石質隕石 コンドライト サハラ NWA869 ブレスレットを鑑別しました


コンドライト鑑別書


地球に落ちる隕石は鉄隕石・石鉄隕石・石質隕石の3種類に分かれ、地球に落下した数の割合としては石質隕石(コンドライト約86%・エコンドライト約7%※溶解を経験した石質隕石)が約93%、石鉄隕石が約2%、鉄隕石が約5%です。
石質隕石が圧倒的に多いので余り価値が無いと思われるでしょうがそうではありません。
石質隕石は地球上の岩石に似ているので分かりにくく風化をするので発見する事は困難な隕石なのです。
逆に発見される隕石の半数を占めるのが鉄隕石で見た目が違う事と風化が少ない為に見つかる可能性が高くなります。

鉄隕石


鉄隕石
鉄ニッケル合金を主成分とする隕石で、天体での溶融でニッケル・ゲルマニウム・ガリウム・イリジウム等の含有量によって分類されており、それぞれ異なる小天体に起源をもつと考えられています。
ニッケル含有量により少ない方からヘキサヘドライト(ニッケル含有量 4.5%–6.5%)、オクタヘドライト(ニッケル含有量 6.5%-13%)、アタキサイト(ニッケル含有量13%以上)に分けられます。
鉄隕石の中では最も多いオクタヘドライトの断面には2種類の鉄ニッケル合金(カマサイトとテーナイト)によるウィドマンシュテッテン構造が見られます。
ニッケル量が少なくカマサイトのみで構成されるヘキサヘドライトではウィドマンシュテッテン構造は見られません。
今から約100万年前にスウェーデンとフィンランドの国境にあたるスカンジナビア北部に落下したと考えられるムオニナルスタ・メテオライトにはウィドマンシュテッテン構造の三角形・平行四辺形の縞条模様が確認できます。

パラサイト隕石


石鉄隕石
鉄ニッケル合金とケイ酸塩鉱物がほぼ等量で混合している隕石で石質隕石、鉄隕石と比べると非常に希な隕石です。
石鉄隕石は別名パラサイト隕石と呼ばれ鉄ニッケル合金の中に丸みを帯びたカンラン石の結晶が形成され、溶融を経験した隕石母天体内部でケイ酸塩と鉄が完全に分離していない領域に起源を持つと考えられています。

コンドライト鑑別書


石質隕石
岩石質を主成分としている隕石のコンドリュールを含み岩石体としての溶融を経験していないコンドライトと溶融して分化した鉱物からなるエコンドライトに大別されます。
コンドライトは金属鉄や酸化鉄をかなり含みますが溶融を経験したエコンドライトには鉄ニッケル合金は少ないです。

コンドライト鑑別書


今回は石質隕石の鑑別を日本彩珠宝石研究所に依頼しました。

物質名: 天然隕石(メテオライト)

宝石名: 石質隕石
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透明材の含浸が行われいます

摘要欄 磁性あり

物質名
「鉱物名」が「物質名」に変更されています。
※隕石や天然ガラス(モルダバイト・リビアングラス・テクタイト)では全て物質名になります。

宝石名
隕石に「宝石名」では違和感もありますが石質隕石。

処理
「透明材の含浸」は硬度が低い石質隕石には耐久性の向上の為にも必要な処理です。
原石の状態では必要ありませんがブレスレットになっている場合は貫通穴が常にあたっている状態なので補強がないと欠けや割れが生じる可能性が高いので必ず行わなければならない処理の一つです。

摘要欄 磁性あり
石質隕石に磁性があるという事は相応の鉄ニッケルが含有している事が分かります。

コンドライト


今回入荷したコンドライトの最大の特徴はビーズ表面に鉄・ニッケルが確認できる点です。
原石では見る事が出来ない模様ですがコンドライトを丸く磨く事で隠れていた鉄ニッケルが表面に現れシルバー模様が出現しました。
小さなシルバー模様なので10倍ルーペで確認しないと分かり辛いですが茶系の石質の中にシルバーが漂う姿は幻想的で美しいです。

コンドライト


コンドライトは鉄ニッケルを含んでいるので微磁性があり磁石にくっつきます。
もし、当店でコンドライトを購入されましたら微磁性がある事と鉄ニッケル模様をご自身の目でお確かめ下さい。
きっと、地球外からやって来た隕石である事を実感されるでしょう。

石質隕石

鉄隕石 ギベオン
ムオニナルスタ

石鉄隕石

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