鑑別書と鑑定書の違い ダイヤモンドは鑑定書です



鑑定書と鑑別書はよく似た言葉ですが全く違う証明書です。
結構、勘違いされているお客様もいらっしゃるようなので簡単に説明したいと思います。

先ずは、鑑別書についてです。
以下の写真は日本彩珠宝石研究所に依頼した隕石の鑑別書です。

https://image.rakuten.co.jp/truestone/cabinet/05676341/imgrc0076039011.jpg” alt=


鑑別書の目的は「その鉱物名は何か」「天然石なのか人工石なのか」「どのような処理をされているか」等を目的に作成される証明書です。
鑑定書のように品質を評価するのではない点が最大の違いです。
含浸処理、着色処理、充填処理、熱処理等、その石に施されている処理全てが記載されます。
「本物なのか不安だ」「変な処理がされていては困るので」等、作成する理由は色々ありますが安心して天然石とお付き合いしたいのであれば作成される事をお薦めしています。

次は鑑定書の説明です。
鑑定書はダイヤモンドのみに発行される証明書で他の鉱物(ルビー、サファイア、エメラルド等)には発行されません。
内容はダイヤモンドの4C(色・透明度・重さ・研磨)の評価が記載される証明書です。

下記の写真はアメリカの宝飾メーカーが発行した鑑定書です。
(※メーカーの会社名と登録番号は消しています)

ダイヤモンド鑑定書


ダイヤモンド鑑定書


鑑定書に書かれている順にご説明します。

【SHAPE AND CUT(形およびカット)】

研磨されたダイヤモンドの外形とファセット配列が記載されています。

"ROUND BRILLIANT"

ラウンド・ブリリアント・カット 丸型はクラウン側に33個(Cのガードル部分よりも上)、パビリオン側に25個(Cのガードル部分よりも下)の合計58個のファセット(研磨された面)を持ったカットのことです。
これがダイヤモンドの美しさを最大に引き出す形と言われています。

【MEASUREMENT(寸法)】

ガードル(c)直径の最小と最大寸法、テーブル(b)からキューレット(d)までの深さ(a)を100分の1ミリ単位で表示されています。

5.63 - 5.62 × 3.48mm

【WEIGHT(重量)】

1カラットの100分の1まで測定されています。(0.2g(200mg)=1カラット)

0.66CARAT

【PROPORTION(プロポーション)】

ダイヤモンドに施された面(ファセット)の角度や比率が記載されています。
"GIRDLE THICKNESS"(ガードルの厚さ)とはダイヤモンドの図の(C)にあたり、ダイヤモンドを保護するために必要なもので厚みの度合いを表しています。
ガードル部分が厚いと枠(わく)にセットする際に固定しやすくダイヤモンドの欠けも防げるのですが肉眼でも厚みがわかるようになることと、ダイヤモンドの輝きにも悪影響を及ぼします。
逆に薄いと枠にセットしづらくダイヤモンドが欠けやすくなります。
理想的なガードルはこのダイヤモンドのような薄いから中間ぐらいの"THIN TO MEDIUM"です。

因みに
・EXTREMELY THIN(極端に薄い)
・VERY THIN(非常に薄い)
・THIN(薄い)
・MEDIUM(中位)
・SLIGHTLY THICK(やや厚い)
・THICK(厚い)
・VERY THICK(非常に厚い)
・EXTREMELY THICK(極端に厚い)
の用語で表現されます。

"CULET SIZE"(キューレット)はダイヤモンドの図の(d)にあたる部分で、その大きさや状態によって表示されます。
キューレット(d)の部分が厚ければ欠けることもないのですが石の底に穴があるように見えダイヤモンドの輝きが損なわれます。

