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Interview

突撃インタビュー

2019/11/06

ロレンツォ リスポーリ輸出部長、アレッサンドロ ヴェッラ氏

1952年創業、DOCGヴァルドッビアーデネ プロセッコの畑の1割を所有。大人気のブルーボトルプロセッコから、上級キュヴェ「リーヴェ」「カルティッツェ」までレベルの高いプロセッコで人気の実力派カンティーナ「ヴァル ドッカ」突撃インタヴュー

ロレンツォ部長
1952年に100人の栽培農家が集まって設立した「ヴァルドッカ」は、今日DOCGコネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ スペリオーレ(以下DOCGヴァルドッビアーデネ プロセッコ)の生産地の1割強を所有する重要な生産者です。プロセッコの上級ランク区画である「カルティッツェ」「リーヴェ」と幅広い商品ラインナップで世界中から支持を集めています。同社輸出部長ロレンツォ リスポーリ氏にヴァル ドッカの歴史とワイン造りについてお話を聞きました

DOCGヴァルドッビアーデネ プロセッコの生産面積の1割強を占める協同組合

ヴァルドッビアーデネの遠景「ヴァル ドッカ」の歴史は1952年に遡ります。戦後間もない北イタリアのヴェネツィアから50kmほどの内陸部の町トレヴィーゾ周辺に畑を持つおよそ100軒のブドウ栽培農家が集まって設立された農業協同組合です。新しい時代を迎え、それまでの価値観が大きく変わる予感のなか、大地と人間との結びつきを護りつつも、これまでとは異なる生活や働き方のリズムに合わせてみずから変わっていく必要性を感じ取ったブドウ農家の集まりで、当時としてはかなり画期的な取組みでした。将来を見据えて、どんな困難な道でも自分たちの手で切り拓いていこうという気概のある人々でした。ですから施設の建設作業も自分たちで行ないました。醸造所には当時の写真が飾られています。組合員たちが手分けして大工仕事に汗を流している貴重な写真です。

創業以来、道のりは決して平坦なものではなく、数々の苦労を伴いました。けれども常に未来を見据えて力を合わせて乗り越えてきました。2009年にDOCGへの昇格が行なわれてからは、世界的な需要の急成長に対応するべく全力で生産規模を拡張し、2016年には国内海外の市場を合わせて13百万本もの出荷を記録しました。これを受け、2017年には全面的なロジスティック機能の刷新を図りました。生産面について、プロセッコの生産には欠かせないアウトクラーヴェと呼ばれる発酵タンクは現在56基を所有しています。2020年は更に40基を増設する計画です。

収穫したてのグレラこうした流れのなか、現在の組合員数は600軒に増え、今日「ヴァル ドッカ」はDOCGプロセッコの総生産面積8088hのうち、950hを所有するこの地区最大級の生産者となりました。

プロセッコのピラミッド:DOCプロセッコ、DOCトレヴィゾ、DOCGプロセッコ スペリオーレ、DOCGの頂点にある『リーヴェ』と『カルティッツェ』

プロセッコの格付けピラミッド
1969年にDOCプロセッコが認定されて以来、安定した美味しさと親しみやすさで市場を獲得してきましたが、大きな変革が訪れたのはなんといっても2009年のDOCG認定です。これにより、プロセッコの統制保証原産地呼称のピラミッドは図のように6つのカテゴリーに分けられました。

ブドウ品種について:DOCG規定ではグレア種を85%以上使用し、残り15%まではヴェルディーゾ、ビアンケッタ、ペレーラ、グレーラルンガなどの土着品種の使用が認められていますが、今日では大部分の生産者がグレア100%で生産しています。
DOCGピラミッド

■DOCG ヴァルドッビアーデネ スペリオーレ ディ カルティッツェ
DOCG Valdobbiadene Superiore di Cartizze 
二つの集落が認められており、わずかに107ヘクタールのみ。

■DOCG コネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ スペリオーレ リーヴェ
DOCG Conegliano Valdobbiadene Prosecco Superiore Rive
43地区認定されており、それらをすべてあわせても249ヘクタールのみ。

■DOCG コネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ スペリオーレ
DOCG Conegliano Valdobbiadene Prosecco Superiore
8088ヘクタール

■DOCG アゾロ プロセッコ
DOCG Asolo Prosecco
1992ヘクタール

■プロセッコ DOC トレヴィーゾ
Prosecco DOC Treviso
14543ヘクタール

■DOC プロセッコ
DOC Prosecco
24450ヘクタール

参考資料 Civilta del Bere Ottobre 2018

DOCGヴァルドッビアーデネ プロセッコの頂点にある「リーヴェ」と「カルティッツェ」
DOCGヴァルドッビアーデネ プロセッコのなかには、とくに際立った「クリュ」に相当する二つの呼称があります。

