アフリカ・ケニア・セリコ パラサイト隕石を鑑別してみました


隕石


パラサイトと言う言葉は英語で"parasite"と"pallasite"の2種類があります。
綴りが違うのと発音と意味も違います。

パラサイト(parasite)
寄生生物。寄生虫。寄生植物。居候(いそうろう)。厄介者。

パラサイト(pallasite)
石鉄隕石の一種です。


ニッケル-鉄の合金中にかんらん石の結晶が混る隕石の総称です。
ニッケル-鉄の金属中のニッケル含有量は8~15%で、かんらん石中の鉄かんらん石成分は8~10%に入るものが多いです。
パラサイト中のニッケル-鉄合金はウィドマンシュテッテン模様を示します。
パラサイトの名前はロシアの科学者 P.パラスが1772年に初めてこの種類の隕石を記載したことに因んで名付けられました。

どちらも日本語で書くと同じパラサイトですが隕石の方は固有名詞で綴りも違いました。
わかりにくいですね。

隕石採掘地図

2016年にケニアのセリコで発見され、2017年にパラサイトと認められた隕石です。
地球上に落下した全ての隕石の中でもパラサイト隕石は僅か2%弱しか存在しない大変希少な隕石です。

隕石鑑別書

パラサイトは鉄とニッケルの合金の間に、黄色のオリビンが含まれているという変わった構造をしています。
この構造をもった隕石をパラサイト隕石と呼んでいます。
このパラサイト隕石の最大の魅力はこの不思議な構造で、黄色に見える部分がオリビン(かんらん石 ペリドット)です。
中心核から上昇してきた鉄とニッケルが交わったことにより、黄色のオリビンと鉄とニッケルは交わることなく冷却され、このような形が形成されたと考えられています。

隕石鑑別書

鉄とニッケルが混ざった合金の合間にかんらん石(ペリドット)が存在しています。
そのためパラサイトを薄くスライス状にする事でかんらん石部分は少し光を通し鉄・ニッケル部分は光を遮断します。
漏れた光を見ていると教会にあるステンドグラスを思い浮かべます。
神秘的な光が隕石の隙間を縫って表れる姿は最高に美しいのです。

隕石鑑別書

隕石鑑別書

希少な隕石ですので日本彩珠宝石研究所に鑑別依頼しました。
摘要欄に『当該検査石はペドットを含む石鉄隕石で「パラサイト」と言う別名で呼ばれています。』
これでパラサイト隕石であるのが分かって頂けたかと思います。
後の文言は隕石を挟むガラスの事が詳しく書かれています。
ガラスとガラスの隙間にも透明材で充填整形が行われているのでパラサイト隕石は完全な密封状態なっている事がわかります。

パラサイト隕石も鉄が混ざるため必ずさびます。
折角のシルバーに見える切断面が茶色に変色するのですから「出来るならそのままの状態で残しておきたい。」
それでしたら当店で販売している完全密封のパラサイト隕石ペンダントトップをお薦めします。
コーティングではレジン等も使われますがレジンは変色の可能性があることと、耐久性でガラスには及びません。
本当ならばこのペンダントトップを付けるのでは無くお守りとしてバッグ等に入れ持ち歩く事で半永久的にお使い頂けるかと思います。

パラサイト隕石ほど、隕石らしい隕石はないと思います。
地球外の物質であること、石と鉄で構成され、石の部分と鉄の部分がはっきりとわかれています。
それも石はペリドット。
鉄・ニッケルはシルバーに輝き、ペリドットは黄色です。
薄くスライスすれば隕石が光を通しペリドット色の光が確認できる。
宇宙と神秘性も持ち合わせた隕石だと断言できると思います。


隕石ペンダントトップ

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