<ラオス教育事情>
■ ラオス一般事情
●小学校5年、中学校3年、高等学校3年、大学5年の(5・3・3・5制)
・うち義務教育は小学校の5年間 6歳〜10歳(1学年〜5学年)
・義務教育段階での授業料は無料(給食はない)
・教室の数が足りず、午前と午後に分けた2部制を実施している例も多い
●学校年度【2学期制】
・1学期:9月1日〜1月31日
・2学期:2月1日〜5月30日
●カリキュラム
・教授言語はラオス語
・教科はラオス語、算数、私たちの身の回り、芸術、体育、音楽、工芸など
●授業形態
・教科書やノート類は十分になく、教科書は教師だけが持ち、児童は教師の話を聞き取るか、黒板に書かれたことを持参したノートに書き取ることが多い。
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小学校
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中学校
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高等学校
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学校数
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8,600校
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※うち完全校(5年生まであり)・・・3,650校
うち不完全校(5年未満まで)・・・4,950校
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不明
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900校
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教員数
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2.8万人
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不明
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1.3万人
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ラオスにおいて、義務教育である初等教育(小学校)は、就学年齢に特段の定めがなく、概ね6歳で小学校の第1学年に入学しています(10歳を超えて入学する例もあります)。
義務教育ではない中等教育(中学校、高等学校)への入学率は、地方では未だ低い水準にありますが、首都であるビエンチャン特別市をはじめとする都市部では、教育熱が高まっており中学校、高校への入学率も高く、更に高等教育(大学、職業訓練専門校等)へ進む人も年々増えています。
しかしラオスにおける教育が直面する問題として、先ず、政府の教育予算が極めて低いという点が挙げられます。このため、適切な校舎がない、生徒数に対する教室数の不足、教科書がない、教員数及び能力不足、適切な訓練・研修を受けていない無資格の教師の存在、教師への給与支払いの遅延、教育行政能力の不足等の状況が生じているのが現状です。
また、初等教育においては、貧困、通学困難、保護者の学校教育に対する意識の低さに加え、少数民族の児童はラオス語を生活言語としないため授業を受けるのが困難等の理由により、入学後に退学する児童が多いことも問題となっています。
(出典:外務省ホームページ、特定非営利活動法人ラオスのこどもホームページ)
■ 小学校・中学校・高等学校の教育状況
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小学校
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中学校
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高等学校
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純就学率
(5年生までの就学率)
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男子・・・88%
女子・・・82%
(64%)
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不明
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男子・・・38%
女子・・・32%
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純出席率
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男子・・・65%
女子・・・60%
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不明
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男子・・・27%
女子・・・21%
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※純就学率=公式の就学年令に相当し、就学する子どもの人数/公式の就学年令に相当する子どもの人口
※5年生までの就学率=小学校1年に入学した子どものうち、5年生に達した者の割合
※出席率=実質的に通学する人数/公式の就学年令に相当する人数 |
ラオス政府は、初等教育である小学校就学を促進しており、入学時は平均80%台の就学率となっていますが、特に山岳部などでは小学校の5年間を終了できず、中退してしまう子どもも多いようです。(出典:特定非営利活動法人ラオスのこども)
なかでも、発展途上国において子ども達が中退する主な理由としては、制服や文房具が買えないといったことが多くを占めるようです。(テラ・ルネッサンス※1江角さん談)
教科書と所得
現在、ラオスでの所得は国家公務員で月平均20ドル。
それに対してラオスのマーケットで見つけた学校の
教科書は1冊1〜2ドル・・・。
