突撃インタビュー
2018/07/17
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ヴァッレ デラカーテ社 アントニオ ラ ヴィスタ氏
エレガントで優美な土着品種「フラッパート」!濃厚なシチリアワインのイメージを変えた6代目女性オーナーで注目を集める「ヴァッレデラカーテ」
イタリア銘醸ワイナリーを世界に導く「成功請負人」
ヴァッレ デラカーテ社 最高経営責任顧問
1938年ローマ産まれ
ローマ大学で経営学を学ぶ。
1960年代~1980年代、食品メーカーでセールスマネジャーを務めた後、その実力を買われ、1990年以降はワイナリーの輸出担当を生活務める。
プラネタ(シチリア)を皮切りに、テヌータ サンレオナルド(アルトアディジェ)、グイド ベルルッキ(ロンバルディア)とイタリアを代表する銘醸カンティーナの経営顧問を務め、世界的ワイナリーをへと導いた、まさに成功請負人。2017年から現職に就き、精力的に世界中にトップセールスを行う。
2017年2月からヴァッレデラカーテ社へ
2017年2月からヴァッレデラカーテ社へ
ヴァッレデラカーテで昨年2017年2月から最高経営責任顧問をなり海外を廻っています。私は80歳になりますが、この仕事が大好きです。妻は半分呆れていますけどね(笑)ヴァッレデラカーテ社の6代目オーナー、ガエターナ女史とは旧知の仲で顔見知りでした。今から2年前でしょうか、ガエターナ女史からオファーが来ました。
「プラネタ」の立ち上げにも参画
同じシチリアのワイナリーでは、プラネタに10年働いていました。私が務めた時はまだプラネタが現在のように有名ではなく、まさにワイナリーが始まろうとした時でした。
シチリア最大のワイン生産者組合「セッテソリ」の会長でプラネタを立ち上げたディエゴ プラネタ氏と働いていました。ディエゴ氏は沢山のワインを造っていましたが、高品質なワイン造りに転換したいと思っていました。シチリアで著名なワイナリー、タスカダルメリータのワインと比較して3倍近く安く売っていた現状を変え、高品質ワインを造りたいというディエゴ氏の思いもありました。その後、ディエゴ氏の思いは息子、娘達に引き継がれています。
エレガントなワインを産み出すシチリア南東部ラグーザ県ビディニ地区
ヤコノ家はずっとワインを造ってはいましたがもっぱらフランスへ樽で輸出をしていました。1870年代以降のことです。1981年に自社でボトリングをするワイナリーヴァッレデラカーテを立ち上げました。
チェラスオーロとラグーザの大使も務めるガエターナ女史
その後、1990年に6代目ガエターナ女史がワイナリーに加わるようになりました。ガエターナ女史とはその頃から面識がありました。現在ガエターナ女史は「イタリア女性醸造家の会」会員で、チェラスオーロとラグーザの大使も務めるなど、ワインやこの地への愛情に溢れる魅力的な女性です。
シチリア南東部ラグーザ県ビディニ地区
ヴァッレデラカーテのワインの品質は間違いなく高い事は周知の事実で、私はヴァッレデラカーテの造るワインを更に広めていく仕事をしています。シチリア南東部ラグーザ県ビディニ地区にワイナリーはあります。このエリアは土着品種フラッパートの栽培が盛んなエリアです。ワイナリーは100ヘクタールの畑を所有していて、畑は様々なタイプの土壌、テロワールがあります。
私達は昔から土壌、テロワールの研究を重ね、その土壌タイプに合ったブドウ品種をえり分けて栽培しています。土着品種の可能性を追求し、この地のテロワールを活かしたボリューム感を持ちながらも柔らかくエレガントなワイン造りを行っています。
7つの土壌タイプに7つの異なる味わいのワイン
Q.ワイナリーの土壌について教えてください。
土壌についての着目はピエモンテ出身のエノロゴ、カーザヴェッキア氏が「どうしてもっと細かく土壌を分類して研究しないのか」といった言葉が始まりでした。彼の出身のピエモンテでは土壌について大きく議論が成されているからです。
それから事細かに分析、研究が始めました。元々シラーも植えていたのですが、土壌が合わない事が解り、ハイレンジラインでのシラーの使用を止めました。ことなる7つの土壌タイプでそれぞれの個性に合ったワインを造っています。所有する100ヘクタールの畑の中で、まだ分析していない場所もありますが。つまり、7つの土壌タイプに7つの異なる味わいのワインがある訳です。
1.TERRA GIALLA(黄色土壌) ザグラ(インツォリア)→10
2.TERRA BIANCA1(白色土壌) ビディス(シャルドネ)→7
3.TERRA NERA CON CIOTTOLI DI COLORE BIANCO(白石混じりの黒色土壌) イルフラッパート(フラッパート)→9
4.TERRA ROSSA(赤色土壌) チェラスオーロ ディ ヴィットリア(ネロダーヴォラ、フラッパート)→1.2.3.4.5
5.TERRA NERA(黒色土壌) イルモロ(ネロダーヴォラ)→8
6.TERRA OCRA(黄土色土壌) タネ(ネロダーヴォラ、シラー)→12
7.TERRA ROSSO ARANCIO(オレンジがかった赤色土壌)→14.15
エリアを代表する愛すべき土着品種「フラッパート」
試飲をしながら和やかな雰囲気に。すると、アントニオさんからこんな質問が。
Q.なぜトスカニーという社名を?
