キツネ石 ネフライト ヒスイ 見分けられますか? 【True Stone 天然石の真実】




ヒスイには「ヒスイ」・「翡翠」・「ひすい輝石」・「ジェード」と言う色々な呼び方がありますが、それぞれ意味合いに違いがあります。
  • 「ヒスイ」 ジェダイト(ひすい輝石)から構成されている岩石の名称
  • 「翡翠」 中国でヒスイの色に着目して呼ばれたネーミングです。
  • 「ひすい輝石」 ヒスイを構成する鉱物の一つで90%以上のひすい輝石が含まれる事が望ましいとの事で「ひすい輝石」=「ヒスイ」です。
  • 「ジェード」 グリーンの色を持つ特定の質感の石の事です。欧米では硬玉と軟玉の混同が未だに見られ、緑色をした、ちみつな石は全て「ジェード」になるので注意が必要です。
これらにより翡翠はヒスイと呼ぶのが正しいと言う事になります。
ヒスイは単一種類の鉱物と考えられてきましたが、1863年フランスの鉱物学者ダモーラによりジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)の2種類に分けられました。
ジェダイトの和名は「ひすい輝石」で、日本でヒスイと呼ぶのは、この硬玉(ジェダイト)です。
17世紀の末、中国人華僑がビルマで偶然にもヒスイの発掘場所を見つけます。
ヒスイはネフライトとは違い色の種類が豊富で1つのひすい輝石の中に多種の色が混じっている物もあった事で人々はネフライトからヒスイを追い求める事となりました。
ジェダイトはソーダを含むアルカリ輝石でパイロクシン輝石(Pyroxene)グループに属する鉱物群の一つで、ネフライトより硬度が高いため 「硬玉」と呼ばれています。
ひすい輝石が形成される場所は沈み込み帯で、地下20km-30km・温度200℃-300℃・1万気圧の場所と言う極めて特殊な環境で形成される為、産地が限られています。




一方のネフライトは「アクチノライト」が主体となった繊維状集合体の塊となったものとされています。
繊維状がどのようになっているのか実体顕微鏡の40倍でネフライトのビーズ表面を見ましたが繊維を確認する事はできませんでした。
ネフライトの形成場所は5000気圧・温度400℃-500℃でジェダイトに比べると高温低圧型の※変成作用なので産地が限られる事はないと考えます。
※岩石が当初と異なる温度や圧力のもとで、あるいは流体による化学反応に伴い、岩石の組織が変化する作用のこと

今から約7000年前の中国では斧やナイフなどの道具がネフライトで作られていました。
ヒスイよりも軟らかいため、和名では「軟玉」と呼ばれていますが、その特有の繊維状集合体はヒスイよりも強靭です。



2枚目の写真は翡翠で3番目写真はネフライトです。
ヒスイとネフライトは大変良く似ていることからネフライトはキツネ石と呼ばれています。
当然ながら写真では区別できるはずもありません。
ネフライトとヒスイを並べて見ても触っても同じです。
よく「モース硬度が違う」等が書かれて言います。

ヒスイ

硬度6.5~7
比重3.25~3.36


ネフライト
硬度6.0~6.5
比重2.90~3.02

若干ヒスイの方が硬度、比重共に若干上回っていますがほとんど同じです。
その他ネットを検索すると色々な判別方法が閲覧できますが、もし、それでネフライトとヒスイの区別が一般の方が出来るのであれば鑑別機関など必要ありません。

下の写真が1月香港で仕入れましたビルマヒスイの鑑別結果です。
全てを鑑別していませんが、たくさんある連の中から無作為に1連選び作成したブレスレットの一本がヒスイとの鑑別結果だったので、他の連も全てヒスイであると言えるでしょう。
もし、これでも「信用できない」とおっしゃるお客様。
ご安心下さい。
有料ではございますが鑑別書をお付けする事もできます。
けれど、鑑別書の価格の方がヒスイよりも高くなる事もあるので悩む所です。
ありきたりのアドバイスになりますがご自身が信頼できると思うお店で購入されるのが一番いい方法かと思います。



鑑別書の「天然ジェダイト ジェダイト(ヒスイ)」の下に「通常、ワックス加工が行われています」と書かれていますがワックス加工されているかどうかの区別ができないためにお客様保護の観点から必ず記載される文言となっています。
(※日本彩珠宝石研究所はA.G.L会員ですので上記の文言が必ず入ります)
私が何故、日本彩珠宝石研究所をお薦めするかと言いますとA.G.L団体に加盟している事と、この文面然りで公正な立場で「消費者保護」の姿勢が伝わってくるからです。

※AGL(一般社団法人 宝石鑑別団体協議会)という国内の主要宝石鑑別機関22社が集まって作った団体です。
AGLは、健全な業界の発展と消費者保護を目的に結成されました。
AGL加盟の鑑別機関は、消費者の混乱を避けるために鑑定書や鑑別書の記入方法を統一しています。