花咲く未来へ
ちょうど2月は、標高の高いカンパニオン村でも梅の花が咲く季節。
白い校舎の周辺にも、同じ淡白い可憐な花が、満開に咲き誇ります。
中学生たちが植えた梅の苗木が育ち、花を咲かせるように、たくさんの中学生たちが、このプレマシャンティ中学校を卒業していきました。そして、中学校の建設以来、生徒数は増加し続けています。
●夢と希望の学校
プレマ・シャンティ中学校が建設されてから、新しい学校で勉強できるようになった中学生たち。これまで小学校の教室を借りたり、保育園の建物を利用していた子どもたちにとっては、新しい白い校舎は、夢と希望の学校となっています。
2009年にプレマ株式会社様よりご支援いただき、完成したラオス、シエンクアン県ノンヘット郡カンパニオン村のプレマ・シャンティ中学校。完成してから4年が経過した2013年2月7日に訪問してきました。
シエンクアン県の県都ポーンサヴァンから曲がりくねる山道を車で走り、ようやく丘の上に校舎がはっきり見えてきたときは、嬉しさの反面、きちんと使ってくれているのかという不安が入り乱れた気持ちになります。車が右折し、中学校の麓にある小学校の前の校庭に入りました。そこで、まず目にしたのが、小学生たちがかごを持って一緒にゴミ拾いをしている光景。なんとも言えない嬉しさが、込み上げてきました。学校の周りの環境が整備され、綺麗に保たれていることは、学校の管理がされている証拠です。そこから中学校のある丘の上に上がって行きました。毎週水曜日は、環境美化活動をする日と決められているようです。中学生たちは、先生の指導のもと、学校の周りをさらに綺麗にするために木を植えていました。土を掘り苗木を植えるのです。これも学校を建設する前に、不発弾撤去をやったから安心して土を掘ることができるのです。
学校を建設する以前の調査の時からの知り合いである校長先生や先生たちも次から次へと出てきて、挨拶をします。お互いに顔を覚えていて、再会できるのが、楽しみの1つです。そして、シエンクアン県のカンカイにある教育大学で勉強する教員志望の学生が、10人ぐらい教育実習に来ていました。実習生のワークショップがあるため、午前中の授業は少し早く終わっていました。お昼に校長先生を始めとした先生たち15名と短いミーティングをし、現在の中学校の状況などを聞きました。校長先生によれば、生徒数は毎年増加していて、2013−2014年度は、309名の全校生徒、7教室を使って勉強しています。すでに今年から生徒数が増加してきたことで、建設した校舎の5教室のうちの1室を職員室として使っていて、残りの4教室、さらにプレスクール用に建てられた建物の2教室、そして小学校の教室を1つ借りて授業をしていました。
校長先生を始めとした先生たちの子どもたちへの想いと、純朴な子どもたちの勉強したいという想いが重なって、とてもいい学校になっていると思いました。校舎を建てた後、校長先生に管理運営を任せることになったのですが、1年に一度見に来れるかどうかという場所にある中学校が、本当にきちんと運営されていて、素晴らしいとしかいいようがありませんでした。さらに驚いたことに午後4時以降も勉強したいので、電気が使えるようにしたいと、先生たちが言います。この地域の子どもたちの将来には大きな期待を抱きながら、梅の花咲く学校を後にしました。現地の人たちが本当に必要で、重要だと考えて、自分たちの未来を担う人材を育てている様子は、本当に素晴らしく、とても美しい光景でした。
●一緒に描くビジョン
校長先生を中心に運営される学校の授業は、充実しています。学校の先生たちも、授業が熱くなります。素朴でシャイな子どもたちですが、先生たちとも一体となった学校は、とても美しい光景です。一緒に未来を精一杯描いているところです。
【チャイエンヤ校長先生からのメッセージ】
プレマ株式会社の皆さん、日本の皆さん、お元気ですか?私は、カンパニオン村にあるプレマ・シャンティ中学校の校長です。皆様には、中学校を建てていただき、心より感謝申し上げます。教員たちと子どもたちも、この新しい中学校の環境で勉強できることを、とても喜んでいます。本来であれば、私たちから何かお礼をするべきですが、どのようにお礼をしたらいいか、分かりません。私たちにできることは、皆様のご健康とますますのご活躍をお祈りすることです。そして、いつかまたこのプレマ・シャンティ中学校へお越し下さい。