「私達がイタリアの素晴らしい食文化に触れた最初の土地がトスカーナ州。その感動を原点にインターネットでイタリアのワイン、食材を販売したいという思いで「トスカニー TUSCANY」という名前をつけました。トスカーナを英語で言うと「TUSCANY(タスカニー)」、日本語の「トスカーナ」と英語の「TUSCANY(タスカニー)」をミックスして作った造語なんです。」
それはとても素晴らしいですね。インテリジェンスを感じます。トスカーナは世界中に知られた地名ですね。トスカーナにはイタリア以外の外国人所有のワイナリーも多くありますね。それほど魅力的な場所です。トスカーナから想像される言葉は「エレガントさ」です。トスカーナ出身の方は総じて上品な方が多いように思います。
私がシチリアで食品(チーズ)関係の仕事をしていた1963~1968年頃のシチリアは本当に素晴らしく美しい土地でした。しかしながらシチリアの美しい風景をイタリア政府が観光に使うという頭が働かず、当時はシチリア各地に工場等がどんどん建設されていた状況がありました。ヴァッレデラカーテのあるシチリア南東部ラグーザの海岸線は昔からある非常に美しい風景が残る素晴らしいエリアです。シチリアに来られることがありましたら、是非お立ち寄りください。
エリアを代表する愛すべき土着品種「フラッパート」
このエリアを代表する土着品種がフラッパートです。このフラッパートがあったからこそ、ヴァッレデラカーテを好きになりました。とても愛しているワインです。フラッパートは元々ギリシャから伝わってきたブドウです。
デリケートな香り、フレッシュさがありあらゆる食事とも合わせやすい
フラッパート自体は以前から知っていましたが、まるで白ワインであるかのような滑らかさがあります。冷やして飲んでも楽しめる赤ワインだと思います。デリケートな香り、フレッシュさがありあらゆる食事とも合わせやすいです。
繊細な和食とも相性が良いと思います。そしてピノノワールを思わせるような上品なタッチがあり、フラッパートを飲むと気持ちが高まりますね。軽やかで心地よい気持ちになれるワインです。
「フラッパートを軽く冷やして魚料理と合わせます」
シチリアでは、ヴァッレデラカーテのフラッパートを軽く冷やして魚料理と合わせます。自分たちが幸運だったのはフラッパートの一番の聖地でこのワインを造る事が出来ている事です。ネロダーヴォラはカラブリア州から海を渡ってやって来ました。シチリアに入って花開いたブドウです。フラッパートの名前自体も私達がワイナリーを構えるラグーザで確立した名前です。シチリアでも一部のエリアでしか栽培されていない、とても生産量が少ないブドウです。フラッパートにおける3大生産者と言えば、ヴァッレデラカーテ、コス、オッキピンティの名前が挙げられると思います。
ネロダーヴォラのボリュームとフラッパートのエレガントさ。シチリア唯一のDOCG「チェラスオーロ ディ ヴィットーリア」
「チェラスオーロ ディ ヴィットーリア」はネロダーヴォラ60%、フラッパート40%のブレンドで造られるシチリア唯一のDOCGワインです。ネロダーヴォラのボリュームとフラッパートのエレガントさがバランス良くブレンドされています。
一番厳しい規定を持つDOCGに認められたチェラスオーロ ディ ヴィットーリアは法律上はネロダーヴォラを50%以上70%まで、フラッパートを30%以上50%まで、と決められています。その他収穫量、熟成等も決められています。全ての生産者がこの規定を守り造らなければなりません。
「チェラスオーロ ディ ヴィットーリア」がDOCGに昇格して10年近くが経ちました。以前はDOCの時代があり、DOCGに申請する際に手続きがとても大変でした。イタリアは事務手続きがとても難しくて時間がかかってしまうからです。例えDOCワインであっても、DOCGに昇格する際にはまた一から審査が始まるのです。最高ランクのDOCGに到達するにはいくつもの段階を踏まないといけないのです。
「このワインのもつエレガントさを伝える必要があると思っています」
2014年はアルコールが13.5%ありますが、重たさを感じさせません。ヴァッレデラカーテではネロダーヴォラが樽熟12カ月間、フラッパートがステンレスタンクで12カ月熟成させます。更にボトリングで熟成させます。10~12年熟成も出来るポテンシャルがあります。
チェラスオーロ ディ ヴィットーリアはDOCGワインではありますが、シチリアの小さなエリアで造っているまだ知名度も低いワインでもあります。同じDOCGワインであるバローロやキャンティに比べてみてもそうですが。チェラスオーロ ディ ヴィットーリアをより多く方に知って頂くためにも各国に出向いて、このワインのもつエレガントさを伝える必要があると思っています。
最高経営顧問アントニオ氏と試飲が始まります!