「リーヴェ」

DOCGプロセッコ全体のわずか3%のみ。急斜面地を含む43地区が認定されています。単一の村もしくは集落で栽培されたブドウのみの使用が義務付けられており、「リーヴェ」とはこの地方の方言で、”急斜面のぶどう畑”を意味します。DOCG コネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ スペリオーレ内にあるテロワールの違いを明確にするという目的で認定されました。「リーヴェ」に認定された畑のブドウは、ヘクタール当たりの収穫量をDOCGより0.5トン少ない13トン以下に制限されています。また、ブドウの収穫は手摘みで行なうことが義務付けられています。現在43のリーヴェが認められており、DOCGのブドウ栽培地域のなかの各地域の特徴を表現しています。

「カルティッツェ」

DOCGプロセッコ全体のわずか1%のみという稀少な畑。指定地区はヴァルドッビアーデネになる、サンピエトロディバルボッツァとサントステファノサッコル集落に跨った二つの馬蹄形の丘陵になった地域のみとなります。この地区のブドウが格別のワインを生むことは、古くからこの地方の人々のあいだで知られていました。というのも、北側を囲む山が冷たい北風を遮ってくれるのに加え、堆石土壌、砂岩、粘土質土壌が混ざり、水捌けがよく、保水性のある土壌条件が、しっかりとしてバランスの良いブドウ樹を育てます。斜面の傾斜角度は場所により70度にもおよび、ブドウ栽培の作業にかかる時間は平地の数倍にもなりますが、その斜面でできるブドウの品質は卓越していることが昔から知られています。ことに「カルティッツェ」の畑は価値が高く、土地の取引価格はバローロの畑の価格を凌駕すると言われます。

プロセッコの主流はエクストラドライ
プロセッコの甘辛表示は、【ブリュット】と呼ばれる1リットル当たり残糖度0-12グラムのもの、【エクストラドライ】と呼ばれる1リットル当たり残糖度12-17グラムのもの、そして【ドライ】と呼ばれる1リットル当たり残糖度17-32グラムのものの三種類があります。

一番売れているのは【エクストラドライ】で、ブドウ本来の香りが高く風味が豊かで、心地よい適度な酸味と果実味が特徴です。柔らかな口当たりのため食前酒としても飲みやすく、スープやパスタ、リゾットなどのプリモピアットのほか、魚料理とよく合います。心地よい飲みやすさからどなたでも楽しんでいただける気安さがあり、イタリア料理によく合うことから、イタリア国内でもエクストラドライが好まれます。

プロセッコのランク違いを飲み比べ
① DOC プロセッコ (ブルーボトル)エクストラドライ 残糖度15g/リットル

視認性の良いブルーのボトルで棚に並んでいてもすぐに目にはいります。古典的なわかりやすいプロセッコの味わいである、フルーティさ、林檎や梨のアロマに白い花の香りがあり、心地よい口当たりが特徴的です。すっきりとしていて、アフターに優しい甘さをほんのりと感じさせるので、イタリア料理のパスタ類や、一般的な和食にもよく合いそうです。時間帯も、夜だけでなく、週末のブランチなど、幅広い機会に気軽に楽しめる気安さがあります。実際にはトレヴィーゾ産100%なのでプロセッコ DOC トレヴィーゾなのですが、DOC規定でブルーのボトル使用が認められていないため、DOCプロセッコに格下げして販売されています。

② DOCG ヴァルドッビアーデネ プロセッコ

泡立ちが細やかで繊細な香り立ちが楽しめます。かすかに蜂蜜の香りや、洋梨の香りにセルフィーユのような爽やかな香りも感じられます。非常に細かな泡の刺激が舌に優しく感じられ、適度な酸味の爽やかさ、アフターテイストにほんのり残る蜂蜜の香りが心地よい印象です。イタリアでは高級ランクのリストランテで一番よく売れているプロセッコです。納得の上品な美味しさです。

③ DOCG ヴァルドッビアーデネ プロセッコ リーヴェ サンピエトロ ヴァルボッツァ

非常に厳しく峻別された43の集落が認定されている「リーヴェ」です。46000本しか生産されていない非常に稀少な「リーヴェ サンピエトロ ヴァルボッツァ」のプロセッコ。濡れた革のような独得の複雑な香りが感じられ、プロセッコの画一的なイメージを一新されます。飲み心地は繊細な心地よさがあり、複雑性はありながらも軽快さもあり、アフターのミネラリィな味わいが特長です。