その他の職業についてのデータを得られていませんが、
収入についてはおそらくこれ以下ではないかと予想されます。
特に山岳地帯での現金収入は僅かであることが考えられます。
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中学校の教育事情については情報が少なく、現在、細かな数字での情報を得られていません。
高等学校の就学率・出席率に関しては、ラオスでの女性の平均結婚年齢が15〜16歳であることも影響していると考えられます。
■ 識字率
男性(成人)・・・77%
女性(成人)・・・61%
(出典:特定非営利活動法人ラオスのこどもホームページ)
■ ラオスの民族構成と言語
●民族構成・・・
低地ラオ族68%、丘陵地ラオ族22%、高地ラオ族10% 少数民族数68種族
●言語・・・
公用語:ラオ語(タイ語に類似)、 その他使用言語:英語、フランス語、各民族語
民族により言語は全く異なります。そのため、学校ではラオス語での教育を行っており、国内でのラオス語普及を目指しているそうです。
(ラオスでお世話になった日本語ツアーガイド フンペンさん談)
『小学生の中退』私にはとても衝撃的な言葉でした。日本での小学校への就学率は100%、そして当たり前のように卒業までの就学率も100%。私が驚くのも無理はないかと、自分自身で納得すらしてしまいました。
しかし、驚きに拍車をかけたのは、その理由。
「制服が買えなくて恥ずかしい」「文房具がなくて学校で勉強ができない」こういった理由での中退が発展途上国ではとても多いそうです。日本や各国からの支援により、その点が解消された子ども達は、元気に学校に行っているという報告がたくさんあります。通いたくても通えない、勉強をしたくてもできない。さて、私たちには何ができるのでしょうか。
本来、子どもたちは皆平等に大きな可能性を秘めているもの。
実際に出逢ったラオスの子どもたちは皆、瞳がキラキラと輝き透き通っていました。その瞳を見たとき、私は「貧困」の定義が分からなくなってしまったのです。何が「豊か」で何が「貧困」なのか、とても混乱しました。
物質的な豊かさが、果たして豊かといえるのかどうか。山岳地帯での暮らしを、現代に合わせることが果たして良策なのか。だって、目の前の子ども達は輝き、人間としてとても「豊か」なのではないかと感じたからです。それ程、ラオスの子ども達はまっすぐで透明で、素晴らしかったのです。
そんな疑問を、テラ・ルネッサンスの江角さんにぶつけてみました。どうしてもヤキモキした気持ちを整理したかったのです。すると、こうおっしゃってくださいました。
「たしかに何をもって貧困とするのかは、正直とても難しいことです。ただ、ラオスの隣の国カンボジアを例にすると、ここ数年で発展を成し遂げてきつつあります。その発展にあたり、カンボジアの国土を国や他国が買い占めてしまったのです。その結果、山岳地帯に住む人や、農業を営んでいた人は、自分たちの土地がなくなり生活を営む場所がなくなってしまいました。そうしてとても貧しくなってしまったのです。それまで当たり前だった暮らしができなくなる。これはとても恐ろしいことです。ラオスにも近い将来、そんな日が来るのでしょう。そうなったとき、やはり教育を受けているのと受けていないのとでは、雲泥の差があるのです。」
納得しました。今ある貧困、そして先に起こりうる貧困。
目を向けるべきは、もっと先にもあるのだということを。
そして、教育の大切さや必要性をあらためて強く感じたのです。
土地がなくなった、農業が自由にできなくなった・・そんなとき、教育を受けていなければ、何が出来るのでしょう?きっと選択の自由はないはずです。
だからこそ、「制服」や「文房具」が理由で教育が受けられず、将来や可能性が狭まるのは悲しすぎませんか。子どもたちも教育さえ受けることができれば、あらゆる可能性を伸ばすことができるのです。
爆弾のない暮らしを、無限の可能性を秘めた将来を、一日も早くあのキラキラと輝く瞳に映すことを、心より願ってやみません。
世界中の平和を願って
(2009年9月ラオス中学校開校式ツアーにて プレマ株式会社スタッフ:矢吹香苗)
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<ラオスの主要産業>
■ 産業別構成比
・農業45.4%
・工業25.9%
・サービス25.5%
・その他3.2%
■ 主要産業
・農業(米、とうもろこし、さとうきび、キャッサバ、コーヒーなど)
・軽工業(食品・飲料、衣料品、タバコ、木材製品、セメント・レンガ・セラミック)
・林業、鉱業、水力発電、観光業
●中でも主要な農林水産業においては、人口の約76%が従業
総人口592万人に対して、農業人口は448万人。
農林水産業は国内総生産(GDP)の約46%を占める主要産業で、経済活動人口のうち約76%が農林水産業に従事しています。
●観光業は年々上昇傾向
・観光客数・・・121.5万人
・観光客主要出身国・・・タイ(56%)、ベトナム(16%)、中国・アメリカ(4%)、フランス・イギリス(3%)
・世界遺産・・・ルアンパバーンの町(1995年登録)。チャンパサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群(2001年登録)
・その他主要観光地・・・ビエンチャン近郊(ナムグムダム、プーカオクワイ、ラオパーコー、バンビエン)、シエンクワン(ジャール平原、温泉)など
■通貨と為替レート
・通貨・・・キープ(kip) そのほかUSドル、タイバーツも使用可能
・為替レート・・・1ドル=8,500kip程度(2009年09月時点)
■ 貿易(輸出入主要品目)
・主要輸出品目・・・金・鉱物、縫製品、木材・木製品、電力、農産物・家畜
・主要輸出先・・・タイ、ベトナム、フランス、ドイツ、中国
・主要輸入品目・・・燃料・ガス、縫製材料、建材、自動車・工業製品、食料
・主要輸入元・・・タイ、中国、ベトナム、シンガポール
(出典:農林水産省ホームページ、ラオス発 情報ガイド)
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※1 特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス:カンボジア、ウガンダで地雷、小型武器、子ども兵(少年兵・少女兵)に取り組む京都の国際協力NGO。
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