フレッシュ&フルーティーなインツォリアの魅力
グリッロ100%の豊かなコクとミネラル、酸味が溶け合う充実した味わい
試飲
コメント
グリッロ100%の豊かなコクとミネラル、酸味が溶け合う充実した味わい。完熟したフルーツ香、中盤から広がるオイリーさもあり、味わいの要所を外さない優れた完成度。
果実と樽の風味が溶け合う上質の飲み心地
試飲
コメント
熟した果実や乾燥フルーツ、スパイスなどのしっかりとした香りに加え、ほんのりバニラのニュアンスも感じられます。フレッシュで広がりのある味わいでバランスがよく、心地よい旨みがあります。樽発酵・樽熟成ではありますが樽のニュアンスは強くなく、すーっと飲める心地よさ。魚介類や野菜料理などとあわせてお楽しみください。
シチリア南部のテロワールが産み出すエレガントなネロダーヴォラ
試飲
コメント
優しく果実味が広がり、味わいがしっかりと染み込んでいくバランスの良い赤。タンニンが非常に柔らかく、スムーズかつエレガントな飲み心地があります。
エレガントシチリアとして大注目の「フラッパート」100%
試飲
コメント
赤い果実やラズベリーの香りが広がる上品で優しいこのアロマを感じるだけで自然と笑みがこぼれます。フレッシュでイキイキとした酸のある味わい。エレガントで実に軽やかな印象ですが、決して軽さはなく、味わいの要素をしっかりと感じる飲み心地の良さがあり、ピノネーロにも共通するスタイルがあります。フレッシュなチーズやサラミ類と一緒に楽しんだり、魚介料理とも相性抜群。地元のシチリアではマグロ料理ともよく合わせられます。14~15度ぐらいでやや冷やし気味でお楽しみください。
シチリア初のDOCG認定ワイン「チェラスオーロ ディ ヴィットリア」赤色土壌で造るネロダーヴォラとフラッパートの絶妙ブレンドが生む唯一無二味わい
試飲
コメント
濃密な果実の香り、熟したサクランボと様々なスパイスのニュアンスも感じられます。やわらかな味わいでタンニンは強くなめらか。きれいな酸が印象的でアロマを感じる長い余韻へと続きます。熟成させたチーズや鶏肉のカレー、ジビエのパテなどと合わせて楽しめます。
テロワールが産みだすエレガントなネロダーヴォラ
試飲
コメント
しなやかな口当たりと熟した果実感、ボディを引き締めるミネラル、上質な酸が調和するハーモニーが感じられます。心地良い風味と果実感を残してしなやかに喉元に落ちていきます。
魅惑的な複雑なアロマを放つ限定ネロダーヴォラ
試飲
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熟したチェリーやジャムの香りにバニラやチョコ、スパイスのニュアンスが複雑に溶け合う魅惑的な香り。しなやかな果実感と甘く余韻の長いタンニンが心地よいエレガントなワイン。4,000本のみボトリングされた限定品。
骨格の確りとした力強さとヴァッレデラカーテらしい優美さが絶妙に溶けあう
試飲
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秘めたるパワーの強さを感じるワイン。ゆうに10年は熟成可能なポテンシャルがあり、骨格の確りとした力強さとヴァッレデラカーテらしい優美さが絶妙に溶けあう。ジビエや熟成チーズと合わせたい。
インタビューを終えて
「今年で80歳です。妻は半分呆れていますけどね(笑)」と和やかに話していましたが、最高経営責任顧問みずからトップセールスで世界中を飛び回っている行動力、複数の言語を話す凄さ。アントニオ氏こそ、まさに「フラッパートの顔」と言っても過言ではないでしょう。
大好きなフラッパートを仕事にしているアントニオ氏は常に自信に満ちていて、馴染のないフラッパートがとても近しい存在に感じました。シチリアワインの中でもエレガントで華やかなフラッパートの魅力。ピノノワールにも通じる清らかさがありました。
ワイナリーのあるシチリア南東部の小さなエリア「ラグーザ」は古き良きシチリアを感じさせる美しい海岸線が残っているとの事。美しい景観で育つエレガントなフラッパート。シチリアワインのイメージを変える優雅な魅力が詰まっています。是非お試し下さい。
試飲
コメント
清々しいミネラル感、純度の高い果実感は滑らかでフルーティ。フレッシュさで仄かな塩味があり見事なバランスを成すワイン。カジュアルにも楽しめる懐の深さがあります。