突撃インタビュー
2021/8/25
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レオナルド ピッゾーロ氏 Mr. Leonardo Pizzolo
アブルッツォ州の約1%しか存在しない山間部ワイン!イタリアで最も美しいポポリ国立公園内にある唯一の造り手として上級モンテプルチアーノを生産する「ヴァッレ レアレ」突撃インタビュー
99%の造り手が海側に拠点を置くアブルッツォで、1%の「山のワイン」として洗練されたワインを生産する「ヴァッレ レアレ」
少量生産でフィネスを感じさせる山側のモンテプルチアーノ
アブルッツォには500以上のワイナリーがあり、多数は海側の平野部に拠点を置いています。その理由にブドウ品種の特性があります。山側で造るモンテプルチアーノ種は、品種自体がもともと晩熟であることに加え、海側と比べて成熟するのに1.5か月ほど長く時間を要します。そのことから、秋雨の被害を受ける可能性が高く、品質被害を避けるために多くのワイナリーがこぞって海側を拠点としているのです。海側で栽培されるクローンは、房が大きく大量生産に向いていることも海側を選ぶ要因の一つです。(アブルッツォ、特にペリーニャ渓谷では、そのリスクを考慮しモンテプルチアーノを用いた高品質なロゼワインが伝統的に生産されています)
しかし、山側に位置する「ヴァッレ レアレ」は、ブドウをじっくり熟成させ、収量を海側の3分の1に抑えることで、フィネスを感じる美しいワインの生産を可能にしています。「コストパフォーマンスに優れたワインを造るなら、ここに来る意味がない」とオーナーのピッゾーロ氏は語ります。
海側とは一線を画すエレガントでバランスに優れた山由来の個性
ヴァッレ レアレは山や国立公園のテロワールを存分に引き出し、「アブルッツォの山側のワイナリー」として近年注目を浴び評価を得ています。オーナーを務めるピッゾーロ氏に、山側に位置するヴァッレ レアレの特異性について、大きく3つに分けて説明していただきました。
1. 山岳地帯ならではの冷涼気候、昼夜の寒暖差
「海・山・畑」と並ぶ地形により、夜に吹く海からの温風を山脈がブロックし、昼夜の寒暖差が生まれます。海側と比べて気温が10度以上低い日もあります。こうして、ブドウの成熟期に昼夜の大きな寒暖差があることで、ゆっくりと長い時間をかけてブドウが成熟し、より長く土壌からの要素を吸収します。これにより、素晴らしいエレガンスと優れたバランス、複雑で上品なアロマ、美しい酸を持ったワインに仕上がります。
2. 石が多く乾燥した土壌
かつては海だったこともあり、畑には石が多く、乾燥した非常に貧しい土壌です。そのため、ブドウの樹は水や土壌の養分を吸収するために、より深くまで根を張るようになります。その結果、並外れたミネラル感や素晴らしい複雑味をワインに与えます。
3. イタリア国立公園というクリーンな環境の中、温度管理を行わない自然発酵
国立公園という大自然に囲まれたヴァッレ レアレのワインは、全てビオロジック認証を受けており、2007年から全て天然酵母で自然発酵を行っています。公園内で育ったブドウには、果皮に自然のイースト菌が付着しており、そのまま自然発酵していくため、ワインには酵母のニュアンスが反映されます。「この天然酵母によるところが、テロワールの味わいを表現するために重要です」とピッゾーロ氏は考えます。
今回通訳していただいたワインジャーナリストの宮嶋勲氏にも、ヴァッレ レアレについてお話していただきました。
「ヴァッレ レアレは、自然管理で温度管理も行わない、イタリアでも稀に見る自然発酵で長期熟成に耐えうるワインを生産しています。ヴァッレ レアレの特徴である自然発酵時の温度が低いことも重要な点です。“海側の造り手”であるヴァレンティーニやエミディオ ペペも同様の手法を取っていますが、ヴァッレ レアレは唯一“山側の造り手”として行っています。ワインは非常にクリーミーで、ゆっくりゆっくり開いていきます。トレッビアーノで一番重要なポイントは、ステンレスだけで行う発酵です。それぞれのテロワールがクリーンに濁らずに出てくるようにしています。シュールリーを行うことによって、クリーミーなトーンが出てくるんです。」
ヴァッレ レアレは、山の特性を最大限に引き出すことで、近年世界中の評価誌や評論家に高く評価されています。2015年にはノンフィルターで造られる「ヴィーニャ ディ カペストラーノ」が『ガンベロロッソ』で最優秀白ワイン賞を獲得し、「モンテプルチアーノ ダブルッツォ サン カリスト」は、イタリアで影響力のある多く評価誌で高得点を叩き出しています。
山に10年間こもりアブルッツォのワインを探求、
世界中の銘醸地を訪ね、名だたる醸造家に指導を受けたピッツォーロ氏
「大学で経済学を学んだ後、家族が行っていたワインの瓶詰の仕事をヴェネト州で始めました。実家がアブルッツォでマスの養殖業もしていたので、アブルッツォのことはよく知っていました。アブルッツォは水がとても綺麗なんですよ。
1999年に古木が植えてある畑をアブルッツォで見つけ、その時すでに樹齢50年を越えていることがわかりました。ミラノ大学と共同で栽培をし、アブルッツォの特殊なテロワールを引き出したいという思いでワイン生産を始めました。
当時アブルッツォは、トスカーナやピエモンテほど有名な土地ではなかったんです。高品質ワインができるという確固たる保証もなかったので、相手にされませんでした。なんとかして自社ワインのクオリティを上げるために、山の中に10年間こもったこともあります。また、ヴァッレ レアレを多くの人に知ってもらうためにアメリカや北欧など、世界中を回り数多くのワインを味わってきました。