濃霧の中、咲く梅の花
2012年2月。標高が高いカンパニオン村にあるプレマ・シャンティ中学校は、深い霧に覆われるなか、淡いピンク色の梅の花が、咲いていました。気温も低く、暖房もないなかで、服を着込んだ中学生たちが、教室の窓も閉めて、勉強していました。
2013年2月。きれいに晴れた、透き通るような青空のもと、中学生たちが、さらにたくさんの梅の苗木を植えていました。たくさんの花が咲く梅と同じように、プレマ・シャンティ中学校の子どもたちも、自分自身の花を咲かせてほしいと思います。
●もっとカイゼン
2013年2月にプレマ・シャンティ中学校へ訪問した際に、校長先生や先生たちとのミーティングを開きました。そこで子どもたちへの教育の質を変えたいという熱意から出てきた先生たちからの要望です。
今、プレマシャンティ中学校では、中学校が建設されたことで、高校へ進学したい生徒たちが増えてきているのです。ある男子生徒は、このように話してくれました。「この校舎で中学生の勉強ができることは、とても嬉しいです。
今、心配しているのは、中学校を来年卒業したあと、ノンヘット郡の街の高校に通うのが、とても難しいことです。ぜひ高校をここに建ててほしいです。」校長先生によれば、この地域の方針として、将来高校を 建設する計画があるそうですが、まだ校舎を建てるための資金がありません。
【リクエスト】
・高校と中学生用の教室を含む校舎の建設
資金が得られれば、さらに5教室の校舎を建設することで、この地域の子どもたちは、小学校から高校までの教育課程をこの場所で完了できる。
・パソコン
先生がレポートを書くためのパソコンが3台必要。ワード、エクセルが使えれば十分なので、中古のパソコンで、低いスペックのものでも大丈夫だと思われる。
・スポーツ用品
サッカーボール、バレーボール、ネット、バドミントンラケット、シャトルなど何でもあれば、子どもたちが運動できるとのこと。これも、寄付してくださる方がいれば、運送手段だけ考慮すれば、支援可能。
・電気
中学校の建つ丘の下までは、電気が来ていて、そこから約700mほど電線を引ければ、中学校で午後4時以降も英語の補修などができると、先生たちは話す。
・図書室
図書室や本屋もないので、図書室があれば、子どもたちが自分で調べたり、知識を深めたりできる。モン族が多く住む地域なので、ラオス語の本だけでなく、オリジナルの文字を持たないモン族の伝承などを集めるなど計画中。
できることをやる トイレの建設
プレマ・シャンティ中学校の一つの課題が、トイレでした。当初の建設の際には、トイレを建設しなかったため、先生たちや村人たちが協力して、校舎の近くに建てたのが、竹や茅葺きのトイレ。穴を掘ったシンプルなものでした。その後、トイレを作って欲しいという要請はあったものの、テラ・ルネッサンスでも予算がつかず建設できずにいました。2012年2月に訪問したときも、このトイレでした。ところが、2013年2月に訪問すると、ブロック作りのトイレができていました。これは先生や村人たちが協力して作ったもの。自分たちの問題は自分たちで解決し、自分たちにできることは、自分たちでやる、一人でできないことは、協力し合って、大きなパワーを生み出す。いつも大きな勇気とちからを中学校からもらいます。
先生、村人たちが協力して作ったブロック造のトイレ。自分たちにできることは、自分たちでやる。たとえそれがゆっくりだとしても、ラオスの人たちのその姿勢から、大きな希望を感じます。
(文:テラ・ルネッサンス)
調査の結果、幸運なことに学校建設予定地からは1つの不発弾も見つかりませんでした。調べてみて初めて安全かどうかがわかる。これが地雷や不発弾が抱える問題でもあります。
学校の敷地という限られた範囲ではありますが、これから子ども達が安心して勉強し、思い切り大地を走り回れることを嬉しく思います。地道かつスピーディに不発弾撤去を行ってくださったMAGの方々に感謝申し上げます。