このダイヤモンドの場合は"NONE"(なし)と書かれています。
キューレットが無いものは(d)の部分が鋭い角度で尖っています。
そのため、指輪からダイヤを外す際等、少しでも何かにキューレットがあたれば欠ける可能性が非常に高いのでキューレット無しの"NONE"(なし)は取り扱いには十分な注意が必要です。
しかし、その反面、最高評価の「エクセレント」ランクを得るためには、キューレットが"None"もしくは"Very Small"となる必要性があります。
"None"にはキューレットファセットがなく、ダイヤモンド内部の光が外へ漏れれることがないので最高に美しい輝きを放ちます。

因みに
・NONE(なし)
・VERY SMALL(非常に小さい)
・SMALL(小さい)
・MEDIUM(中位)
・SLIGHTY LARGE(やや大きい)
・LARGE(大きい)
・VERY LARGE(非常に大きい)
・EXTREMELY LARGE(極端に大きい)
・CHIPPED CULET(欠けたキューレット)
・ABRADED CULET(摩耗したキューレット)
の用語で表現されます。

ダイヤモンド鑑定書 グレード


【FINISH フィニッシュ】 

"POLISH" ポリッシュ(研磨状態)
ダイヤモンドのファセット(研磨された面)の研磨の仕上げ評価で以下の5段階に等級付けされます。

・EXCELLENT(エクセレント)
・VERY GOOD(ベリーグッド)
・GOOD(グッド)
・FAIR(フェアー)
・POOR(プアー)

本品では"VERY GOOD"

"SYMMETRY" シンメトリー(対称性)
対称性の良いダイヤモンドは、美しく輝きます。
対称性とは、ダイヤモンドのファセット(研磨された面)の位置やバランスの仕上げの評価で、以下の5段階に等級付けされます。

・EXCELLENT(エクセレント)
・VERY GOOD(ベリーグッド)
・GOOD(グッド)
・FAIR(フェアー)
・POOR(プアー)

本品では"VERY GOOD"

【CLARITY GRADE】クラリティーの等級

この鑑定書では"Internally flawless"が最高です。
電子顕微鏡で10倍に拡大し検査してインクルージョン(包有鉱物)の有無、位置、大きさ、性質、数、色を総合的に判断してクラリティーの評価は行われます。

IF   10倍の拡大で内部が無傷・表面に微量な欠点
VVS 1  10倍の拡大で発見困難な微少な欠点
VVS 2  10倍の拡大で発見困難な微少な欠点・VVS 1より少し劣る 
VS 1  10倍の拡大で発見が多少困難な欠点
VS 2  10倍の拡大で発見が多少困難な欠点・VS 1より少し劣る
SI 1  10倍の拡大で発見が容易、肉眼では困難
SI 2  10倍の拡大で発見が容易、肉眼では困難・SI 1より少し劣る
I 1   肉眼で発見できる
I 2   肉眼で容易に発見できる      
I 3   肉眼で容易に発見できる・I 2より劣る

こちらのダイヤモンドは"Internally flawless"から4番目にあたるVS1です。

【COLOR GRADE】カラー(色)の等級

黄色の色調の微妙な違いを各付け分類するのがダイヤモンドのカラー評価です。
一般には純粋無色なものをDカラーとし、以下E,F,G,H・・・・・・・・・・Zまで分類評価します。
カラーの評価をする時はマスターストーンと比較して、微妙な色調の差異を判断します。

D・E・F          無色
G・H・I・J         ほとんど無色
K・L・M          僅かな黄色
N・O・P・・・・Z      薄い黄色・・・・・・・・・・・・・・黄色 
 
本品は"F"

【Ultraciolet fluorescence】紫外線蛍光

ダイヤモンドは、一般的に紫外線を当てると石によって様々な蛍光を発します。
ただし、品質とは無関係の項目です。

このダイヤモンドは"NONE"「無し」です。

いかがでしたでしょうか。
ダイヤモンドの価値を決めるのは鑑定書であることがおわかり頂けたかと思います。
この鑑定書でダイヤの値段が決まるのですから大変重要な証明書です。
ダイヤモンドの鑑定書をお持ちの方は一度、上記の事項を確認されてはどうでしょうか。
意外に「こんな良いダイヤモンドを貰ったんだ」と思われる方もいらっしゃるかと思います。

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