昭和三年発売の『君恋し』から始まる第1巻。太平洋戦争中の夫婦の愛を歌った『明日はお立ちか』、戦後復興のパワーを感じさせる『銀座カンカン娘』など。流行歌の歴史を語るにふさわしい幕開けです。

第2巻では流行歌の代名詞ともいえる、哀愁漂う古賀メロディーを存分にお楽しみください。藤山一郎『影を慕いて』、霧島昇『誰か故郷を想わざる』、近江俊郎『湯の町エレジー』…実力派の歌声も味わい深いです。

二十年代に入ると、『かえり船』、『岸壁の母』のように、終戦後の人々の悲しみに寄り添った歌がヒットします。三十年代には銀幕のスター・石原裕次郎がデビュー。甘い歌声で日本中を魅了しました。

岡晴夫、春日八郎、三橋美智也など、今では聞くことのできない、懐かしの歌声を、全盛期の録音でお楽しみいただける第四巻。ジャズにブギ、小唄に民謡と様々な曲調も楽しい、全21曲豪華ヒットパレード。

高度経済成長を迎え、集団就職の若者の希望と寂しさを綴った流行歌が人気を集めます。永遠の青春歌曲『高校三年生』に、歌謡界の女王・美空ひばりの『港町十三番地』、『柔』も収録され、聴き応えたっぷり。

若さあふれる恋、大人の駆け引き、そして涙…。男女の恋の甘い切なさを色とりどりに歌い上げた第六巻。洋楽にロカビリー、デュエットなど、新しい時代を感じさせるバラエティに富んだ全21曲。

テレビが各家庭に普及し、歌番組が急増。橋幸夫や吉永小百合など、爽やかな歌手が人気を集めます。昭和三十四年に新設された「日本レコード大賞」各賞受賞曲がズラリと揃った贅沢な一巻です。

四十年代に入ると戦後派歌手が大活躍。演歌調流行歌に加え、ポップスやフォーク調の曲もヒットします。『下町の太陽』、『恋のバカンス』、『君といつまでも』など、今も広い世代から愛される19曲を収録。

北島三郎、水前寺清子、美川憲一、鳥羽一郎など現在も活躍するトップスターたちの懐かしの名曲が揃った第9巻。カラオケの十八番としても活躍まちがいなしの、演歌ヒット集をじっくりお聴きください。

ご当地歌謡がたっぷり聴ける第十巻。北国から、新宿、横浜に、長崎…美しいメロディーと情感あふれる歌詞で、日本紀行をお楽しみください。アジアでも人気の『星影のワルツ』や『魅せられて』を含む18曲を収録。

昭和四十五年大阪万博テーマソングとして、日本中で愛唱された『世界の国からこんにちは』を含む、全19曲。石川さゆり、八代亜紀、川中美幸、天童よしみ…実力派女性歌手の競演も聴き逃せません。

全12巻の最後を飾るにふさわしい20曲が、ジャンルを越えて集結。歌は世に連れ、世は歌に連れを実感する、世相を映したいい歌ばかりです。美空ひばりの絶唱『川の流れのように』で感動のフィナーレ。