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職人の道具図鑑 NO.6

ノギス

小さな芸術品をつくるのに欠かせない正確なサイズの計測
理想の値になるまで何度も手に取り使われる職人の道具

新しいジュエリーを作るときデザイナーは職人と時間をかけて綿密な打ち合わせをします。形や着け心地はもちろんですが、そのジュエリーの重量、またどのくらいの大きさや厚みで仕上げるのかを共有するためです。

その後、型を起こしてジュエリーにするのが職人の仕事なのですが、このときに欠かせないのが決められたサイズの通りにきっちりと仕上げる事。全体のサイズはもちろんですが、セッティングする宝石が動かずに座る石枠等の各部のサイズも正確に計測します。
小さなものを形にしてパーツを組み合わせるのに、0.1mmのずれが完成したジュエリーの美しさを左右するのです。

「ノギス」はそのサイズの計測に使われます。

持ち手部分をスライドさせると嘴部分が開き、そこに計測したい物を挟む事でサイズがわかります。

ノギスには測ったサイズが数値として表示される電子ノギスと、持ち手部分のメモリでサイズを読み取る通常のノギスがあります。持ち手のメモリでサイズを読み取る場合、1mm単位のメモリと0.1mm単位のメモリがあり、その2つが重なり合う位置を読み取ることで0.1mmまでのサイズを正確に計測することができるのです。またバチカンや石枠の内径などを測る場合は嘴の裏にある、小さなハサミのような部分を当てる事でサイズを知る事ができます。

職人の机の傍らにはいつもこのノギスが置いてあり、ヤスリで形を整えてはサイズを測って理想の数値にします。

職人の培った感性だけでものづくりをするのではなく、美しくみえるサイズをしっかりと把握した上で芸術的なジュエリーが作られているのです。

(通常のノギスと電子ノギス)