おしっこもここでするのー?」誰も掃除してくれない。
臭くて目が回りそうだった。
わたしの他に15匹のゴールデンがいた。みんな 新入りの私には無関心で空を見ながら
ぽりぽり必死で身体をかいていた。 若くて毛の生えていない子が同じ檻にいたの。
「あなた ラブラドールの檻は向こう側ではないの?」って聞いたら
「何いっているの おばあちゃん 私はこう見えてもゴールデンよ。皮膚病にかかてしまい
全身の毛がぬけ落ちてしまったの。」
私は隣に来た若いゴールデンに言った。
「あんた頭から血が出ているじゃないの。眼や鼻の周りもよ。」
「かゆくてかゆくて仕方ないから このさびた鉄格子のでこぼこでこうして顔をこするの。
伝染病だからおばあちゃんもすぐかゆくなるよ。」

周りを見回すと どの種類の犬達もが 皮膚病に見えたよ。みんなうつろな眼をしていた。
床がにゅるにゅるで気持ち悪く寝るところがなかった。
となりの囲いにいた牛さんに どうやって寝ているのか聞いたら
[立って寝れば]……だって。

せまい檻がまたあった。今度は炎天下にあったの。 ひとつ。始めは何の檻か解らなかったの。
何日かすぎると意味が解った。赤ちゃんを創る交配用の檻だったの。
赤ちゃんが出来る時期のメス犬がオス犬と二匹でいれられるの。
ここの人間はこの檻に入った子には 出るまでごはんもお水もくれなかった。
何日もかかると お腹がすいて死んでしまう子もいたよ。
みんな恐怖の檻って呼んでいたの。
でも私たちの飼い主は飢えなければ良い子が出来ないと威張っていた。
ここには99匹の犬達が居たの。そのうち36匹位は とっても具合が悪く息たえだえだった。

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