ユネスコの世界遺産に認定されたDOCGヴァルドッビアーデネ プロセッコの畑の特徴

ながらく世界遺産にノミネートされており、人々が首を長くして待っていたユネスコの認定が今年ようやくおりました。世界遺産認定の決め手は、自然の地形を生かしたブドウ畑の景観の美しさであったと言われています。また、昔からの森がその姿を保っていることなども、認定の理由になりました。

収穫風景世界遺産に認定されているDOCG生産地域のなかでも「リーヴェ」や「カルティッツェ」の畑はことのほか急峻な斜面が特徴で、最大70度の斜度を持ちます。そのため収穫は困難を極め、収穫作業はイタリア語でヴェンデミア デリ エロイ「英雄たちの収穫」と呼ばれています。年間800時間とも言われる、平地に較べて5倍以上もの時間と手間を必要とする、そんな急斜面の畑では、独得の心地よい酸と、際立つアロマをもつブドウが収穫されます。観光資源としての価値と生産されるワインの稀少性など総合的な理由から、いまやDOCGヴァルドッビアーデネの土地の価格は、地区によってはバローロの畑を超えるとまで言われています。

世界中で大人気の美しいブルーボトル入りのプロセッコ

エレガントなフローラルブーケときめ 細かなムースを備えた素晴らしいス パークリングワインです。エレガント な酸味と果実の甘味がバランスよく口 の中に広がります。6-8°Cで楽しみく ださい。 ブルーボトルの洗練されたデザインは 世界中で愛されています。
プロセッコ エクストラ ドライ ブルー ミレジマート2018

試飲
コメント

視認性の良いブルーのボトルで棚に並んでいてもすぐに目にはいります。古典的なわかりやすいプロセッコの味わいである、フルーティさ、林檎や梨のアロマに白い花の香りがあり、心地よい口当たりが特徴的です。すっきりとしていて、アフターに優しい甘さをほんのりと感じさせるので、イタリア料理のパスタ類や、一般的な和食にもよく合いそうです。時間帯も、夜だけでなく、週末のブランチなど、幅広い機会に気軽に楽しめる気安さがあります。実際にはトレヴィーゾ産100%なのでプロセッコ DOC トレヴィーゾなのですが、DOC規定でブルーのボトル使用が認められていないため、DOCプロセッコに格下げして販売されています。

世界遺産のブドウ畑で生まれたプロセッコスペリオーレ

菜の花や柑橘系のフルーティな香りのエレガントなプロセッコ。イタリアの高級レストランで人気の銘柄です。
プロセッコ ヴァルドッビアーデネ スペリオーレ エクストラ ドライ ミレジマート2018

試飲
コメント

泡立ちが細やかで繊細な香り立ちが楽しめます。かすかに百花の蜂蜜の香りや、洋梨の香りにセルフィーユのような爽やかな香りも感じられます。非常に細かな泡の刺激が舌に優しく感じられ、適度な酸味の爽やかさ、アフターテイストにほんのり残る蜂蜜の香りが心地よい印象です。イタリアでは高級ランクのリストランテで一番よく売れているプロセッコです。納得の上品な美味しさです。

上級キュヴェ「リーヴェ」サン ピエトロ ディ バルボッザのプロセッコ

急斜面のブドウ畑でゆっくりと熟したブドウから造られた奥行きのあるプロセッコ。
プロセッコ ヴァルドッビアーデネ スペリオーレ ブリュット リーヴェ ディ サン ピエトロ ディ バルボッザ2018

試飲
コメント

非常に厳しく峻別された43の集落が認定されている「リーヴェ」です。46000本しか生産されていない非常に稀少な「リーヴェ サンピエトロ ヴァルボッツァ」のプロセッコ。独得の濡れた革のような独得の複雑な香りが感じられ、プロセッコの画一的なイメージを一新されます。飲み心地は繊細な心地よさがあり、複雑性はありながらも軽快さもあり、アフターのミネラリィな味わいが特長です。

インタビューを終えて

イタリアはもとい、いまや世界でもっとも有名なスパークリングワインとなったプロセッコ。2009年にDOCGの認定をうけて劇的に状況が変わりました。「ヴァル ドッカ」は1952年の創業以来、着実に組合員を増やしてきたことで、DOCG認定時に確固たる地位を築くことができたのだと思います。売り場のどこに並んでいても、すぐに目につくブルーボトルでのマーケティングも功を奏し、さらに上級キュヴェのリーヴェを擁する明確な商品構成で愛好家の幅広いニーズにも対応し成功を収めてきました。品質レベルの高い畑を広範に所有しているため、ブドウのセレクトも可能であり、ヴィンテージが変わっても抜群の安定感を提供してくれます。プロセッコを初めて飲んでみたいという方に、自信をもっておすすめできる優良な生産者です。
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