深海ガーネ アメリカ・ミッドウェー産珊瑚を鑑別してみました【True Stone 天然石の真実】


深海サンゴ鑑別書


深海珊瑚
サンゴといえば、日当たりの良い浅い熱帯のサンゴ礁を思い浮かべるかもしれませんが深海探査の進歩により、暗い海の深さで壮観なサンゴの庭園が明らかになりました。
日光の届かない深海なのに、これらのサンゴが繁栄していたのです。

深海珊瑚の生息地
深海は過酷な環境ではありますが、多種多様な生物が生息しています。
深海サンゴは熱帯のサンゴ礁とは異なり、海面下100m以上から3,000mの深海に生息し、日光が届く事はありません。

深海サンゴ鑑別書


浅瀬に生息する珊瑚は体内に共生している褐虫藻(かっちゅうそう=植物プランクトン)から栄養を取っています。
昼間は、太陽の光を利用して褐虫藻に光合成をしてもらい、その栄養の一部をサンゴが受け取っています。
また、夜は太陽がでておらず褐虫藻も休んでいるので、サンゴはイソギンチャクやクラゲのような触手を使い、自分で動物プランクトンを捕まえて食べています。
それに対して深海サンゴは褐虫藻がいないので海流に乗って流れる微細な生物を自らとらえ食べる事で大きくなっています。
浅瀬のテーブル珊瑚等は太陽光をたくさん浴びたいが故に表面積が大きくなり、深海サンゴは出来るだけ微生物をたくさん捕らえるように陸上にある木々のような形に進化していたったようです。

深海サンゴ


深海サンゴ生息地の課題
深海サンゴは非常にゆっくりと成長し、一部の標本は数千年前のものであることがわかっています。
トローリングや重い漁具で海底を引きずると、これらのデリケートなサンゴ礁が破壊されます。 深海サンゴは年に数mmしか成長しないので損傷を受けた深海サンゴ林の再生は最低でも数百年は掛かります。
現在ではミッドウェイ島を含む一連の環礁では生息地の保護で一切採取ができなくなっています。

深海サンゴ鑑別書


アメリカ・ミッドウェー島沖で数十年前に採れた深海珊瑚のデッドストック品が入荷したので鑑別してみました。

素材名: 天然さんご

宝石名: 珊瑚(コーラル)

摘要 流通名で「ガーネ(ガーネット)」と呼ばれています。
   根元に着床場所の物質が残っています。

着床場所の物質


根元に「着床場所の物質」が残っていると言う事は珊瑚の途中から折れて採取したのではなく珊瑚の根元から採取された事が分かる重要な証拠となります。
浅瀬の海ではテーブル珊瑚等、太陽光線をたくさん浴びる為に表面積を大きく成長させているのに対して、深海珊瑚は微生物を捕らえる為に陸上の木のような姿になっているのが印象的でした。
1年に数mmの成長なのでこれらの深海珊瑚も50年~100年位は経っているのでしょうね。
見た目はまさに陸上の「木」その物で、深海に生えていた木と言えるでしょう。
深海ガーネは小型の珊瑚が多く、それは木を小さく育てた日本古来からの「盆栽」にも通じる侘びさびを感じます。

以下は今年8月に撮影した宮古島・八重干瀬(やびじ)での写真で多種のテーブル珊瑚が形成されているのが確認できます。
浅瀬のサンゴは成長が早く1年で1センチから10センチと成長します。
これも太陽という恵みがあるからに違いありません。

宮古島八重干瀬サンゴ



トップに戻る