私は20年間ワイナリーで働いてきましたが、アブルッツォの人間ではないですし、エミディオ ペペのような存在でもありません。しかし、伝統に縛られていないからこそ、試行錯誤して自分が良いと思ったことを遂行できています。ドメーヌ ルフレーヴのピエール モレ氏から14年ほど指導を受けていますし、世界中を旅して出会った醸造家からも多くのことを吸収しています。それが今の我々が造るモンテプルチアーノやトレッビアーノに表れていると思います」
ヴァッレ レアレ
美しい酸とミネラルに富む、有機栽培で造られた秀逸トレッビアーノ
ヴァッレ レアレ
「これは私たちヴァッレ レアレを表しているワイン」
ポポリ国立公園内のポポリ畑で造るトレッビアーノ ダブルッツォ
オーナーのピッゾーロ氏は「このワインは私たちを表しています。私が日本に1本持っていくならこのワインでしょう」と語るほどです。
試飲
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麦わらよりの黄金色。ドライフルーツ、ミネラル、白い花、柑橘系、パイナップル、アーモンドを感じるエレガントな香り。口当たりはなめらかでありながら、直線的でフレッシュな酸が舌を駆け上がっていきます。後味には塩味があり、複雑で豊かな風味が鼻孔をくすぐります。
ヴァッレ レアレ
1400年代からの歴史を持つ畑「カペストラーノ」で造るトレッビアーノ ダブルッツォ
美しい酸ととろっとしたハチミツのような果実味!
試飲
コメント
黄金色。レモンなどの柑橘類とその皮、花、ミネラル、白コショウを感じる繊細かつ複雑な香りです。香り、味わいともにバランスが非常によく、口中が優しく包み込まれるような感覚があります。味わいの特徴である心地よい酸味とミネラル感の余韻が長く続きます。
ヴァッレ レアレ
山岳地帯ポポリ国立公園内で唯一造られるエレガントなモンテプルチアーノ
ステンレスタンク由来のフレッシュさがあるワインですが、長期熟成に耐えることもできます。意図的にアルコール発酵を途中で終えています。その理由は、アルコールが高くなるとタンニンの抽出が多くなり、タンニンの荒々しさが出るためです。アルコール発酵を止めなければ、長期熟成に向いたワインになりますが、ヴァッレ レアレはそれを行っていません。
試飲
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色はダークパープル。ブラックベリー、ブルーベリー、チェリーの香り。味わいはリッチでジューシー、生き生きとしたエレガントなタンニンが特徴です。鮮やかで豊かな酸味と心地よい風味が余韻として長く続きます。後味にコショウなどのスパイスや香ばしいアロマを感じます。
ヴァッレ レアレ
標高約500mの単一畑、サンテウザニオで造るモンテプルチアーノ ダブルッツォ
美しき酸、フィネスを感じる気品ある逸品
「ヴィーニャ サンテウザニオ モンテプルチアーノ ダブルッツォ」は「モンテプルチアーノ ダブルッツォ」と同じ品種、同じ醸造、同じクローンですが、唯一、畑の区画だけが異なります。それだけで全く違う特徴が現れており、気品のある逸品に仕上げられています。従来、天候に左右された年は長期熟成が保証されないため、ロゼしか作りません。2018は暑い年でしたが、天候に恵まれた年でもあったため、無事に赤ワインとして生産することができました。
試飲
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色は輝きを持つダークパープル。黒系果実、バラ、赤系果実、ジャムなどの気品のある洗練された複雑な香り。なめらかなタンニンと美しい酸が特徴的で、繊細でフィネスを感じる味わい。凝縮かつフレッシュな風味が口の中に広がり、余韻が長く続きます。
ヴァッレ レアレ
『WA』&『JS』で93点獲得!良年にのみ造られる美しい酸が魅力の特別キュヴェ!
特別な畑「サン カリスト」で造るラストヴィンテージ!
試飲
コメント
ガーネット色に近いルビー色。香りは複雑です。凝縮系果実のアロマが際立ち、カシス、ミネラル、革などのスパイスの香り。力強さ、豊富な赤系果実と黒系果実、美しい酸、タンニン、全てが同じレベルで調和のとれた味わいです。ふくよかで柔らかく、余韻が長く続くエレガントなワイン。
インタビューを終えて
全体を通して非常に美しい印象を受けました。ワインはもちろん、ワイナリー周辺の大自然が非常に綺麗でした。ヴァッレ レアレが拠点を置く国立公園では、自然保護が大前提で様々な規制があります。周辺のほとんどの森林には手を付けてはいけません。もともと存在した畑での農産は許されていますが、地元の農産物、土着品種しか生産してはいけません(例:トマトはOK、キウイはNG)。もちろん農薬の使用は禁止されています。その汚れなき環境が、ヴァッレ レアレの美しいワインにつながっているのだと感じました。そんなクリーンでピュアな環境の中で、自然発酵で醸造を行う造り手「ヴァッレ レアレ」のワインをぜひお楽しみください。
試飲
コメント
透明感のある黄色。香りは繊細ですが、アーモンド、ミネラル感、黄桃、リンゴ、白い花のニュアンスをしっかりと感じることができます。口当たりは柔らかく、パイナップルや柑橘系の風味豊かな味わい。後味にアーモンドのほろ苦さがやってきます。