ペリドットが採れる場所は地下60km~410km下のマントル!透明剤による含侵処理は耐久性の向上


ペリドット


かんらん石が形成される場所

かんらん石は地殻(地球表面の部分)から深さ約60km~410kmにあたる上部マントルと呼ばれる高温高圧の環境下で形成されます。
地球上で60km~410kmの移動であれば自動車で1時間から10時間もあれば到着する距離ですが、この距離を地球内部に向かって穴を掘って到達するには??? 

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人類が到達した一番深い穴の距離は?

人間は、どこまで深く穴を掘ることができたのでしょうか。
1970年5月4日にロシア北西部ムルマンスク州にある※1コラ半島で掘削が始まり12,262mまで達して穴掘り世界記録を樹立しましたが、地温180℃が想定よりもはるかに高くこれ以上の掘削は難しいと判断され、1992年に計画は中止されています。
メーター表記されていますがキロメーターだと僅か12.262kmです。
22年の歳月を費やし、当時の最新技術を用いての結果でした。
一方のかんらん石は深さが約30km~410kmのあたりで形成されると言われています。
因みにダイヤモンドに至っては地殻から約150km~2,890km辺りまで掘れば幾らでも出ると言われています。
ただし、かんらん石が結晶するマントルの温度は約1,000℃~1,500℃に達し、ダイヤモンドが採れるマントルに至っては1,200℃~3,200℃になるので事実上掘削は不可能です。
鉄の融点(固体が液体に変わる融解という現象が起きる温度のこと)は1536℃、※2レニウムで3180℃、地球上で最も融点が高い※3タングステンで3380℃です。
https://www.rakuten.ne.jp/gold/truestone/truestone/identify-024.html  ※1ロシア北西部ムルマンスク州コラ半島では希少鉱物である十字石(スタウロライト)が世界で唯一採掘ができる場所です。
※2レニウムは大量破壊兵器の開発に使用される恐れがあるため輸出の法規制があります。(用途:ロケットノズルや超耐熱合金等)
※3タングステンは純金(K24)とほぼ同じ比重(タングステン19.3/純金19.32)なので純金との見極めは難しい金属です。その為よく純金の偽物として登場します。

ペリドット


「こんな高い温度の所を掘れるわけないやん!」
「はい、掘れないので採る事はできません。」
しかし、地球は歳月を掛け奇跡を起こします。
地震活動や地殻変動・火山噴火・地殻の隆起等でこれらが地表に到達する事があるのです。
世界の名だたるダイヤモンド鉱山は火山噴火でマントルにあったダイヤモンドを地上まで届けてくれたのです。
それなら、日本なんかは活火山(111箇所)が大量にあるのにダイヤモンドが見つからないのは変なのではと思われる事でしょう。
ダイヤモンドを地上に届けてくれる火山は「ダイヤトリーム」と呼ばれるラッパの形をした噴火口の形状が必要で、日本ではそのような形をした活火山が無く、例えダイヤを地上に運ぶ事が出来たとしてもキラキラしたダイヤモンドでは無く残念ながら真っ黒な黒鉛に変化して地上に吹き上げられる為に全く見つからないのです。
「ダイアトリーム」は地下深くにあるダイヤモンドを地表に噴出するまでの圧力と温度低下が急激なので、ダイヤはキラキラ輝いたまま地上にもたらされたのでした。
かんらん石の話とはズレましたがダイヤと同じくかんらん石もこのような形で地上にもたらされているとお考えてください。

ペリドット


ペリドット

「ペリドット」は宝石名で鉱物名は「オリビン」と呼ばれます。
ペリドット独特の黄緑色は鉄分やマグネシウムの含有量によるもので、鉄分が多ければ濃い緑色に変化し、マグネシウムが多いと黄色に近づいていきます。

ペリドットに施される処理方法

ペリドットには透明材により含浸処理が一般的に多く、耐久性と透明度の向上を狙った処理方法です。
透明材は「透明」なので色合いをより良く見せる「着色処理」や「染色処理」とは全く違います。

ペリドット


透明材による含浸処理

天然石ブレスレットの場合はいつもビーズとビーズの貫通穴が直接当たった状態で繋がってます。
下の写真が分かりやすいかと思います。
四六時中この状態で穴と穴があたっているので割れや欠けが生じやすい事が分かって頂けるでしょうか。
貫通穴の部分を守る為にも透明材による含侵処理が必要なのです。
※透明材はペリドット内部のクラックの隙間も埋めるので耐久性だけでなく透明度も上げる役割もあります。
もし、見た目の向上(濃い緑色に人工的に変化させる)と耐久性の向上の2つの処理を同時にする場合は「透明材による含侵処理」ではなく、「深いグリーン色の有色含浸処理」を行えば美しい色合いと耐久性の向上の2つ同時に手に入れる事も可能です。
ただし、鑑別をすれば「有色剤による含侵処理が行われています」の文言となり、人工的に色を盛った感は拭えません。

ペリドット


ペリドット


ペリドットに似ているが違う石

ペリドットとして紹介されているにも関わらず全く違う天然石もあります。
上記の写真をご覧ください。
何やら、黄緑色のビーズが確認できるかと思いますがこれがペリドットとして流通している場合もあるようです。
天然ペリドットでこんな不自然なヒビが入る事はありません。
これは水晶にクラック(ヒビ)を人工的に入れ黄緑色の色素で染色したペリドット風水晶です。
水晶は単結晶なので着色・染色する事はできませんが水晶にヒビを入れる事でそのヒビに黄緑色の色素を染み込ませる事が可能となるのです。
また、この写真のビーズは粒経約12mmですがペリドットは小さな結晶しか形成されないのでこの大きさのビーズが存在する事自体が不思議に思います。
写真をよく見るとヒビに沿って色の濃いグリーンの色素が見て取れると思いますがこれはクラックに沿って色素が染み込んでいる証拠です。
天然石はこんな色の付き方をする事はありません。
以下の写真が染色・着色が一切ない天然ペリドットで内部は色斑(むら)が無く黄緑色をしている事が確認できると思います。
見比べて天然ペリドットが持つ独特の雰囲気を感じ取って頂ければ変な感じのペリドットを購入する事は無くなるのではないでしょうか。

ペリドット


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